4月16日からテレビ朝日系で放送されたドラマ「アイムホーム」。
10本の鍵を頼りに自分の帰るべき家を探す主人公が描かれますが、
実は2004年に時任三郎さん主演でドラマ化されていたんですよね。
今回はそんな「アイムホーム」の原作漫画を読んでみましたのでご紹介したいと思います。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
簡単なあらすじ
主人公の家路久は、やり手の銀行マンだったが社内不倫がバレて地方に左遷、
家族を残し赴任先で一人暮らしをしていた。
そんな寂しい一人暮らしをしていた家路は、
正月に何を思ったのか、
窓を閉め切り七輪を使ってモチを焼きはじめた。
案の定、一酸化炭素中毒を起こしてまい、一命を取り留めるも記憶喪失に・・・。
数年前の記憶は残っているが、5年以内の記憶が全く思い出せない。
- 現在の家族となぜ暮らしているのか
- 以前の妻となぜ離婚したのか
持っていた10本の鍵が唯一の手がかりとなり、
メモを取らないと忘れてしまうという事故の後遺症が残っているが
少しずつ記憶を辿っていく。
自分の帰るべき家は一体どこなのか、
そして今の妻と息子はなぜ仮面をつけた姿で表情を読み取ることが出来ないのか。
ここらへんは後半で独自に解釈していきたいと思います。
アイムホームのネタバレ、離婚・再婚理由
ネタバレしますので知りたくない方はご注意ください。
主人公の家路久は事故で記憶喪失になる前は、
とにかくヒドい性格で不倫はするわ、元妻・カオルには優しくないわ、
無責任な行動や私利私欲を優先するとても尊敬できるような人物ではありませんでした。
冷えきっていた夫婦関係のさなか、
友人の恋人・ヨシコに手を出し、あたかも本気だと相手に思わせていた家路、
実は資産家である彼女の財産が目当てだったのです。
一方妻のカオルは、二人目の子供を身ごもったけど流産、
それと同時にヨシコも妊娠が発覚し、家路は離婚後直ぐにヨシコと結婚することに。
ね、ひどい人でしょ?
更にヨシコと結婚してからは愛情が全くないわけですから
当然不倫もしちゃうわけなんです。
秘書課の杏子からのアプローチで二人は社内不倫に発展しましたが
杏子の上司にバレてしまい家路は左遷されてしまう。
この杏子という女性もちょっと引っかかるところがあって、
「バレたのはわざとかもしれない・・・。」
とホントなのか嘘なのか分からないセリフで関係を終わらせたかったようなひとことを・・。
本意でばらしたかどうかは不明ですけどね。
変なニュアンスで読者に想像をふくらませるセリフでした。
結局、赴任先は単身で向かい、家族を残してアパートで一人暮らしを始めた家路。
そこからちょっとずつですが彼の心に変化が出てきたようなのです。
と言うのも赴任後、一人暮らしをしていたアパートに1通の手紙が届いたのですが
実は妻からの手紙で、紛れも無く離婚届だったのです。
彼は一人になって初めて悟ったのでしょう、
家族を失いたくはない・・・と。
そんな思いで毎晩妻に電話をするようになり、お互いの気持を再確認して離婚は免れたのですが
例の一酸化炭素中毒により肝心な記憶を失ってしまったというわけです。
一度は離婚を考えた妻のヨシコでしたが、
家路が倒れた時、やっぱり彼を失うのは想像できない、と後に家路に打ち明けていました。
アイムホームに登場する10本の鍵
自分のポケットの中に入っていた10本の鍵。
全ての鍵の場所がわかるのかと思いきや、まさかの7本のみで終了してしまうとは・・(笑)
結構重要な部分だと思うんですけどね・・・。
で、結局判明した鍵は
- 元妻の家
- 愛人の家
- 現在の家
- 友人の家
- 実家
- 赴任先だったアパート
- 別荘
これがちょっと面白くて、
現在家族と住んでいる家の鍵はともかく、
全て潜在意識というか無意識というか、
気づいたら鍵を使って人の家に入っていた
