ドラマ「重版出来!」原作漫画の感想・ネタバレ・これぞ仕事マンガの王道

2016年4月にTBS系で放送されることになった今作。
お仕事マンガと言うことで4月にふさわしいドラマですが
内容は出版社で働く編集部の人々のドタバタ劇。

新卒で入った主人公の女の子と一緒に
コミックの編集部のお仕事を学ぶようなそんなお話です。

ドラマの主人公は演技派で主役食いと言われたことがある黒木華さん。
現在、大河でも活躍されてますね。
その他脇役もオダギリジョー、安田顕、荒川良々、ムロツヨシなど
個性的な俳優で固めているのでかなり濃いドラマになりそうです。

マンガは6巻まで出ており現在も連載中、
7巻は3月30日に発売予定となっていますが
とりあえず6巻までのお話を徹底紹介したいと思います♪

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「重版出来!」あらすじ

主人公の黒沢心は出版社の興都館の厳しい採用面接を突破して
見事週刊コミック「バイブス」編集部に配属されたわけですが
実は編集の仕事を志していたわけじゃないんです。

子供の頃からオリンピックを目指していた柔道女子。
しかしケガのため夢を断念、自分は何が出来るのか?
子供の頃に柔道の漫画に憧れてその道に進み、
厳しい練習のあとに読んだ漫画に勇気付けられ、
海外遠征した時にも異国の人と共感できた漫画作りに携わりたい!

そんな熱い思いを面接でぶつけて見事パスした心ですが
入社してからが本番。

1冊の本を世に送り出すまでのプロセス、
ライバル誌との競争、漫画家の引退騒動、引き抜きなど問題が耐えませんか
編集者・漫画家・営業が一体となって売れる本を作っていく過程は結構面白い。

そして主人公の黒沢心は仕事は大変だけどいつもポジティブで、
人に元気を与える明るくて優しい女の子。
新米で仕事を覚えるのに必死ですが、実は彼女の影響を受けている人も結構いる。

そんな主人公の成長を追いながら出版界の現状を垣間見れるのがこの作品です。
ちなみに経済新聞の「仕事マンガランキング」で1位を取ったそうで、
涙あり・笑いありのドタバタでわかり易い内容、
所々でちゃんと説明が入る読者目線も人気の秘密なのかもしれません。
絵は決して上手いとはいえませんが、登場人物それぞれ個性的でキャラもしっかりとたっており
物語を色濃くしてくれる重要な役割を持っています。

重版出来(じゅうはんしゅったい)とは?

一度販売した書籍を印刷することを重版といい、重版した書籍を新たに販売することをいいます。
漫画家・出版社だけじゃなく書店さんなど書籍に関わるすべての人が喜びを分かち合えるそんな言葉なのです。

出版社にとって嬉しい響きなのでしょう。
私はこの漫画で初めて知った言葉です。

 

「重版出来!」感想ネタバレあり

1話ずつ印象に残ったシーンをご紹介したいと思います。

「漫画界の最高峰」と言われるベテラン漫画家が連載を辞めるというのでさあ大変!
数人のアシスタントを抱える彼になにがあったのか。

ベテラン漫画家・三蔵山龍

どうやらネットの批判コメントを見てしまい、
かなりショックを受けて引退を考えてしまったのだ。

ネット上の批判はよくある話、芸能人の批判も至る所にありますからね。
そんなベテラン漫画家・三蔵山龍の問題点の一つとして
自身が猫背であるがゆえにデッサンの狂いに気づいていなかったことが挙げられます。

その問題点に気づいたのが新人の黒沢心。
先生のデッサンは斜め下から見れば正確に見えますが
絵に対してまっすぐに見ると間延びしたような感じに見える。
だから作業台を調整すれば解消できるんじゃないかと。

スタッフや編集者の励ましの言葉で思いとどまった孤高のドラゴン。
どんな人でも何かのきっかけで不安になることもありますからね。

ドラマではこの三蔵山を小日向文世さんが演じます。

社長・久慈勝の転機

黒沢心の面接時に清掃員に扮していた社長の久慈勝。
黒沢が一本背負いをしてしまったというとんでもエピソードがありますが
社長の生い立ちも実はなかなかのエピソードなのです。

