大橋鎮子のやさしい父親・大橋武雄・結核で短い生涯・家族を託し想いを受け継ぐ娘

4月4日から高畑充希さん主演で始まる朝ドラ「とと姉ちゃん」。
姉妹が支えあって生きていく姿を描く、今作も笑いあり涙ありのドラマです。

今回はそんな姉妹の育ての親で若くしてこの世を去った父にスポットを当ててみたいと思います。
ちなみにこちらの「「とと姉ちゃん」モデル大橋鎮子の波乱万丈の生涯「おてんば娘が暮しの手帖の社長になるまで」でも詳しく書いていますので
重複するところがほとんどですが、3月25日に発売された別冊「しずこさん」も読んでみましたので
こちらで新しく書けることもありそうです。

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大橋武雄の父親もまた結核で

武雄は岐阜県大垣市の3人兄弟の次男として誕生。
父親は結核で若くして亡くなり、幼いころは母親と親戚の叔父たちに育てられ、
10歳の時に大橋谷吉・きん夫妻の養子となったのです。

鎮子さんから見て祖父の従兄弟である大橋谷吉は東京江東区の深川で材木商を営む家庭。
武雄は岐阜県から上京し深川で暮らすことになったのです。

ポイント!
朝ドラでは母方の祖母が材木問屋という設定になっていますので逆ですね。

深川の小学校、そして中学は府立一中(昭和18年まで東京都ではなく東京府だった)、
府立一中は現在の日比谷高校、その時に先輩の栃内吉彦氏に誘われ、北海道大学へ進学。(栃内海軍大将の息子)

子宝に恵まれなかったのか分かりませんが、養子が欲しくて武雄を迎い入れたわけですから
当然、両親は大反対。

先輩の誘いだけでなく北海道という広大な大地に行ってみたい!
岐阜県出身の彼にとって東京の暮らしは窮屈だったのかもしれません。
反対を押し切って北海道大学へ進学したのです。

東京に戻り就職、そして結婚

北大を無事卒業した武雄は東京に戻り、1919年4月に日本製麻株式会社に就職。
そして北海道で運命的な出会いを果たした宮原久子さんと5月に結婚。

久子さんとは北海道の病院で偶然知り会った人。
彼女が北海道に帰省していなければ二人は出会わなかったことを考えると、ちょっぴり運命を感じますね。

工場長に就任、再び北海道へ

1921年、就職して2年目で工場長に就任した武雄。
異例の大抜擢なのか、それとも大卒だからなのか分かりませんが
小樽にほど近い小沢の工場に勤務することになりました。

この時期は鎮子さんも幼かったので記憶があまりなく、
唯一、妹の晴子が生まれたことだけ覚えているそうです。

程なくして武雄は岩見沢の近くの萱野(かやの)に転勤することになり
また家族は引っ越しをすることになってしまいましたが
ここ萱野でどれくらい経ったでしょうか、
父親が風邪をこじらせ、体調が一向に良くならないので会社が勧めてくれた気候の良い道内の虻田の工場に勤めることに。

虻田は海に面しているところで鎮子さんはここで初めて海を見たとか。
そして家族で洞爺湖に遊びに行ったことがあるようですが、
父の病気で家族全員揃って出かけるのは数えるほどしか無かった事を考えると
こうした楽しい思い出は鮮明に覚えているのかもしれません。

結核が発覚し会社を退職、そして上京

道内で冬でも暖かい場所で武雄の体調回復を願っていましたが悪化するばかり。
苦渋の決断で1926年に武雄は会社を退職し東京へと帰っていったのです。

東京で半年ほど過ごした後、結核に良い病院がある鎌倉へ引っ越すことに。
鎮子さんいわく、病気になってから父はわがままになってしまったらしく
その世話をする母親も大変だったと思います。

さて、鎌倉での療養生活も芳しくありません。
そんな時に父の従兄弟から東京の病院に入院してみては?
という勧めでまた東京で家族が暮らすことになった大橋家。

東京湾に面した大井の病院に入院する前に
武雄の故郷である岐阜の時村まで家族で帰省した際、
養老の滝を観に行こうと誘った父。
家族皆で楽しんだ思い出もこれが最後となりました。

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父から娘へ

母が滋養に良いからと1品余分におかずを作り、
それを娘達にあげる父。

家族の献身的な支え、そして療養生活もむなしく、
1930年10月にこの世を去った武雄。

生前、「家族をよろしく頼む」と言われ
「わかりました」と力強く答えた娘の鎮子。

母は泣き叫ぶように悲しんだそうですが、意外にも冷静だった彼女は、
この時からどんなときも自分がしっかりしなくてはと心に誓ったのです。

肺結核で亡くなった翌日、自宅に衛生班が来て消毒薬を撒いたことで
近所の人が警戒して近寄らなかったのは仕方ありませんが
葬式に配った弁当がゴミ箱に捨てられていたのはとても悲しい思い出だと語る鎮子さん。
当時は結核が猛威を振るっていましたからね、大変な世の中でした。

とと姉ちゃんに関する記事を沢山書いています♪目次はこちら