泣ける結末!原作小説「父と子の旅路」あらすじと感想・ネタバレあり

土曜日の深夜枠「大人の土ドラ」で2月3日から放送されることになったドラマ「家族の旅路 家族を殺された男と殺した男」。

滝沢秀明主演で放送される今作は冤罪をテーマにした重たい内容で、土ドラ枠としては久しぶりに注目作になりそうです。

ということで一足先に原作小説を読んでみましたのでご紹介。

ただ、ネタバレも含みますのでご注意ください(笑)

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簡単なあらすじ

26年前、

柳瀬光三は水商売の女性と結婚して子供をもうけたが、妻は家事どころか子供の面倒を一切みずに他の男と何処かへ消えてしまった。

全ては子供のため、と懸命に妻を探したが見つからず、挙句の果てに自分はガンに侵され子供を育てられない状態になってしまう。

自分には身寄りがないため、妻の実家に託そうとしたが、妻とは絶縁状態だった実家では門前払い。大金が入っていた財布をどこかで落としてしまい、人生のドン底に立たされた光三。

幼い子供がいるからと、親切に泊めてもらった家で悲劇が起きた。

光三が泊めてもらった家族が幼い男の子だけを残して何者かに殺されてしまったのだ。丁度、この家族にお金を借りようとしていた光三は、たしかに事件後にタンスからお金を盗み出し、子供とともに逃亡している。

室内のあちこちに指紋がついていたことから光三が疑われ、逃亡先で捕まり拘置所に収監。取り調べで犯行を自供したので、裁判では死刑が確定し、死刑囚として拘置所に収監されることになった。

しかし気になるのは、彼は抱いていた一人息子の光男を誰に託したのか?

事件は大きく報道されていたので、託された人は名乗り出ても良いはずなのに・・・。そして光三もまた、誰に託したか一切喋ろうとせず、今日まで26年間沈黙を守り続けている。

 

そして現在、別の場所で物語が動き出そうとしている。

河村礼菜は余命宣告された母親・河村あかねの実家を訪ねたが、母親と実家は疎遠になっていたらしく、案の定、冷たくあしらわれてしまう。ただ、この時自分には異父兄がいることを知らされる。

祖父いわく、兄の居場所は分からないが、その父親なら一家3人を殺した殺人容疑で拘置所にいるらしい。

兄に会いたい・・、口には出さないけど末期がんの母親も息子に会いたいと思っているかもしれないので、兄を探す決意をする礼菜。

 

冤罪で死刑が確定した光三は疑いを晴らす事ができるのか?

そして息子の光男は生きているのか?

礼菜は異父兄(光男)を探すことが出来るのか?

点と点でバラバラになっていた物語は、やがて一つの線になって繋がっていく・・・・。

冤罪のお話ですが、疑いを晴らすことがゴールじゃないのがこの物語です。このお話は家族の絆を描いた作品で、息子を思う父親の姿に、私は久しぶりに小説で泣きました。

 

もっと詳しく!「父と子の旅路」のあらすじ※ネタバレあり

物語を詳しくご紹介する前に、言葉では親子関係が分かりづらいと思いますので相関図を作ってみました。

読みながら参考にしていただければと思います。

あかねは光三と結婚しましたが、育児放棄をして失踪。

光三は幼い光男を抱いて、あかねを捜索しますが、大富一家殺害事件に巻き込まれ、容疑者として収監されることに。あかねはその後、知り合いだった河村と再婚し礼菜が生まれる。

殺された大富家の唯一の生き残りである祐介は妻の兄夫婦に引き取られ、今は弁護士として社会生活を送っている。

礼菜は生き残った息子の祐介が弁護士になっていると知り、冤罪だと思われる光三の弁護人として依頼しますが、もちろん祐介は断ります。

容疑者の弁護をなぜ自分がやらなければいけないのか?

