ドラマ「傘をもたない蟻たちは」原作小説ネタバレあり・あらすじと感想

恋愛小説(仮)

主人公は27歳のしがない小説家。
恋愛物は書いたことがなかったけど、
人気女性週刊誌からの依頼を断ることも出来ず、
「若い女性に受ける恋愛を書いて欲しい」という仕事を引き受けてしまった。

そんな時、同窓会があり、
久しぶりにあった同窓生と思い出話に花を咲かせたけど
気になる初恋相手だった久米島ユキエちゃんの姿が見えない。

事情を聞くとどうやら彼女は不慮の事故で亡くなったという。
彼女との恋話は決して良いものではない。
だからこそ同窓会で会ったら一言二言話して
思い出をスッキリとさせたかったのに。

そして彼は久米島さんを夢でみるようになり、
彼女に会えるからと睡眠薬を常用するようになり
最後は倒れているところを友人が発見して事なきを得る。

ずっと引っかかっていた思春期のほろ苦い初恋。
「なぜ?」「どうして?」という疑問をこの世に居ない相手に
投げかけるわけにもいかないので、自分の世界に入り込んでしまった主人公。

この物語に関しては私もほろ苦い初恋を経験しているので
「あの時ああすればよかった」という思いが今でも残っているし
物凄く共感できるお話でした。

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イガヌの雨

ちょっと変わったお話です。
イガヌという架空の動物はグロテスクな容姿だけど
味は絶品で皆当たり前のように食べてるけど
主人公の美鈴の家だけは祖父の禁止令が出ており
美鈴は味さえも知らない。

そんな時、友達がイガヌを出す店に行くというので
仕方なくついていった美鈴は誘惑に負けて食べてしまう。
「なんて美味しんだろう・・」
そんな感動もつかの間、それを知った祖父と大げんかをして
家を出てしまう。
しかし祖父の訃報を聞いて帰宅し、
葬式の時に振る舞われた精進料理にイガヌが出されていたことに腹を立て
おじいちゃんが嫌いだったのになぜ入れるの?と両親とけんか。
しかし彼女は目の前にイガヌがあると「ごくり」と生唾を飲んでしまうところを見ると
やっぱり誘惑には勝てないのだろう、そんなお話です。
って、なんのこっちゃ分からないお話ですが
”ダメと言われるとやりたくなってしまう心理”カリギュラ効果に当てはまるのかな?

思春期で何でも興味を持つ多感な時期です。
目の前に美味しいものがあるのに食べちゃダメよ!は酷ですよね。

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「インターセプト」

既婚男性が会社で人気の女性を口説き落とすお話。
しかし物語はラストで一変する。
ターゲットにしていた女性は実はこの男性をストーキングしていたのです。

じっくりと時間を掛けて、自分に話しかけてくるのを待ち
それでもそっけない態度を見せて高嶺の花を演じる。
彼女は男性の趣味を把握するためにゴミ箱を荒らし、
粗大ごみを持ち帰り”彼の部屋”を作り上げていたのだ。

男性は「お茶飲んでいかない?」という彼女の誘いにのり
部屋に入ると、どこかで見覚えのある物がある
というちょっと怖いお話です。

インターセプトという意味は球技で使われる専門用語で
パスを横取りするという意味だそうです。

既婚男性を奪ったということでしょうね、
最後に「私のことは捨てないでね」という言葉に背筋が凍りました。

「にべもなく、よるべもなく」

幼なじみの純ちゃん(男の子)とケイスケ。
仲良しだったのに、ある出来事で二人の溝が出来てしまう。
ケイスケはどうやら同性愛者で、とある先輩(男子)が好きと
純ちゃんに告白したことで、純ちゃんは困惑し距離を置いてしまう。

それでも純ちゃんはケイスケを理解しようと必至になるが
男性を好きなる感覚までも理解しようとするからもがき苦しむ。
ほんの少しだけ立場を理解してくれればそれでいいのに・・。
最後にはケイスケとの溝も無くなり、
また昔の二人にもだったけど別々の高校に進学し、
大人になるに連れて疎遠になる。

一方的に距離を置いていた純ちゃん、
幼なじみだから必至に理解しようとする彼のひたむきさは
何だか微笑ましく思いますが、
この時期に同性愛を理解し受け入れるのは難しかったことでしょう。

 

ドラマ「傘をもたない蟻たちは」の内容とキャスト

実はすべての作品がドラマ化されるわけでなく、
「恋愛小説(仮)」
「インターセプト」
「にべもなく、よるべもなく」

の3つを融合させて一つの作品にするそうです。
さらに冒頭でもお話した通り、キャストには原作者である加藤シゲアキさんも出演。
主人公を演じるのは桐山漣さんで、恋愛小説(仮)に登場した小説家だそうです。
インターセプトに登場した魅力的な女性は足立梨花さん、
「にべもなく、よるべもなく」に登場した中学時代の交際相手を南沢奈央さん。
3つの作品が折り重なる新しい物語で原作を読んだ人でも楽しめそうな感じですね。