8/28(金)から上映される映画「わたしに会うまでの1600キロ」、原作小説を読んでみました。
回想シーンでは暗くなりがちな悲しくヘビーな物事が連発しますが、ジョークや軽快な雰囲気で読みやすい文章でした。
小説を書いたシェリル・ストレイドさん自身が主人公の実話、自叙伝です。
(匿名・省略の処理はされていますが、架空の出来事は書かれていないと記載あり)
この1600キロは、なんと徒歩で歩く距離!
日本地図で言うところの、どんな距離なのか?また、主人公が歩いたトレイルや日本にあるトレイルについても調べちゃいました。
不幸が重なり、自分自身のコントロールが出来ない主人公・シェリル。
そんなシェリルのどんより濁った過去と心境が、どんどんクリア(透明)になっていくイメージで読み進めました。
1600キロを進むごとに語られるシェリルの過去の境遇は、険しいトレイル(山道などの長距離自然歩道)ならではの体験と交差して、響き合います。
そして予想通りに、この1600キロで経験したすべてが人生の歩み方とリンクすると感じました。
実話ならではの、物事が「都合良く」上手くいかない、もどかしさを感じながら。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
お化けザックのシェリル
持てないほど重過ぎるザック(リュック)。
何が不必要な物なのか選別できないシェリルは、モンスターみたいに巨大なザックを背負って長距離を歩きます。明らかに余計な体力を奪われてるし…。
スタート地点から先行き不安な歩み。
私は登山家ではないけど軽量化好き。街に出掛ける時でさえ、より軽いカバンでフットワークを軽くしたいから、シェリルの巨大ザックには唖然。
読み終わってから考えを巡らせてみると、
何か不必要なのか分からなくて荷物を減らせないシェリルは、「ザックに詰まった余分な荷物を捨てられない=人生や生活を整理できない」のかもと思いました。
そんなシェリルの面白く共感出来るシーンは、怖いと大声で歌っちゃうところ。
私も、小学生の時のキャンプ場での肝試し大会では、大声でとりとめのない歌「鬼のパンツは良いパンツ」を歌ったものです。
あらすじを書いてみた
26歳女性、シェリル・ストレイドが無謀とも思える「3カ月で1600キロの徒歩旅行」にチャレンジ!
心にぽっかり穴の開いたシェリルの、自分探しの旅が始まります。
***
大学生活を送っていた22歳、急速に訪れる最愛の母親との死別。
苦痛と苦悩、母を失った家族は離散。
母を失って以来、転げ落ちる人生。
数々の浮気とドラッグ、堕落するシェリルは離婚で夫も失うことに。
そんなシェリルに転機が訪れる。
ある日、ふと目に付いたガイド本に惹かれ、過酷で長距離な三ヶ月間の徒歩旅を計画・実行。
パシフィック・クレスト・トレイルを歩きながら、あれこれ模索。
肉体疲労と美しい景観。
静寂と孤独感、恐怖と笑顔。たくさんの出会い。
***
心が折れそうなハプニングも続出、時には命の危機に直面すこととも。
女一人で歩く自然道は、冷蔵庫大の野生のクマや腕の太さもあるガラガラヘビに遭遇する危険が満載!
それでも、シェリルは自分で決めたゴールに向かって歩き続けます。
勇気が君を拒んだら
その上を行け#1600キロ pic.twitter.com/2b6QsVa3no— 映画『わたしに会うまでの1600キロ』 (@1600kilo) June 18, 2015
旅に出た理由
「旅に出たのは人生を見つめ直すため」
パシフィック・クレスト・トレイルを歩けば、昔の自分に戻れる気がした…という様な記述があります。
この昔というのは、シェリルが少女だった頃。
開拓民のように町から離れた場所に移り住み、電気や水道などのインフラが無い状況でキャンプの様に生活した、家族との思い出。
(だから、トレイルを歩く事は初心者でも、サバイバル生活には免疫があったんですね。)
懐かしい原風景(原点)に返る、というリセット行動。
今の私に戻りたい地点はないので、…置き換えで想像してみようと、こんな恋愛ドラマのシーンを思い浮かべてみました。
「別々の人と結婚して、それぞれに離婚して空虚な、相思相愛だった同級生の男女。
当時の恋心を思い出す中学校の校舎を見に行ってみようか?なんていうシーン。」
時間を巻き戻すことが出来ないのは分かっているけど、あの時の気持ちを思い出せる。
どこかで道を間違えてしまったなら、あの時からやり直したい。
シェリルは、そんな気持ちでパシフィック・クレスト・トレイルに惹かれ、足を踏み入れたのかな。
また、こんな事も思い描いてみました。
やたらと独りになりたがるシェリル。でも究極に独りになりたいなら、まったく人が来ない森や山があるはず。敢えて、人の手の入ったトレイルを選んだのは、やっぱり人との交流を求めたからだと思いました。同志に出会える確立も高いですし。
関連ページもどうぞ:過去や現在をまとめています↓
映画「わたしに会うまでの1600キロ」主人公シェリルは原作者自身、ドラマチックな過去と現在
後半は、日本で言うところの1600キロとは?と、日本にもあるトレイルについて調べました。
1600キロって、実際にどれくらいの距離なのか?
