純愛とSFやオカルト好きの私としては気になる作品、2016年12月ロードショーの映画原作となる小説を読みました。時に関する物語です。
時間に関する不思議な設定は分かりにくい部分もあったので、読み直しながら、悩みながら、設定メモや表を作って(私なりの考察が加わりますが)解説風に仕上げました。そちらは、ネタバレを含む「私の解説ノート&感想」として、ページ最後に配置しています。 「私の解説ノート&感想」にジャンプしたい場合こちらをタッチ
まずは、小説のあらすじ紹介と全体の感想からどうぞ。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
小説のあらすじ
京都の美大に通う主人公・高寿(たかとし)が、通学電車内で一目惚れ。高寿にとっては一世一代の告白だったが、自慢できるほど可愛い女性・愛美(えみ)と順調過ぎるほどスムーズに恋人同士に。
ウキウキ甘く描かれる恋人とのやりとり。しかし愛美は、甘い日々を打ち砕くような、あり得ないヒミツを語り出す!相性ピッタリの二人がお互いに運命を感じた恋の先には、何があるというのか?
完璧すぎる彼女、涙もろい彼女。二人の抱える不思議な運命が、彼らの始まりと終わりの切なさを生み出す物語。
映画のあらすじも読みましたが、小説の内容と違いを感じなかったので、忠実に映像化してるのかもしれないと思いました。
感想(ネタバレなし)小説『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
ジャンルは、甘~いラブストーリー。それを運命的な不思議エピソードで味付けした印象です。
ラストの雰囲気が好き
相思相愛なのにずっと一緒にいられない悲しい物語ですが、始まりの匂いもするラストには明るさと爽やかさを感じました。
出会いは別れ。恋人たち二人のそれぞれの「終わる日」が描かれる二つのシーンでは、二人の運命を知った後だからこそ分かる、「ラストに似合う、切なさがじわりと広がる最後の日」を味わえました。
でも、残念ながら泣けませんでした~
読書前に、「感動」「泣ける」というAmazonレビューを目にしましたが、私の場合はジーンとすることもなく読み終わりました。普段は、かなり涙もろい私なのですが。
期待に反して泣けなかったのと、文庫本の表紙イラストと不思議設定が好物だっただけに、ちょっと辛口の感想になっちゃうかも。
丁寧に読んだのがいけなかったのか…
ずっと一緒に居られない恋人など、設定はかなり切ない雰囲気。しかし、涙もろいハズの私が泣けなかったのは、ラブ描写や会話が長すぎたり、ヒロイン賛美が多過ぎだと感じたのが気になって集中できなかったからだと思います。
(その辺りはザザッと読み飛ばせばよかったのかもしれないけど、伏線が隠れてるかもと丁寧に読みたかったんですよ。)
せっかく面白い不思議エピソードが後半に待っているのだから、前半はもっとスピード感が欲しかったなと感じました。そしたら、ヒロインが秘密を打ち明けるあたりでハッと立ち止って読み返したくなった気がします。
ヒロインが秘密を打ち明けてからの後半は、サクサク読めました。
逆だったら、きゅんとしたかも
文章からイメージできるヒロイン像は私好みではありませんでしたが、頑張り屋さんで完璧主義なんだろうなと感じました。でも、いろいろと完璧過ぎて「涙もろい」さえ計算に見えてきてしまう私。同性だから疑い深くなってるのかしら。
「もし男女が逆の立場だったら?」と置き換えて想像してみると、私もきゅんとして感情移入できた気もします。私が男性だったら、この小説の恋愛を楽しめたのかな?
知らない方が楽しめると思う
この物語に似た洋画や小説の場合は逆にネタが分かっているからこそ楽しめましたが、この物語の場合はネタバレを知らない方が楽しめるんじゃないかなと思います。
なんだかピッタリ、映画キャストが私好み
ついでに、映画化キャストについての感想も。
小説を読む前に映画のキャスト情報を知っていたのですが、読んでいて福士蒼汰さんと東出昌大さんの配役は「けっこうピッタリ」きました。
女性に不慣れで初々しい恋愛を育んでいく真面目そうな主人公に、福士さんを当てはめて読んで違和感ありませんでした。また、女性を安心させる雰囲気を感じる東出さんは、恋の指南役にジャストフィット。
ただ、小説でのヒロインは色々と完璧で、どんな男性から見てもとても可愛い女性だと繰り返し書かれているので、私の中でハードルが天に届くほど上がりまくって、どの女優さんがぴったり合うのか分からなくなっちゃいました。
この後は、「ネタバレを含む感想」と、小説世界の「設定」を私なりの「考察や解説」を含めてまとめたものを掲載します。
OKの場合は、この先にお進みください!
