やはり勝てないのか「貴族探偵対女探偵」のあらすじ※ネタバレあり

嵐の相葉くんが主演でドラマ化されることになったシリーズ作の2作目。(と言っても2作しか出ていませんが・・)

今回は貴族探偵と新米女探偵の推理合戦が繰り広げられる前作には無かった多重推理が楽しめる一作となっています。

接戦が繰り広げられるのか、それとも・・・?

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簡単なあらすじ

今作の主人公は高徳愛香(たかとくあいか)(高知・徳島・愛媛・香川から取っているのかな?)。大学を中退してはや5年、独立して半年と書かれているのでまだ20代なんでしょう。「名探偵」と名高い師匠のもとで修行をしたという彼女ですが、まだまだ新米です。

事件は解決したことがあるけど、失敗も多々あるようで・・。そんな彼女が旅館や学校、はたまた離れた小島で起きた殺人事件に挑むお話し。

それだけなら、そこら辺にある推理小説と同じになりますが、前作を知っている方なら、お察しの通りです、あの正体不明の貴族と名乗る謎の男が現れるわけです。

女探偵が必死になって聞き込み調査、推理を披露しますが、その間、くつろぎながら紅茶を楽しむあの男。

女探偵は新米だから推理をハズすというのはわかりますが、毎回、貴族探偵に対して「あなたが犯人です!」という展開は、流石に笑わずにはいられませんw

ただ、そうしたパターン化された展開の中で、読者を唸らせる前作のトリックなどありますので、女探偵を温かい目で見守りながら、一つの事件で様々な推理の仕方があるのだと感心する一冊に仕上がっているのだと思います。

5章のラストは「そうきたか~!w」と思わず声に出してしまいそうな結末ですよ~。

 

もう少し詳しく「貴族探偵対女探偵」のあらすじ※ネタバレあり

短編5作品が収録されている今作。百人一首の一文を切り取ってタイトルにしているのが特徴です。

1、白きを見れば

愛香は大学時代からの親友・紗知の誘いで彼女の父が所有する山荘にお邪魔することになった。この山荘の地下室には、いわくつきの古い井戸があり、死体を投げ込むと上がってこないという言い伝えがある。

そんなオカルト的な要素に興味を持った愛香は到着そうそう紗知と一緒に地下室に向かったのだが、そこには紗知と同じ院生の男子学生が血を流して倒れていた。

山荘に来ていたのは紗知のゼミ仲間と1人だけ年齢が上の髭を生やした男。亀井と名乗ったが彼がまさしく貴族さまだった。

犯人は誰?

愛香は理路整然と皆の前で自分の推理を披露し、犯人は亀井だと主張・・・しましたが流石に貴族様が犯人のはずありません。そこで亀井と名乗る男は使用人に連絡をして、自家用ヘリで飛んできたのが山本という執事。貴族の正体は不明ですが執事がヘリで飛んで来るわけですから、そこら辺のお金持ちとはわけが違います。

さて、前作をご存じの方ならもうお分かりかと思いますが、推理をするのは使用人でございますw

初対面の愛香はもちろん、

「どうしてこの人が推理するの、あなたが探偵なんでしょ?」

と、当然の疑問を投げかけるわけですが、貴族が労働するなんてバカなことはしない。何のために使用人がいると思っているのか。と、さもそれが当たり前のような口調で言うのだから開いた口が塞がらない。

執事の山本は愛香の推理がどこで間違ったのか指摘しながら、見事今回の事件を解決したわけですが、納得行かないのは愛香。自分で推理していないのに探偵を名乗るなんて・・・。

じゃあ解決できなかった女探偵さんは探偵なのですか?

という腹の立つ一言を残して去っていった亀井と言う名の仮名(かめい)を使った貴族さま。愛香にとってこれが序章に過ぎないことをまだ彼女は知らない・・・。

 

2、色にでにけり

第1章に続いてこちらも別荘で起きた事件。

旧華族の家柄で大手製薬会社の会長を父に持つ玉村依子。誰もが認めるお嬢さんだけど、性格は女王様。不特定多数の男性と交際することに何か異論があって?と言わんばかりの性格で、現在も3人の男性と交際中で誰が特別というのは無いらしい。

そして今回、彼女の豪邸に招待された3人の男性。その中に例のあの人が入っているというのは何となくお察しかと思います。それにしても恋人を家族に紹介するのはいいけど3人も連れてきて家族はどうリアクションを取ればいいのやら・・。

でも依子の性格は家族も承知。そんな依子の家族を紹介しておくと、父親と継母・示津子、兄の豊、そして最近生まれたばかりの赤ちゃん・礼人(のりひと)

招かれた3人の男性の1人が株をあげようと得意の占いを披露したが赤ちゃんの礼人を占った時に言葉がつまり、家族の前から逃げるように提供された部屋に閉じこもってしまった。なにも占いの結果が悪いからって遠慮しなくてもいいのに・・・。

家族はそんなことを考えていましたが、占いを披露した男性は翌日遺体となって発見された。一体誰が彼を?・・・

犯人は誰?

