これ怖すぎw「クリーピー」原作小説のあらすじ&感想ネタバレあり

黒沢清監督が手掛ける2016年6月18日公開の今作は、
主演に西島秀俊を据え、脇役に竹内結子や香川照之を配役するなど、その豪華さに注目されている作品。
しかし西島さんと香川さんって共演多くありません?好きですけど(笑)

さて、今回はベルリンや香港の映画祭で観客をスタンディングオベーションにさせた
映画の原作について解き明かしていきたいと思います!

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ちょっと長め「クリーピー」のあらすじ

※ネタバレありますのでご注意ください

あの事件と似ていないか?

物語の主人公は高倉。東洛大学で犯罪心理学を教えている教授で、妻との二人暮し。
彼が奇妙な事件に巻き込まれるようになったのは、高校の同級生で刑事の野上と会ってからでした。

高校の同窓会で偶然再会した野上は別日に高倉を呼び出し、
8年前に起きた「一家3人行方不明事件」のことで助言を求めるようになります。
というのも、現在22歳となる早紀が「母親が性的暴行を受けていたかもしれない」と発言したというのです。

その信憑性を知りたいと高倉に相談した野上。
事件から8年経った今ならと証言したものだと高倉は考えましたが、
その信憑性については明確な答えを出すことはできないと高倉は答えました。

野上から返事があったのは、それから3週間後。
家を訪れた野上が聞いた事は意外にも高倉の近隣のことでした。
高倉の隣人関係は隣に西野、向かいに田中という高齢の親子が二人。

あろうことか野上はそのことに対し、

「似てると思わないか?」

と発言するのです。
8年前の行方不明事件と生活環境が酷似している。
そして、そういう生活環境では、
「近所の家族が別の人間と入れ替わっていても、誰も気づかない」
と言い放つのです。

また、ある日康子が、朝娘を見送る父親である西野の目が冷たいと言い出します。
先日会った西野の姿を思い出す高倉。
小綺麗な格好している割に70年代の整髪剤「バイタリス」をつかっている西野を意外だと思った以外、
特に気になる様子がなかったこともあり、否定をします。

しかし、さらに康子は最近引っ越してきた当初見ていた息子の姿を見ない上に、
夜中に女の子の泣き声がするといい、疑惑を深めていくのです。

事件の始まり

しばらく経って、高倉の研究室を訪ねた警視庁の谷本という人物から野上が行方不明だと知らされます。
それを皮切りに不可解な事件が高倉の周りで起こります。

最初は向かいの田中家の火災。
絶望的な状況に消防車が着き、一旦家から遠ざかる高倉。
その目に家から出てきた西野が映ります。

「田中さんたちが心配ですよ」
と声をかける高倉に西野が返した言葉は
「私たちの家にまで延焼することはないですよ」
やがて家に戻っていく西野に高倉は不審感を抱き始めるのでした。

そして、この事件の不可解さというのは、翌日の新聞で明らかになります。
新聞が報じたのは「火災で3名死亡」、さらには「拳銃で撃ち抜かれた」という文字。

火災での死亡と考えていたにもかかわらず、まさかの銃殺…。
そして田中親子だけでなく、もう一人。
さらに、康子が西野の娘と話をした時、

「あの人、お父さんじゃありません」

と助けを求めるように康子に言ったというのです。

後日、実は先日の火災での3人目が野上であったことが谷本の話から発覚します。
さらに、この放火・殺人の犯人に仕立て上げられていることがわかった高倉は
谷本とともに野上を潔白にするため、8年前の事件から調べなおすのです。
そしてその上で、西野の問題に立ち入らなければならないと決意をするのです。

関わり

第二の事件は夜中に起こります。
西野の娘が高倉宅に駆け込んできたのです。
事情を聞こうとすると同時に、再度チャイムの音が家中に響き渡ります。相手はもちろん西野本人。

娘を引き取ろうとする西野の行動はさらに過激になり、
あろうことか家の鍵を西野本人が開け始めたのです。

やがて康子の呼んだ警察がたどり着くも、
少女略取の疑いでそこから高倉夫婦はまるで被疑者のように扱われるのでした。
その後解放された高倉夫婦。西野ももちろん解放され、西野の娘・澪だけが児童相談所に預けられます。

後日、その児童相談所に訪れた高倉と康子に第三の事件がおきます。
ショック状態でうまく事の顛末を説明できない澪が女性だけで話を聞き出せたら、
と会議室に澪と康子、そして相談所職員・広中涼子を残し、高倉は谷本とこれまで事件の整理をします。

もともと明るい性格でピアノも得意だった澪は西野からマインドコントロールを受け、
現在半分とれかかっている状態であること、澪の長男は行方不明、
母親はおそらく監禁状態であると考え、野上はこの結果を予想した上で、高倉の周辺を内偵していたのではないかと二人は結論づけます。

