7月14日からTBS系で放送されることになった今作。
主人公の七瀬五郎役は味のあるイケメン俳優・瑛太さん、ドラマでは謎の女性として登場する蘭子役に深キョン、事務所所長は山口智子さん、そしてリリー・フランキーさんがジャーナリストの役など脇役も面白そうな方が揃っていてちょっと楽しみです。
今回は気になる原作漫画を読んでみたので内容をご紹介したいと思います♪
簡単なあらすじから
1983年7月に1巻が発売され1996年に最終巻となる24巻が発売。著者は島耕作で有名な弘兼憲史。
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下赤塚駅から商店街を抜けて裏通りにある「赤塚探偵事務所」。
お酒が大好きな女所長・風かほるを筆頭に、ハリネズミのような髪型が特徴の七瀬五郎、訳ありの過去を持つグレさん。そして東大生で事務所のお手伝いをする夢子、一癖ありそうなメンバーで構成されているのがこの探偵事務所である。
稼ぎ頭でこの物語の主人公である七瀬五郎は依頼とあらば日本全国どこへでも飛んで行くフットワークの軽いスポーツ万能タイプ。と言っても筋肉バカではなく、探偵業を生業にしているだけあり、頭の回転は速い。
依頼内容は探偵業にありがちな浮気調査や人探しなど基本的な仕事から殺人事件に発展してしまうような危険な仕事まで幅広い。心霊現象などオカルト的なものもあるし、時にはタイムスリップして歴史のミステリーに挑むこともある。
また、主人公の五郎は依頼が終わっても事件が解決していなければ独断で調査を続行することも少なくない。そのせいで危険な目にあったことも数え切れないほどある。
探偵のわりにハードボイルドさは少なく、どちらかと言えば人情という言葉がよく似合う作品。また、昭和の漫画なので戦中・戦後の話題がよく出る。広島出身のグレさんの父親は原爆で命を落としており、23巻でハリネズミがタイムスリップして両親と会っている。
ここから先は24巻まで私が印象に残った章を抜粋して紹介していきます。
地味だけど危険な探偵「ハロー張りネズミ」のあらすじ
※ネタバレあります
3巻
重要人物である尾津蓮子登場。彼女は依頼者として登場したが、暇つぶしに依頼してきただけで内容は全部ウソ。走り回った五郎は怒り心頭。頬をひっぱたいて説教する五郎の本気に反省した彼女はなんと五郎のアパートの隣の部屋に引っ越してきた!
五郎が風邪をひくと看病したり、自然と男女の関係になったが、ヤクの密売人の元カレが蓮子を誘拐。事件は解決したが彼女は帰らぬ人に。彼女が死ぬ間際まで大事に持っていたという五郎の写真だけが悲しげに残ってしまう。
4巻
蓮子の双子の妹・蘭子が登場。彼女は蓮子が住んでいたアパートで暮らすことになり、探偵事務所でも働くことになる。そんな彼女にも魔の手が忍び寄る・・・。
蘭子は幼い頃に養子として引き取られ貿易会社の社長令嬢になっていたが、社長の椅子を狙っている役員に父親が殺されてしまい、その事件は真相が明かされぬままに。関係者は次々と消されて、ついには蘭子までも追われる身となってしまった。
殺された父親の無念を晴らすために復讐に燃える蘭子と、父親と懇意にしていた蘭子の元カレ南謙次郎、そして父親を慕っていた部下たちとともに事件の真相究明に乗り出すが・・・、信頼していた仲間の裏切り、仲間の死、父親の無念を晴らすことが出来ても悲しい結末を迎えてしまう。
事件解決後、蘭子の妊娠が発覚するが、それは南の子なのか五郎の子なのかわからぬまま流産してしまった。彼女は産みたいと言っていたが南の死を知らされてから、土手でおおきく転げ落ちてしまい流産。それが故意によるものなのか分からない。五郎の推測だと父親は南だと分かっていたから堕ろしてしまったのでは?と考えている。
6巻
健忘症で20代の3年間が全く思い出せない男性からの依頼。無事記憶を取り戻したが、命の恩人を殺してしまった事がわかった。しかし20年以上も前の事件で時効が成立しており、自首したところで妻と娘だけでなく、従業員にまで迷惑がかかる。
匿名でいいから遺族に償いをしたいと思ったが、先方の妻も死に、その娘はどこにいるかわからない。しかし五郎が調べていくと、とんでもない事実が判明する。なんとその娘は記憶を失っていた男性の妻だったのだ。
妻は彼が記憶を取り戻したら復讐してやると思っていたが、夫の優しさに触れ、娘も生まれていつしか復讐心も消えてしまったらしい。妻は気付いていないふりをして、夫は記憶を取り戻していないふりをする、というちょっと変わった夫婦のお話。
8巻
命がけの仕事
世界第2位の高さを誇るK2という山に登った夫が遭難し行方不明となり死亡したものだと思われていたが、そんな夫が雑誌に掲載された写真に写り込んでいた。
