騙されたw「インフェルノ」感想・ネタバレあり「まさに地獄編にふさわしいストーリー」

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後味が悪い結末、でも少しは未来があるのか

上のタイトルで察しがつくと思いますが、ビニール袋は回収することが出来ず、ウィルスは野に放たれたのです。しかもラングドン達が到着した1週間前に・・。ゾブリストが提示していた日付はビニール袋が溶けて無くなる日にちではなく、世界に拡散される日付でした。どちらにしても間に合わなかったのです。

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正直、ここを読んでいる時に「嘘でしょ?」と言葉を発してしまいましたが、でもゾブリストが作ったウィルスは人を死に至らしめるものではなく、生殖機能を奪うウィルスだったのです。しかも全人口ではなく、人口の三分の一が対象だという、ある意味素晴らしいと皮肉ってしまうほどの技術。

全世界にウィルスが蔓延し、まさに地獄絵図と化すのかと思いましたが、正直予想外の結末でした。その後、ジュネーブで開かれた世界保健機関の緊急会議にはシエナも同席するということで話は終わっていますが、ウィルスに対抗するワクチンを作るのか、それともあえてそのままにするのか?100年後には人類滅亡という大きな課題をクリアするにはゾブリストのウィルスは欠かせないものなのか・・・。

 

「インフェルノ」感想

ストーリーは複雑ですがラングドン教授=トム・ハンクスなので、とてもイメージしやすかった。ダン・ブラウンの作品は歴史的建造物や美術品が多く登場するのでイタリアの歴史を垣間見ることが出来るのも魅力の一つです。そうした説明的な文も多いですが、やはりミステリーと現実が重なると面白いものです。

この作品を読んでイタリアのフィレンツェに行ってみたいと思ったのは私だけじゃないと思いますからね。ただ、彼らの逃走経路をたどるのは少々大変ですが、宮殿にある秘密の通路を通りながら「ここをラングドンとシエナが駆け抜けていったのか・・。」と感じながら散策するのは面白そうです。

さて、そうした歴史の説明も含まれたこの作品ですが、全編を通して欺瞞の世界が広がっています。シエナは医師ではなかったし、ラングドンは拳銃で撃たれていなかった。大機構という組織がラングドンの頭頂部を切って縫い、襲撃されたようにみせかけ、何らかの薬を使って数日の記憶を意図的に消したのです。目的のためなら手段を選ばないという徹底した組織のやり方でしたが、「投影機」を取り返すことは出来ませんでしたね。

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ラングドンは信用していたシエナに騙されたわけですが、唯一の救いは彼女が愛するゾブリストに賛同せず、プロジェクトを阻止しようとしたことです。

「地獄編」という名にふさわしく騙し騙されの心理戦でしたが、ゾブリストがウィルス入りのビニール袋を仕掛けた場所はアヤソフィア近くの沈んだ宮殿「イェレバタン・サラユア」は赤くライトアップされた神秘的な場所なので、まさに炎に包まれた地獄のよう。

ゾブリストが残したメッセージを頼りに絵画や美術品に隠されたヒントを探し当て、そして地獄へ到着するラングドン。スリリングなゲームはやがて世界規模のテロにつながっていると知り恐怖する。イタリアを奔走しながら謎が解明されるテンポの良さはエンターテイメントにふさわしい内容だと感じました。