映画「マネーショート」原作「世紀の空売り」あらすじと感想「サブプライムローンの全貌が明らかに」

2016年3月4日に公開となる今作。
日本にも多大な影響を与えたサブプライムローンを題材としたストーリーで
時系列にその全貌が明らかになり、
また金融市場の破綻を予測し、とんでもない額の「売り」を仕掛けて
大金を手にした男たちの物語です。

忘れもしない2008年・・、
世界同時株安・為替の暴落など世界的な経済危機をむかえる原因となったサブプライムローン。
そもそも住宅ローンからどうして投資銀行が絡んでくるのか、など
私もなんとなくわかっているようで分かっていなかった部分が
改めて整理できたのかな?と思います。

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もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)

「世紀の空売り」あらすじ

アメリカの住宅ローンが債権化されウォール街の投資銀行が次々と参入し
金融業界ではサブプライムモーゲージ債を扱う大きな市場が出来上がっていました。

しかしサブプライムローンは本来ローンを組めないはずの
低所得者層の住宅ローンであり、最初の2年は固定金利ですが
2年後は大幅に金利が引き上げられ、結果払えずに債務不履行に陥る。

そんな危なっかしい債権が商品化され市場で売買されていたのです。

この低所得者向けの住宅ローンがいずれ崩壊して住宅価格が下落する、
と早くから危険を察知して保険をかけていた男たちがいました。

金融業に携わっていた両親の影響でその世界に入った変わり者のスティーブ・アイズマン、
元医師という肩書を持つマイケル・バーリ、
アイズマンから「市場が下がる方に賭ける話を持ちかけた」ドイツ銀行のトレーダー・グレッグ・リップマン
長期オプションで多額の利益を得たジェイミー・マイとチャーリー・レドリー、

2005年~2008年にかけて彼らが取った行動がリアルに描かれている今作。
世界経済危機の発端となったサブプライムローンを知るとともに
上記で挙げた男たちの人生も垣間見ることが出来るエンターテイメント性が高い実話ドラマです。

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「世紀の空売り」感想

冒頭でもお話した通りサブプライムローンというのがいまいちよくわからないという方も多いはず。

実は住宅ローンの円滑化を目的とした商品は以前から市場に出回っていましたが
悪質なローンではないし国が保証していたので安定していたようです。

もちろん借り手もそれなりに審査が通るような人達なので
毎月の返済が滞るようなことも無いでしょう。

問題はそんな安全な仕組みから除外された人達(低所得者層)に
住宅ローンを組ませて、それが金融市場に流れ、投資銀行が商品化して投資家たちが挙って買っていた、
というのがサブプライムモーゲージ債なのです。

さらに低所得者に貸しつけたローンの金利は
2年は低金利だけど3年目はドーンと上がるという変動型金利。

これを知ったマイケルバーリは、特に2005年に貸しつけたローン返済者達は
2007年以降に焦げ付き始めるぞ!という当たり前のことなんですが
市場の人達は何故か目を向けようともせず、

「落ちても最悪の結果にはならないだろう」

という、マイケルバーリから見れば市場の人達は愚か者ばかりだったということです。
しかしサブプライムモーゲージ債はかなり巧妙に複雑化していたのは事実。

下の図はサブプライムモーゲージ債がパッケージされた商品「CDO」の構図です。

cdo01

津波は例え話と思ってください。
サブプライムモーゲージ債の中でもリスクがある物から最もリスクがないものなど
それぞれ分けられ1つの塔として建てられたのがCDOというものです。

このCDOのそれぞれの階層をムーディーズなどの格付け機関が評価し、
それをもとに投資家が購入するわけですが、これがまた問題だったのです。

ぶっちゃけた話、格付け機関は中身をしっかりと確認しないまま評価した
と言っても過言ではないでしょう。

さらに悪質なのは、リーマン・ブラザーズゴールドマン・サックスなど
売れ残った質の悪い債権をまとめ直して商品化し、格付け機関に

「リスクは分散化していますので安全です」

と言ってAAAの評価を受けて販売していたのだからたちが悪い。
リーマン・ブラザーズは御存知の通り倒産しましたが
ゴールドマン・サックスは2016年1月に不正販売による制裁金18億ドルを支払っています。

マイケルバーリ元医師が市場を撤退した理由とは?

長くなってしまったので2ページに分割しました