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共同体感覚を持つ、そしてその先にあるものは?
「自己への執着」から「他者への関心」に切り替えて、共同体感覚を持つ。そこで必要になってくるのが以下の3つです。
・自己受容
・他者信頼
・他者貢献
己の良い所も悪い所もあるがままに受け入れて、他者を信頼し、そして貢献する。貢献は人に褒めてもらう・認めてもらうことではなく、貢献したという「貢献感」を持つことが大切です。他人がどうとかではありません。人の役に立ったと思えた時、人は幸福を感じることが出来るのです。
最後に「嫌われる勇気」を読んでみて・・・
100万部以上の大ベストセラー。やっぱり凄いですね・・。ちなみに著者は二人いらっしゃるのをご存知でしたか?1人は岸見一郎氏でこの本に哲人(哲学者)が登場しますが彼のことかもしれません。しかし彼も大学生の頃は先生の自宅におしかけて議論をふっかけていたらしいので、登場人物の「青年」は彼でもあり、もう1人の著者である古賀史健氏なのでしょう。
古賀さんは20歳のころにアドラーの心理学と出会い、岸見氏宅に何度も通い議論を重ねたそうです。この本の良い点は心理学・哲学という難しいジャンルを一般の人にもわかりやすいように「哲人」と「青年」の対話型で構成し、議論を重ねることで青年がアドラーの心理学を理解し受け入れていくという流れがとてもスムーズに描かれている点です。
青年はどちらかと言うと性格は曲がって?いて哲人に対してはとにかく挑戦的。絶対に論破してやるぞ!という意気込みは凄いですが、そもそも「素直じゃない」ところに問題がありそうです(笑)
ですが青年は我々と同じように対人関係の悩みを抱えており、改善したいという気持ちはあるけど一歩前に踏み出す勇気が無い。もしくは他者を敵と思い、誰とも横の関係を築けていない典型的なアドラー心理学の正反対を行く人と言っても良いでしょう。
僕の性格はこうだから友だちができないんだ・・・と言うようにね。
哲人からすれば「相手にとって不足はない」という感じでしょうが、そもそも心構えが違っていたのです。青年は対話すると言うよりも論破しようと挑戦的ですが、哲人は「友が来てくれた」と優しく迎え入れ、時には声を荒げる青年に対して優しく諭すのです。
青年はゆっくりとですが、日にちをかけて哲人と対話を重ね、アドラー心理学を受け入れて、最後には「ありがとう」と言って帰っていったのです。
この本を読むことで青年のように人は変わることが出来るのでしょうか?・・対人関係で悩んでいる人は、社会は複雑に絡み合っていて生きにくいという考えが少しだけ変わるかもしれません。
そして意外にも「嫌われないように生きる」事が逆にダメで、息苦しい生き方をしているのだと気付かされました。だからと言ってアドラー心理学の「自由」を貫くには時間がかかりそうですね。でも横の関係を構築していくのは直ぐにできそうです。Amazonで教師をされている方がレビューしていましたが、生徒と対等に話し、呼び捨てではなく「さん」付けで呼ぶようにして、注意するときもアプローチの仕方を変えて、時には「ありがとう」と生徒に言えるようになったとか。
それから生徒との関係もうまく言っているようで、やはり上下の関係で「注意」や「叱る」のではなく「ありがとう」と言えば互いに幸福な気持ちになり、年齢を越えた良好な関係を築くことが出来るのです。