予想外の結末?「賢者の愛」の感想ネタバレあり・中山美穂主演ドラマ

2016年8月20(土曜)夜10時からWOWOWで放送されることになった今作。
「復習」というテーマですから不倫ドラマを超える愛憎劇が見どころです。

主演は女優復帰して間もない中山美穂で、復習のターゲットとなるのは高岡早紀。
全4話と少ないですが、彼女がなぜ復習を決意し、実行に移したのか、
若い男をゆっくりと自分のものにするその過程が描かれます。

今回はこの作品の原作小説を読んでみましたので、
さっそく内容をご紹介していきたいと思います。

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ちょっと長めの「賢者の愛」のあらすじ

この作品は谷崎潤一郎の「痴人の愛」をオマージュしたもの。
「痴人の愛」は、ある男が自分の妻にすべくカフェで出会ったナオミを育てるのですが
男の手に負えなくなり、やがてその女性に魅了された男はナオミの虜になり人生を捧げるまで落ちてしまう。

今作はそんな愚かな男にならないという主人公の真由子が、
親友の男の子に「直巳(ナオミ)」と名付け自分を愛する男に調教する物語。

彼女は「賢者」になれるのか?
全てを奪われた親友に対する復讐は達成できたのか?
予想外の結末とともにこれらの内容を順にご紹介しています。

 

隣に引っ越してきた朝倉百合

主人公の高中真由子が小学校高学年になった頃、
隣に引っ越してきたのが朝倉百合の家族でした。

両親は商売で一発あてたいわゆる「成金」で
隣に建てられたコロニアル様式の洋館は近所のひんしゅくを買う場違いな佇まいでした。

彼ら家族に批判的な意見が多い中、
友人が居なかった真由子は百合が来てくれたことに素直に喜んでいました。

百合は真由子の2歳年下でやんちゃな弟が二人いる5人家族

ただ、なんでしょう、
百合の第一印象は清楚で誰もが良い印象を持つのですが
たまに不幸を身にまとったような雰囲気を覗かせる不思議な少女。
真由子は「不吉な香りをまとった子供」と称していましたが
それでも人を惹きつけるものを持っていたのは確かでした。

 

百合の性格が垣間見れる事件

真由子の家庭は裕福だったことから、
小さい頃は何でも買ってもらえたわけですが
それが気に入らない同級生もいるわけです。
その子たちに公園でいじめられそうになった時、助けてくれたのが百合でした。

百合は常に携帯しているというアイスピックで同級生たちを脅し見事撃退。
彼女の口から「死なす」という言葉に驚きながらも
真由子にとってかけがえのない年下の「親友」になったのは言うまでもありません。

 

父の死

高中家は三浦市の三崎口に別荘を所有しており、
真由子は父親に連れられてよく出掛けていましたが、
親友の百合も一緒に連れて行きたいと父親に提案し、
3人で旅行を何度か楽しんだのですが、ある事件をきっかけに悲劇が起こったのです。

いつからか百合が真由子の父親をおじさんではなく、
「正吾さん」と呼ぶようになり愕然とするのですが、
いつものように3人で別荘に出かけた時、先に就寝した真由子は夜中に目が覚め、
父親の書斎に本を借りに行ったら、百合と父親がいけないことをしていたのです。

娘にとって絶対に見たくない光景であり、
百合が「正吾さんは悪くないの!」と父親を庇ったことで
より一層父親に対する怒りが増していったのです。

しかし事件から一週間後、父親は家族に何も告げず自殺。
父親に怒りはあったものの、ショックを隠し切れない真由子を慰めてくれたのが百合でした。

「だって親友でしょ」という言葉に少しだけ元気が出たのですが、
やがて二人の人生を大きく左右する出来事が待っているのです。

 

諒兄さまをちょうだい!妊娠したのよ

真由子の父親が弟のように可愛がっていた小説家・沢諒一は
高中家の離れを借りて執筆作業をしていました。

真由子にとって憧れのお兄さんで、
いつかカレと結婚して・・・という夢を抱いていたのですが
真由子が21歳の時に百合が「諒一を私にちょうだい」と言ってきたのです。

すでにお腹にはお赤ちゃんがいると・・・

子供の時から「ちょうだい」という欲しがりやさんの百合に
今まで付き合わされてきたけど「親友でしょ」という言葉に上手く乗せられて来た真由子。

大好きだった父親とずっと思いを寄せる諒一兄さんまで私から奪ってしまうとは。

お父さんやお兄さんがいて羨ましいと言っていた彼女。
幼い頃から既に狙っていたのかもしれない。

結局、沢諒一と百合は結婚して男の子が生まれたわけですが
名前を決めて欲しいと言われた真由子は候補の中から迷いなく「直巳(ナオミ)」が良いと助言したのです。

そう、谷崎潤一郎の「痴人の愛」のように生まれてくる子を調教してやろう、と。

 

真由子の復讐が始まる

直巳ナオミと名付けた男の子は順調に育っていた。
思春期の頃には既に真由子にぞっこんで、

「自分の存在を植え付け、性が目覚めた瞬間に自分を見て欲しい」

という第一の目標は達成されたわけです。
しかもいつもあなたの方を向いている「ひまわりになりたい」と、
ちょっぴりくさいセリフが可愛らしいが、
22歳も年上の真由子をここまで好きになってくれたのは予想以上の成果。