久慈青年は医者になるという夢がありましたが
裕福な家庭ではなかったし母親から中学を卒業したら炭鉱夫になれと
言われていたので諦めざるを得なかった。
その母親は久慈が中学を卒業したら男と蒸発してしまい
案の定荒れた生活を始めてしまったそんな時、
恐喝しようとした老人に

「生まれた環境は違っても運という札の数は皆同じ数だけ配られる」

運が味方すれば何十倍にも返ってくる、運を使いこなせ!と言われ
自分なりに考えた久慈青年は心改めて
上京し仕事に勉強に精を出し、図書館で見つけた宮沢賢治の本に出会ったことで
その本の出版社である興都館の門を叩いたのが始まりなのです。

そんな貴重なお話を聞くことが出来た主人公の黒沢心。
社長の本に対する情熱は彼女も負けていませんけどね♪

 

ゆとり世代っぽい営業の小泉純くん

「小泉くんってさぁ、マンガ好きじゃないよね?」
「え?」

なんでわかったんだろう、と本人は思うのですが
こういう人って全く覇気がないんですよね^^;

好きで配属されたわけじゃない営業、
移動願いも題してるけど通らず、やる気ナッシングな小泉くん。

そんな時に地味に売上を伸ばしてきてるコミックの売上をもっと伸ばそう!
ということで営業の小泉くんと黒沢がコンビを組んで
書店周りをすることになり、少しずつやる気が芽生えてきたのです。

僕は営業じゃない、編集の仕事がしたいんだ・・・
なんて思っていた彼ですが、コミックの売上に貢献して
初めて営業の仕事の醍醐味を知った彼。
これからもっともっと成長するんでしょうね。

 

売れっ子漫画家の引き抜き

週刊「バイブス」の人気作「ツノひめさま」を連載する漫画家・高畑一寸。
ニット帽・無精ヒゲがトレードマークで年下の恋人と上手く行かないと
物凄くトーンダウンする意外とメンタル弱い中年オヤジ。

売れっ子なので他誌からも引き抜きの話が持ち上がって
本人もグラつくんだけど、やっぱり興都館を裏切れない。

意外と義理堅い人で見直しちゃいました。
条件が合えば掛け持ちしたり鞍替えしちゃう人もいるかもしれません。
でもそこは長年お付き合いしてくれる人に恩義がある!
そんなしっかりとした考えを持つ高畑先生は口は悪いけど
良い男なのかもしれませんね。

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大型新人だけどクセのある中田伯

マンガ同人誌即売会で黒沢が見つけた新人が中田伯という男の子で
魂を抜かれたような覇気が無い青年。

どうやら生い立ちは壮絶で両親の愛情を受けないまま育ち

自分しか信用出来ない

という殻に閉じこもった人間になってしまっており
それでも漫画への情熱は人一倍で、絵は下手だけど
有り余る才能がネームから見て取れる。

練習すればもっとうまくなるからと
ベテラン漫画家の三蔵山の元でアシスタントをすることになった伯。

相変わらずコミュニケーションは下手だけど
着実に力をつけて見事デビューを勝ち取った彼。
貪欲で漫画しか生きるすべがない!という熱い気持ちが伝わりますが
人を信用していないのでそこがどう作品に影響するのか、
そんなことを編集者は危惧していましたが、今後が気になるところです。

そんな伯とは対照的に女子大生の東江絹(あがりえきぬ)も
デビューするために頑張っていましたが、担当が黒沢で
何度もネーム直しをさせられて、いつデビューできるのか
不安になっていた時に新人潰しの安井(バイブス編集者)から甘いささやきが来る。

「絵が上手いんだから原作付きでデビューすればいいじゃない?」

漫画家を使い捨ての駒のように扱う安いの噂は当然良くなく
東江が潰されてしまうかもしれないと担当だった黒沢は心配したわけですが
案の定こき使われてハードスケジュールも何とかこなし、
仕事も様になってきたんですが、

今やってることは描きたかったものじゃない

安井に不安を感じ、このままでは自分の漫画を描けないと悟った彼女は、
次の仕事をきっぱりと断り、大学生活に戻ったのです。
もちろん漫画家になる夢を諦めたわけじゃりません。

「裏切ってしまった黒沢さんともう一度夢を掴みたい!」

東江さんはきっと戻ってくると思います♪

長くなってしまったのでページ分割しました