「貴族探偵」原作小説のネタバレ「推理せんのか~い」な展開が面白いw

4月17日夜9時からフジテレビ系で放送されることになった今作。

ミステリー小説で探偵モノですが、そこら辺にある、ごくありふれた推理小説じゃありません♪

身元は一切不明だけど執事やメイドなどの使用人を従え、殺人現場に現れてはサラッと事件を解決する謎多き男。彼は一体何者なのか?そんな、ちょっと変わった主人公が活躍するストーリーがドラマ化されることになりましたが、その変わった主人公を演じるのが嵐の相葉くん。

そして彼の相手をするのが新米探偵役の武井咲さん。脇役も生瀬さん松重さん、滝藤さんなど面白そうな人達ばかりなので、そろそろ月9の視聴率も上がりそうな?予感がします。

今回は気になる原作小説を読んでみましたので、徹底紹介。ドラマの参考にしていただければと思います。

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どんなお話し?

事件を解決する主人公は、故あって名前を申し上げることは出来ないらしいが、由緒ある家柄の人らしい。

背が高く色白でスッキリとした顔立ち。口元にはヒゲをはやし、皇室御用達の常磐洋服店のスーツを着こなす紳士然とした男だ。

殺人現場に姿を表し、執事やメイドを従えて、事件をサラッと解決するのだが、彼は一切口を挟まない。現場を調べるのも推理するのも全て使用人任せ。現場を担当する刑事からは

「あなたがやるんじゃないのですか?」

と、読者も突っ込みたくなる内容ですが、現場の調査や推理、そしてよくある事件の真相を皆の前で説明することも全て使用人任せという、まさに「貴族」らしい立ち振舞いが特徴の主人公。

更に、なぜか知らないけど警察上層部にコネがあるらしく、現場の刑事が不審に思っても彼に従わざるを得ない。

椅子に座って温かい紅茶を飲みながら、殺人現場であるにも関わらず女性を口説くプレイボーイな彼。ミステリアスで今までにない?斬新な探偵モノの小説です。

 

短編5編「貴族探偵」のあらすじ、詳しく解説※ネタバレあり

短編集で構成された今作は、「ウィーンの森の物語」とか「春の声」などヨハン・シュトラウスの曲名がタイトルという洒落たもの。さすが全てにおいて華やかさのある作品です。ちなみに女探偵が登場する続編のタイトルは百人一首から引用されています。それでは1つずつ章を解説です。

1、ウィーンの森の物語

会社社長が何者かに殺されるという山荘で起きた殺人事件。一応密室状態で、鍵は被害者ジャケットのポケットに入っていた。何者かが糸を使って部屋の外からポケットに鍵を入れるという典型的なトリックだから、「「なんだ、知ってるよこのトリック」と思わせておいてからの展開が面白い。

犯人が糸を引っ張った時に切れてしまい、部屋に少しだけ糸が残った状態になり、せっかくの密室が台無し、と言うところから始まる。ネタを明かしてしまうと犯人は社長夫人。彼女はスペアキーを持っているので密室状態を作れば、彼女は疑われないと思ったのだろう。しかし、糸を使ったトリックが失敗したことによって、ズルズルとドツボにはまっていく様が描かれる。夫が女秘書と出来ていればね、動機は十分です。

 

2、トリッチ・トラッチ・ポルカ

廃倉庫から30代前後の女性の死体が発見され、その遺体は全裸で頭部と両腕の肘から切断された状態だった。頭部・両腕、衣服や凶器などは全て持ち去られ、被害者の身元不詳で捜査が開始されたが、意外と早く持ち去られた頭部などが別の場所で発見された。

と言うのも隣町の河原でダンボールを埋めている男が目撃され発見に至ったのだが、男は埋めたことは認めたが殺害の関与は否定。亡くなった女性は夫とマンションで二人暮らしをする主婦。捜査を進めていくと、どうやら主婦は不特定多数の人間を脅していたらしいが、ダンボールを埋めた男も強請られた内の1人で、殺された女性が通っていた美容院の美容師が真犯人だった。

美容師は男をスケープゴートにしたわけだが、警察のみの捜査なら間違いなく男が捕まっていた。しかし貴族探偵によって美容師のアリバイ工作が見破られ、あえなく逮捕となる。

ちなみに殺された女性の手帳には「K」という文字があり、どうやら探偵のことらしく、事件の翌日に彼女と会う約束をしていた。しかし彼女は殺されてしまったため、今回の事件の捜査に乗り出した、ということになる、のかな。

 

3、こうもり

二人の女子大生が旅先で殺人事件に巻き込まれてしまう、と言うありがちな話ですが、5作品の中でも一番の問題作で個人的にも「凄い!」と思ってしまった作品です。

双子だから外見がそっくりな男たちによる替え玉作戦で上手くアリバイを成立させながら犯行に及ぶトリックはさほど目新しくありませんが、替え玉の弟の名前を大胆に文章に入れてくる手法は斬新でした。弟は事件の真相が明らかになるまで名前も登場しないのが普通ですよね。