3年前の事件の関係者として依子と面識のある愛香。警察にはもちろん通報済みなのですが、依子は愛香にも依頼。ということでここでも愛香と貴族が鉢合うわけですが、今回も彼女は彼が犯人だと主張。彼女なりの推理の結果らしいのですが・・・。

当然、貴族が犯人のはずありませんので、役に立たない女探偵の代わりに貴族の使用人が登場。彼の推理では兄の豊と継母の示津子の犯行だという。赤ちゃんは父親と示津子の子ではなく、豊と示津子の子だと姓名判断で気付いてしまったので殺されたのだという。

「礼」の旧姓は「禮」。兄の豊という字と示津子の示という字で成り立っている。殺された男性は旧姓で姓名判断して、そのことに気付いてしまったということです。

 

3、むべ山風を

今回の舞台は大学。学内のちょっとしたトラブルで依頼を受けた愛香は少し戸惑っていた。え?何故って?決まってるじゃないですか、常磐洋服店のオーダーメイドでビシっと決めているあの男が眼の前にいるのだから。どうやら女性の准教授と現在は交際しているらしい。相手変わって主変わらずとはよく言ったものだけど、彼は一体何人の女性と付き合っているのだろうか。

そして二人がいる所に事件あり。男子学生が何者かによって殺されてしまったのだ。少し端折らせてもらうと、いつものように愛香は聞き込み調査をして皆の前で自慢の推理を披露するのだけど、なぜかまた貴族を犯人だと言い張る彼女。良いところまでいくんですけどねぇ、残念です。

そして貴族のメイドとして働く可愛らしい女性が愛香をフォローするように的確な推理を披露して事件は解決。学生同士、恋愛のもつれの末に起きた悲劇でした。

 

4、弊もとりあへず(1巻のトリックが再来!)

愛香は友人の紗知に新潟県の温泉旅館に誘われて二人で行くことになった。その旅館はいわゆる「座敷わらし」のような噂のある旅館で、岩手の有名な宿ほどじゃないけど、「出る」と噂の建物は別館になっており、開放は1ヶ月に一度。なかなか予約が取れないけど運良く取れたのだ。

座敷わらしにあやかりたいと、愛香達意外にも数人宿泊客が来館。言うまでもないですが宿泊客の中に例の男が居るのは自然な流れでしょうね。

そんな「霊」が出るかもしれないという旅館でも殺人事件が起きてしまうのですが、前巻の第3章「こうもり」のテクニックをまたお目にかかるとは思いませんでした。

男性でも女性でも違和感の無い名前の宿泊客二人は名前を交換して来館。サラッと読んでしまうと「女性が殺された」という流れで読み進めますが、結末でタネを明かされてビックリ。ただ、殺された名前は間違っていなかったので嘘は書いていないわけです。「嘘は書いていない」けど読者が騙されやすい描かれ方をしているのです。

では主人公の愛香はどう見ていたのか?

彼女はもちろん、殺害されたのは男性だと認識していましたが、名前は別の人間として認識していたので、当然推理もあやふやになってしまったということです。どちらにしても貴族を犯人にしてしまう彼女はダメですけどねw

 

5、なほあまりある

高知県の西海岸に宿毛という港町がありますが、そこから数十キロ離れた南西に小さな小島が今回の舞台。作中では「亀来島」という名前で登場していますが、本当にあるのは鵜来島(うぐるじま)です。

主人公の愛香は四国の4県から名前を取っているので、最終章として相応しい場所ですね。

島は個人所有のもので、愛香は客として呼ばれたのではなく、探偵として依頼され行くことになった。しかも誰からの依頼かは不明なので普段ならお断りするのですが、仕事の不調続きで経済的に良いとは言えないので高額報酬案件につい首を縦に振るしか無かった。

さて、島について一番に驚いたのが島を所有するお嬢さんのお友達ということで依子がいたのです。やっぱり依頼者は彼女なのでしょうか。

美しい景色が広がる離れ小島で客人を迎え、一時のバカンスを楽しむ皆さん。しかし幸せな一時もつかの間、また事件は起きてしまうのです。

ちなみに、もちろんですが、客人の中にあの男が含まれているのは言うまでもありません。

最終章はいつもと違う面白い展開に!

客人の中で、以前ひき逃げ人事件を目撃したという人がいて、犯人の顔が思い出せなかったけど、突然今になって思い出した!という。しかもその犯人は客人の中におり、警察に通報されたくないので殺害したということです。

今回の章は事件の内容はさほど重要では無いんですw

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実は貴族の使用人は嵐で島に行くことが出来ず、女探偵の愛香が見事事件を解決したのです!やった!愛香ちゃん、おめでとう♪なんて思っていたら、彼女を今回この島に呼びつけたのは貴族だった。

使用人が諸用で貴族に帯同することでできなかったので、使用人代わりに愛香を雇ったのだとかw。もちろん今回事件が起きることは想定外なのですが・・。

ということは?今までの解釈から、使用人が事件を解決したのだから貴族が解決したことになるということですね。絶叫してしまった愛香さん、今回もお疲れ様でした♪

前巻の徹底紹介記事はこちらです