はじめはそんな風に思っていましたが、光三が犯人ではないかもしれない、と思うようになり、礼菜の依頼を受けることになったのです。

 

柳瀬光三という不幸の男

柳瀬光三の父親は3歳の時に死亡し、母親は光三を親戚に預けて芸者になったという。中学を卒業してすぐに住み込みで働きだし、大人になった。

山口の町にふらりとやって来た花木あかねという女性と結婚。息子をもうけたが、あかねは育児放棄をして、他の男と何処かへ行ってしまった。

息子のためにも母親は必要だと考えた光三は散々探し回ったが見つからず、挙句の果てに自身がガンに侵されていることを知る。長くは生きられないと悟った光三はあかねの両親を訪ねたが、引っ越しして別の住所に移り住んでいた。

あかねの両親が住んでいた場所は現在、大富家が住んでおり、大富は光三の事情を知り、泊めてあげることに。あかねの両親が住んでいる住所がわかったので、大富家に子供を預けて翌日に訪ねたが、聞き入れてもらえず、落胆して帰る途中で大金が入った財布を落としたことに気づく。

大富家では、お世話になった上にお金まで借りなければいけないと、重たい足取りで大富家に帰ると、そこは目を覆いたくなるような光景だった。

大富夫妻、そして祖父が何者かに殺されていたのだ。唯一、子供だけは生き残っており、光三は帰りの電車賃だけを拝借し、光男とともに現場を離れた。

警察の見解

柳瀬のアパートの指紋と大富家の各所から検出された指紋が一致。タンスの中にまで指紋があったという。

あかねの両親に子供の引取を拒否されたあと財布を紛失し、大富家に借金を申し入れたが断られた。自分の家族の不幸と大富家の幸せな家庭を比べて思わず凶行に及んでしまったのではないか。

しかし気になる点がいくつか有る

・大富家のキッチンにあった包丁が凶器とされたが、光三が証言した場所で見つかっていない

・抵抗したあとが無かったが、光三がキッチンから包丁を入手する際に、大富家は不審に思わなかったのか?

・刃物店で若い男が柳刃包丁を購入している

・子供と一緒に逃走し、何処かへ預けたが、それは言えないという

凶器がみつかっていないが、現場に残された指紋、そして本人が自供したことから死刑が確定。拘置所に収監された。

光三はどうして息子の居場所を言わないのか?そしてやっていないのにどうして自供してしまったのか?

自分が犯人であると自供したのは、どうやら自分の息子と関係があるようです。

 

あかねの娘・礼菜と異父兄の存在

光三のアパートから去ったあかねは、以前からの知り合いだという河村真二と結婚し、娘の礼菜が生まれた。やはり礼菜の時もあかねは子育てをしなかった。母親が働くスナックのママの姉が、礼菜が中学3年になるまで面倒見て、それから母親と二人で生活するようになったが、飲んだくれの母親の印象は最悪。

しかし礼菜が大学の時に子宮がんで入院。その時は回復したが、最近、倒れて病院で検査の結果、末期がんで余命僅かだという。

礼菜は母の病状を伝えたくて実家を訪ねたが、実家と母親は絶縁状態だったので、良い返事はもらえなかった。しかし居場所は分からないが異父兄の存在を教えてもらい、その兄の父親なら殺人容疑で拘置所にいるという衝撃的な事実も聞かされた。

母は何も言わないが、光三との間に生まれた光男(礼菜の異父兄)に会いたいのではないだろうか?

光男のときも、礼菜の時も母親失格だったが、今は人が変わったように後悔しかしていないと母は言う。

そんな母親に光男を会わせたい、というよりも自分に兄が居たことに驚きで、一度会ってみたいと考えた。26年前の事件を担当した刑事の話では、光三はどうやら犯人ではないかもしれないと刑事は言う。

大富家の生き残りで浅利家に引き取られた祐介が弁護士なっていると聞き、光三の弁護人を依頼したが案の定、断られてしまった。

 

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浅利祐介の心の移り変わり

26年前、大富一家が惨殺された事件で、生き残った祐介は母親の兄夫婦に引き取られスクスクと育ち、現在は弁護士として活躍していた。

礼菜は当時の事件を担当した刑事に会い、光三は犯人じゃないかもしれないということと、祐介の居場所を聞き出すことが出来た。

祐介は礼菜の突然の訪問と、光三の冤罪について聞かされたが、両親を殺した犯人をどうして自分が担当しなければいけないのか?依頼をしてきた礼菜の無礼さに怒りを覚えたが丁重に断った。

しかし時間とともに少しずつ祐介の心境も変わっていく。彼女の依頼を断れば光三は病死か刑の執行で死ぬ。柳瀬が死んだ場合、祐介は後悔しないか?そしてもし無実だった場合、見殺しにした罪の意識に苛まれないか?真相は永久に闇に葬られることになる。

祐介は熟考に熟考を重ね、「弁護を引き受ける」ことにした。事件を調査して、彼が真犯人であれば素直な気持ちで罪を見て目て欲しい、無実ならば光三を救い出してあげたい。そんな思いだった。

 

次のページにて真犯人と結末をご紹介です