2017年1月からフジテレビ系で放送されることになった今作。
続編の「幸せになる勇気」とともに180万部以上の大ベストセラーになった本ですが、今回のドラマ化で更に売上を伸ばしそうですね。書籍に登場するアルフレッド・アドラーはフロイト、ユングに並ぶ心理学の巨匠。日本では知名度が低かったのですが、この本が出版されたことでフロイト以上に彼の心理学に勇気付けられた方は多いと思います。
往々にして哲学書と言えば手を出し辛いイメージですが、そんな初めての人にも分かりやすくアドラーの心理学を優しく手ほどきしてくれるのがこの本。
今回は分かりやすく?要約・まとめてみました。これは覚書ということで自分のためでもありますが、まだ読んでない方・頭の中を整理したい方に参考になればと思います。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
図でわかるアドラー心理学の基礎
仕事・交友・愛のタスクってなんだ?!
まだちょっとわからない部分もあると思いますので、もう少し詳しく&補足していきたいと思います。
原因論と目的論の違い
アドラーは、親が離婚しているから自分は結婚できないとか、幼いころに虐待を受けたから○○なんだ、という何か原因があって達成出来ないというフロイト的な原因論を否定しています。例えば引きこもりで部屋に閉じこもっている人は部屋から出れない理由を作り引きこもっている。そうではなくて外に出たくないから、人と関わりたくないという目的で引きこもっているという考え方です。
人生のタスクとは?
人生のタスクとは生きていく上で避けては通れない対人関係をまとめて人生のタスクと呼んでいます。
往々にして一番の課題は仕事のタスクと言っても良いでしょう。ストレスやうつなどよく耳にしますが、全て仕事の関係ですからね。
そして交友のタスク。あなたは信頼できる親友がいますか?今はいなくても大丈夫。もし、親友を作りたいと考えているなら今からでも遅くはありません。アドラーの心理学は他者を変えるのではなく、自分が変わるための心理学なのです。
そして最後に「愛のタスク」です。
友人だったら許せても恋人になると許せないこと、ありますよね。嫉妬や浮気を疑ったり、何かと拘束したくなりますが、アドラーの心理学は拘束を認めていません。相手が幸せそうにしていたら、微笑ましく眺める寛容さが大事です。
このように人生のタスクを乗り越えることで、上の図にある「幸せに生きるための目標」が達成出来るのです。
「嫌われる勇気」を持つということはどういうことか
「あの人の期待に応えたい」。人に褒められれば気持ちが良いものですが、認められるために必死に生きるのはちょっと違う。アドラーはこの承認を求めることを否定しています。確かに人に認められれば自信がつき、自分には価値があると思う。しかし認められなければ自分には価値がないという側面もあり、こうした場合に劣等感を抱いてしまうのです。
「誰からも嫌われたくない」。これは誰もが思うことですが、他人の顔色ばかりうかがっていては本来の自分ではなく偽りの自分で生きることになる。相手が嫌うかどうかは他者の課題であり、「嫌われたくない」という生き方はまさに自己中心的な生き方だとアドラーの心理学では説いています。
全ての悩みは対人関係によるもの。そして自由に生きるということは他者から嫌われることであるとアドラーは言います。
学校・会社などの組織から抜け出すことが自由ではありません。他人の評価を気にせず、嫌われることを恐れず、自分の生き方を貫く事が自由であるとしています。
敵(ライバル)なのか仲間なのか?それだけで世界は変わって見える
まずは自分の課題なのか、他者の課題なのか区別し、切り離して考える必要があります。図でご紹介したように例えば母親が子供に「勉強しなさい」は子供の課題への介入。勉強しなかった場合、将来的に誰に影響してくる家といえば、子ども自身に影響してきます。だからと言って放任主義を肯定しているのではなく、子供が困ったときは「いつでも対応するよ」という窓口を開けておくことが大切なのです。
こうした課題の分離は対人関係の出発点であり、最終的なゴールは共同体感覚を持つこと。他者のことを「敵」と見ず「仲間」と考え、そこに自分の居場所があると感じることを共同体感覚といいます。
親から勉強しなさいと言われ、学校では成績の順位が決められ、一流大学に進学した者、落ちてしまった者、一流企業に内定が決まった人、そうでない人。幼い頃から縦社会が当たり前になってしまうと、横の関係を築くことは容易ではありませんが、他人をライバルだと思ってしまうと、勝ち負けしか無く、その先に幸福があるとは思えません。
共同体感覚とは?
幸せな対人関係を考えるとき、もっとも重要な指標が共同体感覚です。少し前に自己中心的な考え方について触れましたが、己に執着する考えから「他者への関心」へと切り替えることが大事。
あの人は私になにを与えてくれるのか?ではなく、私はあの人には何を与えることが出来るのか?という考え方に変えていくのです。これが共同体感覚です。
価値があるから生きているのではなく生きているからこそ価値がある
男性の方でしたら、仕事ができるからこそ価値があると考えている人が多いと思いますが、そうなると主婦業をされている人に対して自分の方が上だと考えてしまう人も少なくないでしょう。そのような縦の関係ではいくら夫婦でも良好な関係を築くことが出来ません。
アドラーの心理学は「横の関係」を築くことを大切にしており、それは親子であっても同じ人間なのだから対等な立場で接しましょうということ。繰り返しますが「勉強しなさい」は上下関係の現れです。一見すると親の責務かと思いますが、子供に良い大学に入って欲しいとか、一流企業に勤めてほしいという親の勝手な願望ですよね。子供に対して「勉強しなさい」ではなく「ありがとう」と言える素直な気持ちが大切なのです。
長くなってしまったので2ページに分割しました。共同体感覚を持つこと。どんな考え方で人は幸福と感じるのでしょうか?