映画は、2015年2月28日(土)~公開
原作本のジャンルは青春小説です。
小さな合唱部、知れば知るほど楽しくて好きになる。
彼らの人生のハーモニーは
音楽教室を飛び出し、コンクール会場の大空間いっぱいに広がっていく…
物語は、ナレーションを務める中学生の男女2人を軸に展開していきます。
子供たちが自分自身で成長を遂げていく様子がほんわかと描かれていて、
彼らが味わう痛みと高揚感が私の中でも「共感」として広がりました。
私は、吹奏楽だったな。筋トレやコンクールも懐かしい。
貰い泣きしながら原作本を読み終え、翌日に映画の予告編動画を見ると…
第一印象では小説と随分変わっている感じ。
単純に考えれば、柏木先生(新垣結衣さん)が主役になるように調整してあるのかな?
ピアノ弾かない設定も映画バージョン。どう展開するのかな?
(美人なのに飾らず、とぼけた可愛さのある柏木先生を最初から新垣結衣さんのイメージで
読みましたが、イメージはぴったりでした)
という訳で、映画と原作の感想は微妙に変わってくるかもしれませんが、
「原作小説の」あらすじや感想を書いていきますね。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
原作あらすじ
自然たっぷりの環境、九州最西端の五島列島にある大きめな島で暮らす中学生達の物語。
物語の中心となるのは、小さな合唱部。
女の子だけで熱心にワイワイ楽しくやっていた。
平穏な合唱部の変化が起こるきっかけは、部活の担当教師・松山ハルコ先生の産休。
代行を務めるのは東京からやって来た、美人だけど淡白な柏木先生。
美人教師につられて入部する男子と女子の衝突。
先生達の秘密、生徒達の秘密。
幾つかの甘酸っぱい恋愛と、家庭の事情。
合唱コンクール当日、直前までドタバタ!
良質な合唱をするには団結力が必要、波乱を乗り越えられるのか!?
★
コンクール曲を熟考するために出された提出義務の無い宿題、
「十五年後の自分に宛てた手紙」を通して描かれる思春期の心情が静かに響きます。
何気なく本を読み始めましたが、合唱曲の歌詞に符合するストーリーでした。
後半は、合唱の課題曲であり
映画の主題歌でもある「拝啓 十五の君へ」に関しての感想と、見どころまとめ。
合唱曲「拝啓 十五の君へ」
物語の中で、生徒達が取り組む合唱の課題曲がアンジェラ・アキさんの「拝啓 十五の君へ」。
映画での主題歌でもありますが、
実際に2008年のNコン(NHK全国学校音楽コンクール)中学校の部の課題曲でした。
拝啓、と始まる歌詞。
「十五の僕には誰にも話せない、悩みの種があるのです。
未来の自分に宛てて書く手紙なら、きっと素直に打ち明けられるだろう…」
中学生の合唱にぴったりな、
「十五歳の僕」と「大人になった僕」が手紙で悩みや想いを伝え合う内容です。
一時流行っていたのは知っていたけど、しっかり聞いたことが無かったので
合唱バージョンを探して聞いてみました。
大人が歌うよりも15歳くらいの年齢の子達が歌うと説得力があり、じわっと浸透してきますね。
自分の奥にしまってある(良い思い出ばかりではない)中高生時代の部分に浸みました。
参考に聞いてみた:物語で歌われる合唱バージョン(混声3部)
原作が、中学生の男女2人が交互にナレーションを務める書き方なのは、
合唱の様に交互に構成されているのかもしれませんね。
見どころ
【悩み】それぞれの悩み(秘密)を持つ主要人物達。
過去や家庭の事情に縛られる宿命は変わらないけど、
人と人が出会い、運命はゆっくりと変わっていく。
意外なところでつながる人間関係と発見が温かく、心地よいハーモニーが生まれます。
【恋愛】男女が大勢登場するので、幾つかの恋がざわつきます。
ちょっと捻じれたストーリーが微笑ましく、ゆっくり応援したくなりました。
【合唱コンクールの前後】
悩み、心配事、恋愛、やらなきゃいけない事…物語は常に同時進行。
合唱コンクール直前・直後にも様々なストーリーが動き、悪戦苦闘!
柏木先生の長いスカート着用には理由がありました。
履いている理由ではないのですが、これも物語のヤマで役に立ちます。
映画でもこのシーンは登場して欲しいな。
タイトル「くちびるに歌を」は、産休でお休みする松山先生の教え。
このフレーズが役立つ頃、物語はクライマックスに。
★
この本の著者の映画化本『百瀬、こっちを向いて。』と同様に、
全体的にほんわかとして、切なく明るいところが私好みの小説でした。