という流れなんです。そう、愛人だった女性の家でさえも・・。
だから
「ごめんなさい!ごめんなさい!間違いです!」
て言って慌てて帰るのが流れなんですが、
もちろん愛人や友人とは昔話に花を咲かせたわけですがね・・・。
興味深いのは赴任先だったアパートでの出来事
そこには既に新しい住人が暮らしていたわけですが、
その男性は実は家路と面識があった人なんです。
男性は昔、自営業をしていて銀行の担当が家路だったのです。
冷徹な銀行マンだった家路は回収できない貸付は出来ないと突っぱねた結果、
その男性は会社の経営を諦める他ありませんでした。
現在は会社勤めをしているようで、事実を知ったからといって家路を憎むような流れはありませんでした。
ただ、彼は一つ家路にヒントをくれたんです。
家路が酔っ払って黙って上がり込んでしまった時、
この懐かしい部屋から妻へ電話したんです。
毎晩電話をかけていたあの時のようにね・・・。
現在の住人である男性は
「リダイアルをしたら、おぼえのないところに繋がってね、調べてみるとあなたの家だった。
あなたは昔の癖で奥さんに電話をしたんじゃないですか?」
「あなたは電話をかける家族があり、帰る家がある」
そんなようなことを男性が言ったのです。
家族を失いかけた場所
自分の命の灯火が消えそうになった場所
もういちどやり直したいと心に誓った場所
10個の鍵の中でも一番重要な鍵であり、
無ければ自分を取り戻すことが出来なかったかもしれません。
アイムホームの結末はしっくりこない?
義母の不注意でマンションが火事になり、
家路は脱出していないヨシコとヨシオを助けに行くも煙にまかれて倒れてしまう。
(原作漫画では妻ヨシコの両親が隣の部屋に住んでいて食事は5人でしている)
気がついた時は病院の一室。
妻子は見当たらず、
回復を待たずに病院を抜け出し、1週間ほど放浪することに。
色々頭を整理するも
家路が帰る所は焼けてしまったマンションであり、
ヨシコとヨシオと3人で暮らしていた場所であり、
家路にとって焼けて住めなくなってもそこしかない。
今一度、そのマンションに足を踏み入れて物思いにふけっていると、
そこに妻のヨシコと息子のヨシオの姿が・・・。
家族3人抱き合って一緒に暮らそうと誓うのでした。
原作漫画ではこんな感じで終わっています。
妻子の仮面は最後まで剥がれることはありませんでしが、
これまで家族と幸せを分かち合わなかった空白の時間を
これから徐々に埋めていくことで、自然と仮面が取れていくのかなと、
そんなふうに読み取れました。
そしてこの仮面にはもうひとつエピソードがあって
家路が記憶喪失になる前、
妻のヨシコも
「仮面をつけているヒトと暮らしている気がしていた」
と打ち明けています。
家路は友人からヨシコを奪い、大恋愛の後、結婚。
しかしヨシコが想像していた結婚生活とは程遠く、家路の冷めた態度に疑念を抱き
やがてヨシコも離婚を決意するようになったのです。
相手の気持がわからない、
そんな時に仮面が出てくるのかな?
家路は記憶喪失になったことでヨシコと結婚した経緯や、
この人のことが好きだったのか、
この女性は自分のことを愛しているのか?
そんな疑念があるから仮面という道具を使って作者は表現したのかと感じています。
そして今更ながら、取り返しはつかないけど、
家路は気づいたことがあります。それは
「僕が失ったものは記憶ではなく、君とスバルだったこと。」
以前の妻と最愛の娘ですね・・。
現在、前妻は新しいパパと再婚していますので、家路とよりを戻すことは出来ません。
そしてこれ以上家族を失わないために、
帰る家を失わないために
おかしてしまった過ちを繰り返さないために
今の家族をギュッと抱きしめてあげなくてはならないのです。
冷徹な男が思いやりのある男へ変わっていく・・・
色々と考えさせられるストーリーですね。
今回は原作漫画「アイムホーム」のご紹介でした。
春ドラマの原作紹介