映画「寄生獣」が公開されるということで、もう一度漫画を読み直してみると、
色々と興味深いことが見えてきます。
その中でも、最終巻には作者の感想も添えられており、結末にも言及されています。
今回は、寄生獣の結末について、特に後藤の部分を作者が語った話を参考にご紹介していきたいと思います。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
人間の手によって殺された後藤
5体も寄生している後藤の体は、ほぼ体全体をプロテクトしており、完璧な状態に思われていましたが、
寄生している繋ぎ目が唯一の弱点でした。
主人公の泉新一と後藤は山林で戦いを繰り広げていましたが
不法投棄されたゴミ山の中から錆びた鉄棒を引っ張りだした新一は、
後藤の弱点に突き刺し、結果的に毒(有機塩素化合物?)を体内に送り込むことに成功。
コントロールを失った後藤はミギーの一撃で分裂、崩壊、
弱々しい動きで結合を試みるも・・・・・。
そのまま放置しても助かる確率は五分と五分。
新一とミギーは、手を下す事無くその場を離れるかとおもいきや、
結局、新一は
「ごめんよ、お前は悪くないよ」
といい、トドメを刺し、後藤との死闘は幕を閉じました。
後藤が死なないもう一つの結末
作品完結後に作者の岩明均氏が8巻(完全版)、巻末に結末についての感想を載せていました。
実は後藤は死ぬ予定はなく、復活した後藤を残して新一たちはその場を去ってしまうというパターン。
更に復活した後のストーリーは2案あり、
1つは完全復活したものの、汚染された日本を嫌い、巨大な翼に変形して美しい自然を目指して飛び去っていく
もう一つは完全に復活できず、人間に無害の別の生き物として山の中でひっそりと生き続ける
(引用:寄生獣完全版8巻)
2案とも寄生獣としての本能を失った後藤が描かれてしまうと、ちょっとさみしい感じもしますが、
作者も後藤のことを「美しき野生」「偉大なる大自然」など素晴らしい形容詞で表現されており、
壮絶な戦いの結末は後藤の死で終わらせたほうが良いと考えたのでしょうか。
そしてその死のきっかけは、人間が不法投棄した燃えカスによるものだとしたら、
更に読者も色々と考えさせられること間違いないでしょう。
最終的に泉新一の手によって後藤は死んだわけですが
この時の主人公も心のなかで葛藤をしています。
人間に害があっても地球規模で考えれば害ではない・・・。
しかし家族を守るために瀕死の重傷を負った後藤に最後の一撃を加えたのは人間らしい行動です。
ミギーも言ってました、
「地球のために」と言う人間は大嫌いだと。
さて、
作者いわく、
結果的に内容は良くなったと語っており、全体を通して変更や修正点があったものの、
良作を創ることが出来た喜びを最後に綴っています。