ネタバレ注意!私の解説ノート&感想『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』
ここからは、ネタバレがてんこ盛りとなりますのでご注意ください!小説に書かれている設定に私の考察を加えて、整理していきます。
また、時間の逆行に関して補足出来るかもと、Amazonレビューで情報を得た小説『時尼に関する覚え書』(略して時尼)を読んで得た考察も含めてまとめています。
『時尼に関する覚え書』のあらすじや比較が気になる方は、ここをタッチしてジャンプ!↓時尼の参考画像、新しいのが出たんですね♪
梶尾真治さんの『美亜へ贈る真珠〔新版〕』に関して。ご家族や、お友達や、後輩などにプレゼントとして買われるというお話を聞いて。新版の担当としては嬉しい限りです。ありがとうございます。8篇すべて名品揃いです、どうかお楽しみください。 pic.twitter.com/Omo5LZErIq
— 奥村勝也 (@kokumurak) December 16, 2016
※できるだけ精査しましたが、設定を書き起こしながら読み直して考察していると、勘違いしていた部分や思い込みの部分もあったので、まだそういうところが残っているかもしれません。気が付いたら修正加筆します。
高寿と愛美の時の流れ(年表)
二人が会えるタイミングと出来事を再確認して、年齢の違いを比較するために表にまとめました。
表にすると分かりやすくなりますが、「大人の恋人として付き合う適齢期は、20歳のこの40日間しかない」ということなのでしょう。
高寿 | 愛美 | (愛美の出現は5年ごと。滞在期間は40日間) |
05歳 | 35歳 | 愛美が高寿を救う |
10歳 | 30歳 | 10歳の高寿に箱を渡す |
15歳 | 25歳 | |
20歳 | 20歳 |
|
25歳 | 15歳 | 愛美に詳しく話す |
30歳 | 10歳 | 再会 |
35歳 | 05歳 | 高寿が愛美を救う(高寿に一目惚れ) |
恋人の命を救うために5歳の彼、または5歳の彼女に合いに行く35歳の二人。どちらの未来も確定しているので、すなわち運命だと言えるのか・・・。
うぅ~「卵が先か?ニワトリが先か?」そんな言葉を思い出す、起承転結の始まりと終わりがハッキリしない不思議な物語です。お互いの未来が相手の過去に影響しているので、始まりと終わりがよく分からな~い。
どこが出発点?(考察)
考えても不毛だよね、と思いながらも考えてしまいました。
私の空想では、愛美が5歳の時の爆発事故の衝撃パワーで「愛美と高寿の関連世界」だけが切り離されてループ(輪っか)状になっちゃったんじゃない?というSFチックなイメージが頭に浮かびました。
逆行感覚を楽しむレジャーとして来ている人々、干渉してるのは愛美の住む世界。家族旅行として愛美が高寿の暮らす世界に来ていなかったら、出会うきっかけがなくなっちゃいますもの。
しかも、愛美の方が早く強く運命を感じ取っているので、より出発点っぽい気がするんですよね。(高寿が一目惚れと自覚したのは20歳の時、それに対して愛美は5歳の時すでに30歳年上の高寿に運命を感じて一目惚れしています。)
0時の調整
常に逆行しているわけでは無く、24時間単位で違う方向へズレていく。だから、それぞれの時の流れに向かって進むと、24:00(午前0時)に相手がパッと消えるように見えてしまうようです。
この現象を説明する時に、愛美は「調整が起こる」という言葉を使っていました。この調整が科学技術なのか自然現象なのかは、曖昧な表現しかなくハッキリしません。
(ここから、考察と感想)
記述から考察すると、異世界に滞在している間は「異世界の時間の流れに影響される」けれど、24時間単位で元の世界の時間の流れに切り替わるという現象が起こって、元の世界との差が生まれない様に調整される。私には、そんな風に読み取れました。
異世界の影響や調整が、体か脳に負担が掛かるので40日間しか耐えられないのかもしれないですね。
しかし、子供でも安全に楽しめる気軽な異世界トラベルとはいえ、禁則は無いのかしら?例えば、現地人と密接に接触しちゃダメとか。こんなに異世界に関与して良いのかなぁと、つい心配しちゃいました。
この後は、「行動メモの必要性」「2枚存在する手紙と写真」「タイトルの意味を視覚で確認」など・・・
2ページ目に続きます!