しかし諒一と百合夫妻も二人の関係に気づいていないわけもなく
直巳が大学生の時に父親からどういうつきあい方をしているのか聞かれたという。

ちなみに直巳の父親である諒一は作家ですが、
真由子は担当編集者なので仕事で関わっており、
ちょくちょく沢宅を訪れているのです。

そんな真由子も諒一から直巳との関係を聞かれたのですが
彼女は上手くはぐらかしていました。

ただ、父親である諒一は息子が心配というよりも
妻の百合が息子を心配していて色々と「面倒くさい」のだという。

「面倒くさい」

真由子は大学生の時に百合から聞かされた言葉でした。
未経験の女性は面倒だから・・・ということを諒一から言われたらしく
しかし百合は既に男性経験はあるといい、二人は行為に及んで妊娠した、と。

幼い頃から諒一を兄さんと慕ってきた彼女は彼だけ見ていて
同級生の男子には目もくれず、思春期から大人になるまで
ずっと自分を守ってきたのです。

女性にとって大切なモノだと信じてきたのに
それを彼は「面倒くさい」という言葉で片付けてしまったあの時の衝撃は忘れていない。

そして今回である。
また、彼の口から「面倒くさい」が出てきたので
真由子は傷ついた学生時代を思い出してしまったのです。

 

大人になった直巳

直巳が二十歳の誕生日を迎えた日、
真由子は今日一日だけはあなたの言う通りにするといい、
二人は初めて男女の関係を持った。

今まで何度か親に内緒で一夜を共にしたことはあったけど
真由子は一線を越えることはしなかったのです。

しかし二十歳の誕生日という特別の日は彼の望み通りにしてやり
その代わり、一生私の奴隷になりなさいと心の中でつぶやいていたのです。

二人でシャワーを浴び、濃厚な夜を過ごす・・・
やがて彼は大学を卒業し家を出て、いずれ真由子と一緒になる、
そんな彼の考えを知った時、真由子は復習の達成感をしっかりと味わったのです。

 

大切な人を二人も奪われたんだから私も・・・

仕事の用事で沢邸を訪れた真由子は百合から全て知っていると告げられる。
息子の直巳との関係は興信所で調べたと言い、
幸せそうにしているのは息子を手に入れたからなのね、と。

息子と付き合っていたことについてあまり感情的にならなかった百合ですが
真由子から「息子と関係を持っている事は諒一さんは把握している」と言われ怒りを露わに。

百合は、夫がまだこのことを知らないと思っていたので
諒一さんに話したらどんな反応をするのかしら?
なんてことを真由子に話したのですが、
上記のように既に知っていたので自分は蚊帳の外扱いをされたことに怒りを爆発させたのです。

もう、あんな息子なんていらない。
息子を「心のなかで死なす」からいい、あなたにくれてやるわ、と。
狐のようにツリ目になった百合は勢い良く去っていったのです。

 

結果的に二人の男を奪うことに成功した真由子

これはある意味予想外の展開なのかもしれない。

百合の捨て台詞で、気もちが沈んでしまった真由子は、
これまでの事を全て誰かに打ち明けたい、
と思っても誰も相談できるような人はおらず
結局、連絡をしたのが諒一でした。

幼いころからの憧れのお兄さんで、百合に取られた人。
彼に会いたいと言ったら駆けつけてくれて、
結局、一夜をともにしてしまった二人。

これで百合から息子の直巳と夫の諒一を奪ったことになるのだろうか。

しかしこの後、またしても百合によって悲劇が起きてしまうのです。

 

百合の暴走、悲しい結末

夫の諒一が講演会先で倒れたから一緒に行って欲しいと
頼まれた真由子は、助手席に百合を乗せて猛スピードで講演先へ向かったのです。

しかし百合は、ある覚悟を持って真由子を誘い出していました。
夫が倒れたというのは嘘で、真由子に制裁を加えてやろうと思っていたのです。

助手席に乗っていた百合は急にハンドルに手をかけ、
事故を起こさせたのですが、運が悪いことに百合は即死、
真由子は下半身不随で言葉を発することができなくなってしまった。

車椅子生活を余儀なくされてしまった真由子は
直巳に介助されながらストレスを抱えて生きていくことになります。

ちなみに諒一は百合を亡くした後すぐに若い女性と結婚。

どういう終わり方をするのか気になっていましたが
まさかこんな寂しい終わり方をするとは・・・予想外といえば予想外。

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彼女は賢者になれたのか?「賢者の愛」の感想

真由子は愛読書である「痴人の愛」のように、親友の息子に同じ名前を付けて、同じように調教したわけですが、ナオミに心奪われることは無かったため、「痴人の愛」のような愚かな人間にはならないと自分で断言した通り・・・ではあるものの、果たして彼女は冷静に復讐出来たのかといえば疑問です。

ナオミとの関係は随分前から百合に気付かれていたようで、彼女の追求に冷静さを失い、最後に頼ったのは諒一でした。

父親が弟のように慕っていた諒一は高中家の離れに下宿して生活していましたが、そんな年上の彼を幼いころから好きだった彼女。親友だった百合に奪われたとはいえ、彼のことを忘れることが出来なかった真由子は諒一と一夜を共にし、改めて彼のことが好きだと認識する。

百合から「諒一が倒れた」という情報に動揺し、百合の暴走のような復習で下半身不随になってしまった結末は骨抜きにされた「痴人の愛」の主人公に似ていると思う。と言うのも車椅子生活で直巳の介護無しでは生きていけないのだから。

長くなってしまったので感想は次のページで・・・