実は女子大生の二人と話をしていたのは弟だったのです、というのをラストで知ることになるのがミステリのあり方だと思いますが、著者はあえて弟の名前をさらりと登場させて、読者には真実を伝えていたのです。もちろん物語の女子大生たちは兄と会話をしているという体なのですが・・・。

何となく読んでいるだけでは、見落としがちな部分ですが、わかった時はストーリーがグッと面白くなる手法です。

 

4、加速度円舞曲

友達に旅行をドタキャンされ、彼氏に裏切られ、挙句の果てに運転中に大きな岩が落ちてきて車が故障してしまった可哀想な女性。そんな不運な女性が殺人事件に巻き込まれてしまうお話。

岩は意図的に落とされたのかもしれない。落ちてきた上方に建物があったので偶然通りかかった探偵とともにお宅を訪問、有名な作家が仕事場として使っている別荘で、中に入ってみると、その作家は何者かによって殺されていた。

プレイボーイな探偵はもちろん、事件が解決したらディナーを一緒に・・・なんて不運な女性を口説きながら自分はソファでのんびり寛ぎ、使用人に仕事は任せている。

事件の真相は作家の編集者と、作家の妻の不倫が現行犯でバレてしまい、争った末に作家が殺されてしまったという。しかも殺害現場は仕事場ではなく自宅で、妻達は遺体をわざわざ仕事場に持ってきてアリバイ工作をしたが、探偵の使用人に見破られてしまう。

岩は車を動かすのに邪魔だったので落としたが、まさか崖の下の道路にまで転がってしまい、女性の車が故障し、通りかかった探偵とともに作家の仕事場に行かなければ事件の真相は暴かれなかったのかもしれない。

 

5、春の声

家柄の良い娘の花婿候補を3人招待し、そのうちの1人を娘に選ばせるという古風なイベントが行われた桜川家。戦前に伯爵を賜った由緒ある家柄らしい。

花婿候補となった3人は本邸から離れた3階建ての別邸に、それぞれ喧嘩にならないように各階の部屋を与えられたわけだが、ここで殺人事件が起きてしまう。3人をA・B・Cとしよう。「Bが死んでいる」とAが本邸に連絡したことで事件が発覚。

詳しいことは割愛しますが、当初、AがBを殺し、BがCを殺し、CがAを殺したかに見えたが、探偵の使用人の推理によってAがCを、CがBを、BがAを殺したとわかった。もちろん、このままでは当初と変わらず不可能な殺人となるが、Aが殺された凶器は果物ナイフですぐには絶命せず、気が動転していたAは痛みを感じずに、その勢いでCを殺し、その後に絶命したらしい。

Aは本邸に連絡した後、意識を失い倒れたと思われる。結婚したくない娘の犯行かと思われたが、結局ライバル同士の殺し合いだったということ。殺人をライバルになすりつけて、自分だけ生き残ろうとしたが、失敗に終わった情けなくも悲しい事件だった。

 

今までに無い?ストーリー「貴族探偵」の感想

現場に赴かずに頭の中で推理するという「安楽椅子探偵」という言葉がありますが、今作はどうやらそれではないみたい。確かにソファーに座って暖かい紅茶を飲みながら事件を解決をしますが、捜査や推理は全て使用人に任せるというやり方は安楽椅子探偵に当てはまらない。

彼は由緒ある家柄らしく、運転手やメイド、執事、はたまたボディーガードも引き連れて来ることから相当の資産家だと思われます。更に警察上層部とコネがあるらしく電話一本で現場刑事を黙らせる彼の力は計り知れない。また、第1章や第4章からも分かる通り、資産家や名家の知人も数多くいらっしゃるようで、非常に気になるけれど、手がかりとなる情報は一切読者に与えてくれない。

しかし、そんな謎に包まれた主人公が特に重要というわけではありません。ミステリー小説でよく使われる古典的なトリックだと思わせといて、いい意味で読者を裏切る、あっと言わせる構成が最大のポイント。

短編どれもがアレンジを加えられた予測不可能なミステリー。今度は女探偵と推理を競い合うようですが、そちらも楽しみです。読んだらまた追記しますね。

女探偵が登場!次作の徹底紹介記事はこちら♪

ドラマと小説の違いは?

ドラマで召使として登場するメイドは中山美穂さん。小説は20代の可愛らしい女性なので年齢的な違いがありますが、彼女のメイド姿は非常に気になりますね。そして同じく召使で運転手の佐藤は半沢直樹で有名になった滝藤賢一さん。小説はボディーガードという設定は同じですが、巨漢なのでこれも少し違いますね。

また、ドラマでは刑事役に味のある生瀬さんが登場。小説は特定の刑事ではなく、現場ごとに違うので、相葉くんと生瀬さんのやり取りが名場面になりそうな予感です。

気になるのは「謎」とされる仲間由紀恵さん。まだVS女探偵のほうは読んでいないのでわかりませんが、ドラマオリジナルだとしたら、物語にどういったスパイスを与えるのか楽しみですね。