映画「あと1センチの恋」の原作の感想・ネタバレあり・歯がゆくて仕方がない

2014年12月13日に公開となる映画「あと1センチの恋」の原作

小説「愛は虹の向こうに」を読んでみましたので感想を綴ってみたいと思います。

この本の著者はメガヒットした「P.S.アイラブユー」のセシリア・アハーン。

20代でここまで濃厚な恋愛小説を書き上げる類まれな才能の持ち主ですが、

今作も地元アイルランドやイギリスでベストセラーとなっています。

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初めての試み?斬新な文章構成

手紙やメール、チャットなどのやり取りのみで構成された本書は

小説の新たな試みとも言える斬新なアイデア。

はじめは「なんだこれ?」と思いましたが、徐々に慣れてきて

スラスラと読み進めることが出来ました。

 

「愛は虹の向こうに」のあらすじ

この物語は恋人になれたはずの二人の

7歳から50歳までの人生を描いた作品です。

 

主人公はロージーとアレックス。

何気ない日常の出来事を気兼ねなく話し合える仲だけど

それ以上は進展しない二人。

 

親友ならそれでいいんだけど・・・。

 

お互いにそれぞれ恋人が出来、結婚、妊娠、離婚を経験。

その過程で常に励まし合っていた二人は心の支えになっていた。

 

あの時、こんなことが起きなければ・・・・。

高校の卒業パーティーに来れなかったアレックス

アレックスからのプロポーズがロージーに届かなかったあの日

 

グッと近づくはずだった瞬間にハプニングが起きてすれ違ってしまう二人。

子供も大きくなってお互いに人生の晩年に差し掛かかり、

アレックスから心のこもった手紙がロージーに届く。

最後はウルっとくる結末で見事に締めくくってくれる作品です。

 

感想

「愛は虹の向こうに」

ネタバレもありますのでご注意ください

どちらかと言うとロージーを主体として書かれていて

彼女の泣いて笑って怒ってという感情を共有するようなストーリー。

 

高校卒業パーティーに羽目をはずしすぎて他の男と寝てしまい、

あろうことか妊娠までしてしまったロージーに同情の余地は無いし、

更には、このことについて

「パーティーに来なかったアレックスが悪いのよ!」

という逆切れで悲劇のヒロインはちょっとドン引きしました・・^^;

 

娘の妊娠出産で、行くはずだった大学も行けず、

この後、彼女は一体どんな人生を歩むのだろうかと、

ストーリー序盤から不穏な空気が流れていましたが、

シングルマザーも素敵な男性とめぐり逢い結婚。

 

しかし、夫に2度浮気され離婚・・・。

ロージー、あなたはなんてついていない人なの?

 

方やアレックスは遠い異国の地で同級生の女性と知り合い結婚。

恋愛、結婚、仕事に充実した人生にロージーもなんだかヤキモチを焼いてしまうけど、

アレックスも子供が出来たのち離婚してしまうなんて。

 

既に前半、ロージーの妊娠が発覚した時点で

二人の甘酸っぱい恋愛ストーリーではないなと悟りましたが、

ここまで徹底して別の人生を歩む話だとは思いませんでした。

 

落ち込んだり、喜んだり、泣いたり、恋人や夫がいるけど

心の支えはいつも彼の言葉。

 

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心が揺れる出来事の数々

 

「私、高校生の時にバーで椅子に座ってたのに何で転んだの?」

「やっとその質問してくれるんだ。君が僕とキスしてたからだよ。」

 

アレックスとは一度もキスしたことがないと思っていたロージーにとって衝撃的な話。

しかも大人になってから知るなんて。

 

 

異国の地で暮らすアレックスに久しぶりに会いに行ったロージー。

この時、アレックスは彼女がいたんだけど、

気を引こうと思いキスをして、彼がキスを返してくれなかったことにショックで早々に帰国したロージー。

 

でもこの時、見つめ合いながら心地よい沈黙があったのは確か。

あの沈黙って一体何なの?

言葉で表現できない”運命の人”を”見つめ合う沈黙”で感じたのですが、

やっぱりすれ違ってしまう二人でした。

 

そしてアレックスは離婚、

思い切ってロージーに宛てたプロポーズの手紙は夫が隠してしまい、

晩年になるまでロージーの目に触れることはありませんでした。

このロージーの夫は2度も不倫をした最低な男。

アレックスはこの男を警戒していたんですけどね・・、

ロージーいわく、「私の夫の悪口は言わないで」とありがちなパターンで流されていました。

この時にロージーがアレックスの手紙を読んでいたら・・・。

でも後にアレックスはこの手紙をロージーが読まなくてよかったと語っています。

 

おじさん、おばさんになって結ばれた恋

子供も大きくなり、両親は他界、

新たな人生をそれぞれ歩み始めるのかと思いきや

この歳になってようやくあの時の心地よい沈黙を感じていた事をお互いに知ることになるのです。

「ロージーもあの沈黙を感じてたんだ!」

 

居ても立ってもいられないアレックスは再びロージーに愛を込めた手紙を送り会いに行く・・・。

 

この物語はロージーの夢実現ストーリーでもある

ロージーは学生時代からホテルを経営することが夢で

娘が生まれてなかば諦めていたけど、ホテルの仕事に付いたり、

30代になってからホテル経営学を学んだりと、夢実現に前向きに生きていた。

 

そして両親の死をきっかけに姉の後押しもあり実家を改築、

とても小さなペンションだけどオーナーになることが出来た。

 

高校生で踏み外した人生だったけど、

長い年月を経てゆっくりと実現させていったロージーに”おめでとう”と心から祝いたい瞬間でした。

 

そしてアレックスからの手紙を受けたっとロージーは、

一晩掛けて眠らずに今までの手紙やメール、チャットなど、

ちゃんと取っておいた思い出を読みふけっていたのでした。

そして最後にアレックスから届いた手紙を読み終えた頃、

来訪のベルが鳴る・・・・・。

 

50歳にしてようやく結ばれる二人。

お互いに手を取り合い涙を流す感動の場面です。

アレックス、もう彼女の手を離さないでね・・・。

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