1600キロ、言葉ではピンとこないけど
日本地図に当てはめてみたら、とんでもない距離でした!!!
地図上の「北海道の札幌市」をスタート地点にしてみたら、「広島県」のあたりまで行けちゃいます!
(参考にしたもの↓グーグルMAPで所要時間や距離の目安が表示されます)
あちゃ~、これは想像でも歩きたくないハードでロング過ぎる距離。
運動不足の私は、平地歩きでも体壊しそう…(汗)
しかも、大自然相手(崖あり・砂漠あり・雪山あり+α)ですからね。想像するだけで拒否反応~!
素人目にも無謀な主人公だとは思ったけど、ホントに単独行動の初心者には無謀な距離ですよね。
「良い子は真似をしないでね」と注意書きテロップを付けたくなっちゃう気分。(笑)
日本にもあるトレイル
小説や映画の影響で歩きたくなるかもしれませんね!
この小説を読むまで「トレイル」という単語すら知らない私だったので、少し調べてみました。
トレイルって何?
まずは、この素朴な疑問。
トレイルとは?
目的地までだれもが安全確実に歩くことができ、沿線の自然や歴史を味わえるよう、方面標識・案内標識などが設置され、整備された徒歩道のことをいいます。東海自然歩道のように遊歩道の様な立派な道から、人ひとりがやっと通ることができるか細い道まで様々です。自然への負荷を抑える為に、必要最小限の道づくりが求められていて、現在ではトレイルという時はこの考え方が一般的です。
(出典:NPO法人 高島トレイルクラブのQ&Aより)
なるほど、小説を読んだ後なのでイメージが湧きやすいですね。
シェリルが歩いたのは、北アメリカ大陸を縦断する「パシフィック・クレスト・トレイル」Pacific Crest Trail(略称はPCT)。
メキシコ国境からカナダ国境まで続く、全長4,265kmの道のり。(直線距離が1600キロらしい)
https://twitter.com/DailyNew5/status/622728206941036544
↓RPGゲームや冒険ファンタジーみたいに、草原・荒野・山道・雪山が広がる風景が美しい。
How to see the gorgeous Pacific Crest Trail without taking a step: http://t.co/EvPFlwFvcS pic.twitter.com/KFV1pCkS6R
— Travel + Leisure (@TravelLeisure) July 30, 2015
この広大な風景の中に、幅60cmほどの徒歩道や道しるべが作られ、長距離ハイキングや日帰りハイキングを楽しむ事も出来ます。(バカンスやアウトドア体験などライトプランでもOKなんですね)
創立者をはじめ、運営スタッフ・サポーターなど色々な人々に支えられているトレイル。
↓そんな様子がうかがえる画像。
Thanks to the students of @BellevueCollege for volunteering on the #PacificCrestTrail! http://t.co/vGZcKzu5o8 pic.twitter.com/3NWQhvxpTO
— Pacific Crest Trail (@PCTAssociation) June 17, 2015
そして、日本にも10ヶ所のトレイルがあるんですね!
- 北海道 北根室ランチウェイ(71.4km)
- 北海道 十勝ロングトレイル(100km)
- 長野県 信越トレイル(80km)
- 長野県 浅間ロングトレイル(80km)
- 長野県 浅間・八ヶ岳 パノラマトレイル(63km)
- 長野県 八ヶ岳山麓スーパートレイル(200km)
- 長野県 塩の道トレイル(120km)
- 長野県 霧が峰・美ヶ原 中央分水嶺トレイル(38km)
- 滋賀県 高島トレイル(80km)
- 大分県 国東半島峯道ロングトレイル(124km)
(出典:日本ロングトレイル協議会HP、加盟トレイルより)
里山や登山道を歩いたり、北海道の共同牧場を歩いたり、短時間~数日間まで様々なプランが用意されています。(情報が多くて目が滑っちゃう~)
ちなみに、この10か所を単純に合計すると、956.4キロ。
ううむ、アメリカは広大だなぁ!
映画では、狐が心の友として不思議な存在感がありました。サバイバルな旅で水の大切さとか実写の強みがあるし、懐かしい歌が流れ童謡で感涙を誘う木下恵介監督の(二十四の瞳)を思い出すような叙情的でロマンチックな美しさも本編の魅力!原作も読みたくなりました。ジャン・マルク・ヴァレ監督作品には(カフェドフロール)同様にダウン症の子どもが出てきて印象的です。
コメントありがとうございます。
映画を見てからの読書も、再確認するところがあるので楽しいですよね!
担当スタッフです(´▽`)
いいねボタン、ありがとうございます!