ドラマ「傘をもたない蟻たちは」原作小説ネタバレあり・あらすじと感想

2016年1月9日から30日まで放送されることになった今作。
原作の著者はNEWSのメンバー加藤シゲアキさん、
6作が収録されており、その内の3作品を取り上げて融合し
新たな作品としてドラマ化されるようです。

ドラマでは著者である加藤シゲアキさんも出演するらしく
その他、足立梨花さん、南沢奈央さん武田玲奈さんがキャストに。

今回はそんな原作小説を徹底紹介です♪

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短編小説集「傘をもたない蟻たちは」あらすじと感想

「ピンクとグレー」で作家デビューを果たし、
4作目となる今作は自身初となる短編小説集。
収録作品は、

1、染色
2、Undress
3、恋愛小説(仮)
4、イガヌの雨
5、インターセプト
6、にべもなく、よるべもなく

第1話から大胆な性描写が描かれるなど
村上春樹の影響を受けているかのような書き方に共感を覚えましたが、
思春期の恋愛・葛藤、そうした純粋な恋愛ものから
人の心に潜む闇の部分をクローズアップした「Undress」など
6つの作品を楽しめるけど、どれも”寂しさ”が少しだけ残る。
ラスト6話だけは多少明るめで締めくくっていますが、
同性愛というテーマで男の子が苦悩する様子が上手く表現されています。

ハッピーエンドにしない、読者に媚びない、飾らない、
誰でも一度は経験したほろ苦い恋物語を加藤さんが等身大で素直に書き上げた
そんな作品集でしょうか。

それでは一つ一つあらすじをご紹介します

「染色」

主人公は美大に通う一村文登。
居酒屋で学友と飲んでいた時にカウンターに座った女の子が
制汗スプレーを吹き付けるような自然な動きで塗料スプレーを腕に吹きつけていた。
その時は何もなかったのですが、後日コンクリート製の橋脚に
らくがきをしている女の子と出会い、それが居酒屋で見た彼女だった。

アートという共通点で二人はすぐに打ち解けあい
彼女のアトリエに通うようになった主人公。
しかし二人の関係はあっという間に終焉を迎える。
彼女は学校をやめてロンドンで画家になるという。

偶然出会った奇妙だけど妙に惹かれる美優という女の子。
彼女との思い出は夢なのだろうか?
彼女が去った後のアトリエはどこか寂しく、
自分だけが取り残されてしまったような感覚だったのかもしれない。

率直な感想は主人公は彼女がいるのにどうして
他の女性と出会ってすぐにやってしまったのか・・・^^;
こうした、現実ではありえないけど、あたかも自然な流れのような性描写は村上春樹のそれなのかと感じました。

将来はたぶんこうなるんだろうね、という
夢も希望もない自分とは対照的に異国の地で画家になるという
信念がしっかりとした女性を対峙させる、更にその女性は少し変わった一面があるという
ミステリアスな要素も好感が持てました。

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「Undress」

広告代理店に勤務して10年、夢だった脱サラを果たして
新たな人生を歩もうとする大西勝彦。
馬車馬のように働いて報われなかった父親のようにはなりたくない、
そんな思いで猛勉強し国立大を卒業、広告代理店に就職し、
10年来の夢を実現したわけである。

しかし計画性のない退職だったので、直ぐに何かを始めるわけでもなく
とりあえずブラブラしている彼に一抹の不安を覚えますが
案の定、退職した会社との関係が最悪だったことを目の当たりにする。

それなりに仕事が出来たけど、会社や社員に対して
なんの愛情もないと言っていた彼は実は会社の人達も
彼のことを嫌っていたのです。

また、
付き合っていた後輩の子に二股をかけられていた、
と言うより、本命じゃなかった事を知りショックを受ける。

会社の犬になりたくないと脱サラしたものの、
結局なすすべもなく、企業に雇われる人生を歩むのか、
そんな終わり方をしています。

長くなってしまったので2ページに分割しまいた。