1時間ほど経ち、児童相談所に帰ると、襲撃の痕が。
会議室でうずくまる康子は「西野らしき人物」が澪と涼子を連れ去ったと言うのです。

涼子の方は途中で解放されたものの、一週間経っても西野の姿は見つからないまま。
証拠がでることを期待された西野家の家宅捜索では、
事件の痕跡らしいものは全く出ず、その中でも母親の姿がないことに高倉は不信感を抱きます。

しかしその母親は10日後、久しぶりに家の玄関ドアを開けた高倉によって発見されるのです。
玄関にあった腐敗した女性の遺体と切り落とされた足。
遺体は澪の母・西野信子であり、足は生体切断。そのことから康子が聞いた女の子の泣き声は信子のものだったとわかるのです。

徐々に明かされる真相

騒動から夜が明けて、携帯電話の着信音で高倉は目をさまします。
電話の相手は自分のゼミ生の4年・影山燐子。
以前燐子とホテルにあるコーヒーショップで卒論の指導や世間話をした後乗ったエレベーターにて、
燐子のストーカーらしいゼミ生の「大和田のような男」に
遭遇したおかげで会うのは控えていた高倉でしたが、事件によるストレスから解放されたい一心で、燐子と待ち合わせをします。

燐子との約束の時間まで、自宅からとってきた郵便物や書類に目を通す高倉。
ふと白い封書に目が止まります。
差出人はピアニストの「河合園子」。野上の元妻であり、高校の同級生。

しかし、二人は10年ほど前に離婚、子供もいなかったためか、
長い間連絡が途絶えていたは谷本の話で知っていました。

「お伝えしたい事があります」
という文字から、高倉は園子が野上に関する重要な何かを握っていることを確信します。

約束の当日、園子は野上から手紙を預かっていると告げます。
そしてそれを渡すには、野上の死の情報が引き換えだと。

野上の死をどう伝えるべきか悩みつつ遠回しの質問をすると、
園子から野上との離婚の原因について語り始めます。
その原因とは、野上の腹違いの兄・矢島善雄。
すべての事を話し、野上の真相を問う園子に、高倉は野上の死を伝えるのでした。

自宅に戻った高倉は、康子と今日の事を話し、書斎へ入ります。
康子はその善雄が逃走した西野のイメージとよく似ていると言います。
そのことも踏まえた上で、野上の手紙読む高倉。中は主に野上の生い立ちと善雄のこと。

そして善雄が日野の事件から「なりすまし殺人」をし、
今度は高倉宅の西野になりすましていたことがわかるのです。

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逃走

手紙を警察に渡した高倉。
矢島善雄は指名手配犯となり、警察の調べにより本多の隣人・水田は善雄に酷似していたことがわかります。

そして同時に本多早希の証言を高倉は思い出し、接触を図るのです。
早希の元を訪れた高倉に、早希はとある夢のことを話します。
夢の中で水田らしき人物がビニールで巻かれた細長い物体を木戸から中に運びこもうとしているというのです。

そしてその内容は後日の解体工事によって真実であるとわかります。出てきた物体は死体。
行方不明だった本多家の3人と本物の水田。
同時に本物の西野と善雄の関わりが発覚し、そのことから善雄は同じことをしていると高倉は推測します。

しかし、高倉自身には別の問題がおこっていました。
それは、ゼミ生である燐子との逢瀬が康子に知られたということ。
康子宛てに送られたその写真に写っているのはエレベーターの中に映る高倉と燐子。
撮られたその写真は、まぎれもなく「大和田に似た人物」が撮ったものと考えらました。
事情を康子に説明し、高倉は燐子と会う約束をするのでした。

後日二人は、大和田を研究室に呼び出します。
しかし、彼は心当たりがないらしく、実際のメールにも首をふります。
大和田から高倉が携帯を受け取った時、ここで何か覚えのある匂いが高倉の鼻をかすめるのです。
70年代物のヘアリキッド「バイタリス」。そして同じ匂いを纏う人物を高倉は知っているのです。

研究室を後にした3人はそのまま大和田が住むアパートの一室に移動。
実は、大和田の隣人が就職情報会社の社員で、
意識調査のためと彼にゼミ生の連絡先を求めた際に、彼はリストを手渡したというのです。

その男が矢島善雄なのではと考えた高倉は大和田の一室に移動し、直接対峙を図ります。
隣人の部屋に入ることに成功し、事実の追及をした際の笑みに高倉は善雄を重ね、確信します。

しかし、大和田と高倉の間にできた1メートルの隙間を駆け抜けた善雄は、
玄関脇にいた燐子の首にナイフをあてるのです。
隙をついて、大和田は善雄に殴りかかり、燐子が解放されるも、高倉の目の前で刺される大和田。
そのまま逃走する善雄を追うことはできず、大和田はそれが致命傷となり、帰らぬ人となってしまうのです。

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