第4巻:2014年3月11日出版
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あらすじ
第4巻は「猫はなんと言った?」「私がお嫁に行く時に」「蝶は十一月に消えた」の3作品を収録。「私がお嫁に行く前に」は正太郎のクラスメイト・鴻上百合子のお話。亡くなった祖母は祖父が描いた絵画の中で、どの作品を百合子にプレゼントしたかったのか、百合子は見当もつかないので櫻子に依頼する。さすがの櫻子もどの絵なのか断定はできず、百合子に「君がおとなになったらきっと分かる」と言い、百合子も焦らずにゆっくりとみつけるということで締めくくられている。それ以来、櫻子と百合子は交友を深めていったので、ちょっと嫉妬する正太郎ではありますが・・・。
「猫はなんと言った?」
鴻上百合子が突然、櫻子に会いたいと連絡してきた。叔母の飼っている猫が行方不明になり、発見された時はもう手遅れだったらしい。早速、櫻子と正太郎は鴻上の叔母宅へ向かい事情を聞くと、ゴミ捨て場で見つかった猫は動物に噛まれた跡があり、櫻子は人が介在している可能性を示唆。鴻上の叔母はまだ30代後半で現在、動物病院に勤めている須藤という恋人がいる。現在、叔母は以前付き合っていた元カレのストーキングに悩まされていて、今回の犯行も元カレの仕業だと思っているが・・・。
実際はそうではなかった。確かに元カレは電話をしてきたり、叔母宅に来たりとストーカーまがいなことをしたけど、真犯人はなんと現在の恋人だった。猫の噛まれた跡はアライグマで須藤が飼っているペット。須藤は猫が嫌いで自分になつかないので排除したという。元カレのストーカー行為に便乗した犯行だった。
櫻子のお屋敷でお世話をするばあやの弟の孫(沢さん)が旭川動物園で働いているが、彼の協力で、襲ったのはアライグマだと推測し事件解決へと導いた。ちなみに櫻子は孫の沢さんを師と呼べる人物だと語っている。動物園に飾られている骨格標本は彼の手によって作られているらしい。
「蝶は十一月に消えた」
正太郎が通う高校の卒業生、圓一重、西沢二葉、津々見三奈美は仲良し三人組だったが、高校2年の時に二葉が失踪。そして彼女らが大人になった現在、今度は一重が行方不明になってしまった、愛犬を連れて・・。唯一の頼みの綱である三奈美とともに3人の秘密の場所に向かう櫻子たち。
人里離れた廃屋。3人はここで一体何をしていたのか?。廃屋の中に入ると、行方不明だった一重が愛犬とともにベットで横たわっており、愛犬は既に死亡していた。そして一重は睡眠薬を飲んでいたが致死量ではなかったので一命をとりとめ、事情を聞く。
櫻子の家で飼うようになったヘクターを連れて行ったので、廃屋近くに埋められていた二葉の白骨化した遺体を発見。彼女は自殺だと思われていたが、実は本人に頼まれて一重が首を絞めて殺害してしまったという。死にたいとよく言っていた一重に対して、じゃあ一緒に死のうと言った二葉。一重が何故二葉の首を絞めて殺害することが出来たのか、若気の至りと言う言葉で片付けられる問題ではないが、起きてしまった悲しい事件。
二人は廃屋近くに二葉を埋めて黙したまま時は過ぎ、それでも二葉の事が気になったのか、廃屋に度々訪れていたという。そこで出会ったのが画家の花房という男。蝶のいる季節だけ旭川に来て絵を描く花房は女性的で不思議な人物だった。一重と三奈美は彼に恋をし、花房を巡り恋路のトラブルもあったという。
彼女たちを魅了するどこか謎めいた存在の花房は三奈美に一重を殺せと何度も言ってきたので怖くなって廃屋には近寄らなくなった三奈美。しかし彼女の背中にはペインティングナイフで刻まれた蝶の絵が今も悲しく彼女を闇で覆い尽くしている。
磯崎先生は教え子でもある三奈美と一重を警察に連れていき、二葉失踪事件は解決したのだが、二葉が埋められていた場所に30代~40代と思われる女性の頭蓋骨も発見された。しかも頭蓋骨は蝶形骨が抜き取られていた。薄くモロいこの骨は取り出すのが困難なのに。更に二葉の頭蓋骨も同じように蝶形骨が無く、おそらく花房の犯行ではないかと考える。
当の本人は既に旭川に居ない。真相を探るために櫻子と正太郎は札幌へと向かうのだが・・・それは次巻のお話。
感想
祖母の遺体を発見してから正太郎とオシャレな喫茶店でお茶を飲む関係になっていた鴻上と正太郎の二人。だけど、あくまでも友人関係。二人共それ以上を望んでいないのか、何だ良くかわからない微妙な関係。どちらかと言うと、二人共櫻子さんを巡ってライバル心を抱いている。まるで恋敵?な関係が妙に面白い。
さて、今作は、ラストの章の「蝶は十一月に消えた」がメインストーリー。女子高生の失踪事件から殺人へと発展。仲良し三人組の話がやがて謎めいた男の存在が浮上し、白骨化した女性の遺体は彼の仕業なのか?、というところでこの章は終わっています。
非常に気になりますが、それは第5巻で描かれるらしい。しかも5巻は櫻子と正太郎の出会いのエピソードも描かれるそうなので、ちょっと楽しみです。