夫を探して欲しいと依頼された五郎。単なる人探しかと思われたが、実はソ連の秘密警察が絡む危険な仕事に発展。首を突っ込んでしまった五郎も日本側のスパイだと勘違いされ、殺されそうになるスリリングなストーリー。
9巻、10巻
女性からの依頼。以前同棲していた男性が亡くなったことを知り、遺骨を埋葬したいから故郷を探して欲しいという。たいした内容ではないと思われていたが、ロシアも絡む国際的な殺人事件へと発展してしまった。
レポ船に反対していた男性とレポ船を生業とする男たちのいざこざが殺人事件に発展。
レポ船
ソビエト連邦(ソ連)のためのスパイ活動を行っていた日本の漁船のことである。
これらの漁民たちはソ連側に日本側の情報を提供することの見返りとして、ソ連の国境警備隊に北方海域での密漁を黙認されていた。
男性は事故死と思われていたが、実は殺されていた事がわかり、またレポ船同士の争いに発展して犠牲者が多数出た恐ろしい事件。
依頼者からの仕事は一旦終わったのもの、探偵の血が騒いだ五郎はそのまま北海道に残り調査を進めていたが、鼻や助骨を折るなど稀に見る危険な仕事だった。
14巻
珍しく殺人事件に発展したのに未解決のまま終わってしまうエピソードが14巻にあった。必ず解決するのがセオリーだっただけに珍しいエピソード。
15巻
ドラキュラ伝説というちょっとファンタジックな内容を1巻まるごと描かれた長編。
家系の男子はみな50歳で死亡しており、依頼者は今年で丁度50歳。調査を進めていくと体に異変が起きているのはチスイコウモリに感染した祖先が原因らしい。
普通の食事は全く受け付けず、人の血を吸い続けなければいけないので家系の男子は自ら命を絶ったのだ。そして依頼者もまたその事実を知り、自殺してしまうという悲しいお話。
16巻
時は寛政7年、タイムスリップしてハリネズミたちが活躍する
写楽は活動期間がほんの10ヶ月ほどで、その後は忽然と姿を消したため、出自や経歴などは謎の部分が多い、有力な手がかりはあるものの、それを決定づけるに至っていない。そんな謎の浮世絵師を題材にしたのが16巻の1章でした。
17巻
あわや大惨事!
五郎を利用して旅客機に爆弾を持ち込ませた犯人。しかし、飛行機はエアポケットに入り、大きく揺れた拍子に爆弾が入ったカバンが床に落下。その時に導線が切れたおかげで五郎もそうだか、居合わせた乗客の命が助かった。犯人は、とある乗客を殺すために計画を立てた。実は社長を殺して多額の保険金を受け取ろうとしていたのだ。
そして17巻はまたもタイムスリップして歴史の謎に迫る!竜馬暗殺に関しては様々な説がありますが、そんな龍馬伝を題材に五郎たちが活躍する。
19巻
ゴルフ場で居合わせた人と一緒にコースを周ることになった男性。少し賭けをしませんかと言われたので、少額だと思っていた「1本」はなんと100万円!
後日、組員らしき人物が300万持ってやってきたので、事務所に相談に来たらしい。利子を付けて返すのが無難なやり方だが、泣き寝入りは悔しい。五郎たちのお陰でギャフンと言わせることが出来たのです。そう言えばこの話は映画「ミンボーの女」でもありましたね。
23巻
グレさんの故郷でもある広島に仕事で来ていた五郎。立ち寄ったBARに入ると、突然タイムスリップしてしまう。日付は1945年8月5日、原爆が落とされた前日。グレさんの両親に会い、事情を説明してもわかってもらえず、父親は爆心地に近い場所へ出かけてしまう。なんとか母親だけは五郎の言うことを信じてくれて、生き延びることが出来た。彼女はグレさんを身ごもっていて、無事出産したが2日後に亡くなってしまったらしい。
現代に戻った五郎はグレさんから母親の死を聞いて、落胆と悔しさで言葉が出なかった。もう一度タイムスリップさせてくれるなら・・・。しかし五郎がタイムスリップしたかどうかはグレさんは信じていなかったが、五郎が足を捻挫した時、包帯とともに1円札を忍ばせてくれたのは紛れもない事実。現代に戻ってきた五郎の足には包帯の中にその1円札が入っていたのだ。
また、23巻は男のロマンの一つである徳川埋蔵金を題材にしたエピソードも登場。
24巻
実は24巻の半分以上は作者と他の漫画家の交遊録が描かれており、本編は2章しかないのでファンとしては正直物足りなさを感じる人も少なくないでしょう。
第1章「10階のモンスター」は有名女優からの依頼。オカルト的な内容だったので霊能者の河合節子が登場。
そして第2章「北の国から来た女」は五郎が美しい女性と知り合い恋に落ちた話。相手は雪女だったので叶わぬ恋でしたが、危うく彼女に殺されそうになった五郎。個人的には23巻が終巻でも良かったんじゃないかなと思います・・・^^;