やっぱり修羅場を迎えた「あなたには帰る家がある」の結末
綾子の秘密
小学校、高校といじめられていた彼女。自分の意見は言わず、卑屈だと周りは言っていました。他人からみると根暗だったのでしょう。そんな辛い子供時代を過ごしてきた彼女は高校卒業後に親のすすめで家事手伝いをしていましたが、ある日、姉が連れてきた婚約者に恋をしてしまったのです。
そんな綾子の気持ちを悟ったのか、彼が姉の誕生日プレゼントを一緒に探して欲しいと言うので二人でデート。そして海辺のホテルで枕を交わす二人・・・・。なんと姉の結婚式の翌週に妊娠したことがわかったのです。
どうしても子供を生みたい。だけど1人では不安。なら、親が持ってくる見合い話で丁度よい相手を探そう。モテそうな人は裏切るかも知れない、モテそうな人は優しくないかも。だから一番モテなさそうな人を選んだ結果、茄子田太郎が選ばれたのです。
お腹の子の父親を明かさないという条件でしたが、茄子田はあっさりOKして結婚。茄子田は自分が父親だと言い聞かせて結婚したのです。
そうなんです。実は長男は茄子田が父親ではなく、義理の兄が本当の父親だったんですね。
今回は、秀明と綾子の不倫が描かれていますが、綾子は不倫の前科があったということです。
バレてしまった不倫
秀明が運転する助手席に女性が乗っているのを目撃した後輩の裕子。その車はホテルの駐車場へと消えていきましたが、その時は奥さんだろうと思っていました。
しかし後日、奥さんではなく別の女性、しかも茄子田の妻だと知りショックを受ける。と言うのも、裕子は優しい秀明に想いを寄せており、会社を辞めないのも秀明と一緒に働けるから。
でも、秀明の不倫現場を目撃してしまった今、彼への思いもトーンダウンしてしまい、会社を退職することに。裕子がハロワにでかけた時、セールスレディの勧誘をしていた真弓が声をかけ、以前会ったことがあるのでお茶を飲みながら二人は話をしていましたが、裕子から不倫を目撃したことを聞き、唖然とする。(心の中ではやっぱりか、という気持ちもあったのでしょう)
綾子、暴走。
熱が出て秀明が会社を休んだある日、突然「お邪魔しま~す」と言ってズカズカと佐藤家のマンションに上がり込んできた綾子。その手にはスーツケースを持っていて、どこから見ても家を出てきたように見える。
綾子は「秀明さんが私と結婚してくれるそうなので、お宅の娘さんも引き取らせてもらおうと・・」と言うので明らかに正気じゃない。更に笑いながら「お腹に子供がいる」というので、ゾッとした真弓は叫んで秀明を呼んだ。
秀明は部屋に綾子が居ることに驚き絶句。「一緒に暮らしましょう」という彼女に「帰ってくれ」と言ったが帰る気はない。そんな押し問答をしていると、置き手紙を読んだ茄子田が飛び込んできて、秀明をボコボコにしてしまったのです。
秀明が気がついた時は病院のベッドの上。意気消沈の彼に対して真弓は色々と言いたいことがあるかも知れないけど、何を言っても「ごめん」というだけで、真弓が納得できるような言葉は返ってこない。
ちなみに綾子は妊娠していなかったそうで、ホッとする秀明。彼は今回の一件で責任をとって離婚するという。僕みたいな人間を養うことはない。実家で仕事を探して養育費を送るという秀明に
「卑怯者」
という真弓。彼女が勝負に勝ったら主夫をするという約束でした。彼は離婚することで罪を償おうとしましたが、「面倒から逃げる」ようで、ある意味責任逃れです。
愛想なんかとっくに尽きてる。あなたは私の主夫をするの。いい?わかった?。そんな真弓の言葉に対して秀明は
「それで、君はしあわせなのか?」
という。(秀明は幸せなの?)怒りと悔しさ、色んな感情が湧き上がり、涙が溢れそうになる真弓。帰り際に「私、茄子田さんと寝たよ」と言ったのは本当なのか、契約のためなのか、なぜそんなことを言ったのか彼にはやっぱり分からなかったのです。
終幕
真弓の父親は今すぐに離婚しろと言ったけど、反発した真弓。彼女が離婚しないのは意地なのか、秀明が好きだからなのか本人でさえもよく分からないらしい。
さて、佐藤家では見事に立場が逆転した二人。育児・家事が日々の日課となった秀明と家族を養うために必死に働く真弓。実際に生活が始まると、お互いの気持がよく分かると思います。真弓は少ない小遣いの中でスーツを買ったりとやりくりしないといけないし、秀明は、慣れない主夫業に悪戦苦闘する。
かつて自分がそうだったように、スーパーの惣菜をテーブルに並べた秀明に小言を言ってしまう彼女。遊んでいる彼と娘を見ていると、彼らを守るのは自分だと思うと怖くなる。共働きと言う選択網が無いわけじゃないけど、真弓の口から彼に「働いて欲しい」ということが言えない。
一方、茄子田家はというと、シロアリが出て、結局建て替えをすることに。母親は実家に戻っていたけど、今は元気で暮らしているとのこと。
感想
不倫が発覚して修羅場がありましたが、お互いの夫婦は離婚すること無く、また元の生活に戻ろうとしています。実際にこんな事が起きれば、離婚や慰謝料、子供の親権など問題は山積みですけどね。
さて、真弓がなぜ親に反発してまで秀明と夫婦生活を続けようとするのか?
彼女の中でまだ整理がついていないと思いますが、責任の果たし方が違う秀明に腹が立ち、悔しかったから何が何でも主夫をさせたかった。彼女は秀明のことが今でも好きなのかわからないし、そうした「意地」で一緒にいるのはおかしいと母親からも指摘されていますが、これもまた真弓本人も意地なのかわからない。
彼を養う必要はまったくないけど、勝負に勝ち、自分が家族の生活費を稼ぐ一人前の大人としても認めてほしかった、主婦は向いていないけど、私だってやれることはあるんだよ、ということを秀明にわかってほしかった。という気持ちもあるのでしょう。
この物語は不倫を題材としていますが、不倫が問題ではなく”夫婦とは何か?”ということを考えさせられる物語かなと思ったり。
お互いの立場を理解して支え合い、思いやりを持って接するという理想的な夫婦というものを色々と考えるきっかけになりました。