2018年7月からテレビ東京の月曜22時枠で放送されることになった今作。
気になって内容をチェックしてみると、これは池井戸さんの作品に似てるし面白そう!!って思ったんです。
元銀行員が事業再生の経験を活かして倒産寸前のフランチャイズを立て直すストーリー。
「あなたはこの会社の従業員を愛したことがありますか?」
主人公が言った名台詞ですがこの物語の重要なポイントでもあります。
いや~面白いお話ですよ、最後は悪い奴らをバッタバッタ切っていきますからね~。そうした企業ドラマの大逆転劇は池井戸さんの十八番ですが、著者の江上剛さんも企業を題材とした勧善懲悪の作風が多いですね。
最後はスカッと爽快に終わるところはもちろん、実在する銀行を彷彿とさせるネーミングもなかなか面白い。ということで今回は原作小説を徹底紹介していきま~す!
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
原作小説「ラストチャンス~再生請負人~」の主な登場人物
登場人物の右側にドラマで演じる役者さんも併記しました。
樫村徹夫(かしむらてつお)仲村トオル
今作の主人公。東大卒で現在44歳の働き盛り。22年勤めたWBJ銀行が大手の菱光銀行に吸収合併され出世コースから外れてしまったため退社。ファンド会社の社長の依頼で飲食店のフランチャイズ会社DFS(デリシャス・フード・システム)の役員に就任。銀行員時代は証券・M&A・事業再生を得意としていたのでその経験を活かし、会社の立て直しに奔走する。妻子持ち。
樫村明子(かしむらあきこ)長谷川京子
徹夫の妻。職場結婚後に退職。夫の仕事に口を出さないタイプだが、崖っぷちの会社に夫が就職したことで銀行の事務仕事にパートタイムで復帰。
宮内亮(みやうちりょう)椎名桔平
樫村と同期。本部勤務の樫村に嫉妬していた。本店営業部で大企業担当として活躍し、最後は銀座通り支店の支店長まで上り詰めた。樫村と同じく今回の合併で消費者金融会社に出向が決まり、そうそうに退職。知人のつてで電子部品メーカーに役員として行くことに。樫村に対してはライバルと言うよりも妬み嫉みが強く考え方が基本いやらしい。
大友勝次(おおともかつじ)本田博太郎
元菱光銀行の行員。WBJ銀行と菱光銀行の合併の影響でコンサルティング会社のリンゲージ社に出向。DFSの社長に就任。
山本知也(やまもとともや)大谷亮平
JRF(ジャパン・リバイバル・ファンド)の雇われ社長。樫村とは証券部時代に仕事を一緒にやった経験がある。樫村にDFSの役員を斡旋したのが山本。物腰は柔らかかったが、徐々に言葉遣いも荒くなり、樫村に対してぞんざいな対応になっていく。エロい。
結城伸治(ゆうきしんじ)
DFSの創業者で前オーナー。酒とツマミと蕎麦を安価で提供する居酒屋が成功したが経営が悪化するとJRFの山本に株を売却して退任。早々に退職して株を売却したので樫村は結城に対して良い印象を抱いていない。
岸野聡(きしのさとし)
DFSの創業メンバー。銀行員時代は結城の上司だった。ファンド会社からやってきた樫村を歓迎していないが、やがて右腕としてサポートしてくれるようになる。逃げ出した結城を今でも慕っている。
渋川栄一郎(しぶかわえいいちろう)石井正則
DFSの常務執行役員。フランチャイズ販売責任者。フランチャイズの権利を無闇に販売した責任を感じている。
柏木隆一(かしわぎりゅいち)和田正人
DFSの若手財務部員。真面目で好青年。ドラマでは佐伯隆一?。再建のために奔走する頼もしい若手社員。
岡田十和子(おかだとわこ)水野美紀
居酒屋チェーン「十和子フード」の社長。和服がよく似合う魅力的な女性。樫村を誘惑してDFSの株を手に入れようとするがその真意は?
小沢幸太郎(おざわこうたろう)竜雷太
大手総合商社・伊坂商事の常務取締役。元菱光銀行の行員で大友とは同期。DFSの支援企業になる。
龍ヶ崎司郎(りゅうがさきしろう)
龍門興業の代表。いわゆる高利貸しの街金。ド派手なスーツに金ピカの腕時計と磁気ブレスレットという出で立ちで、いかにもヤクザな風貌。フランチャイズ権利を5億円で購入しており、DFSに対して買い戻し要求をしているオーナーの一人。渋川いわく、見かけほど悪い人ではないらしい。ドラマでは登場しない??
WBJ菱光銀行の関係者
杉山課長 町田啓太
黒縁メガネでおとなしいネクタイの柄。いかにも銀行員という風貌。
斉藤
ガッチリとした体格でグレーのスーツ、腕にはGショックという体育会系。はっきりと物を言うタイプ。失礼極まりない言い方で樫村が憤慨することもしばしば。杉山と斉藤はDFS担当で、樫村に融資の回収を迫っている。
相関図を描いてみました
「ラストチャンス~再生請負人~」のあらすじ(ネタバレあり)
ちょっと長いですが、出来るだけわかりやすくご紹介していきますね。
捨てる神あれば拾う神あり
WBJ銀行の不良債権が増大し経営が悪化。銀行最大手の菱光銀行がWBJを吸収する形で合併。WBJ菱光銀行が誕生しましたが、WBJ出身者の待遇は悪く、主要なポストは皆、菱光銀行出身者に持っていかれてしまった。
当然、出世街道を順調に歩んできた樫村も菱光銀行出身者にポストを奪われ、カード会社に左遷されたのです。WBJ出身者が次々と辞めていく中、樫村もカード会社に出向してすぐに退職。
そんな状況を察知したJRFの山本がデリシャス・フード・システム、通称DFSの再建を樫村に依頼。DFSの財務責任者として引き受けたのです。
DFSの現状
DFSの社長には以前から経営コンサルティングを担当していたリンゲージの大友が就任。彼は再建というよりも社長業をまったりと優雅に、そして無難にこなしていくつもりでしたが、DFSの現状を知って唖然。
DFSは現在、急激な事業拡大で資金繰りが悪化。さらに直営店の売上不振が続いている。銀行からは20億円の融資を受けており、担当者からは融資の回収を迫られているのが現状です。
しかも、それだけじゃないんです・・。
フランチャイズの権利販売と言うのは、基本的に権利を購入したオーナーがお店をオープンさせ、DFSのサポートを受けながら運営するのが普通です。
しかし、コンサルタント会社・リンゲージの勧めでフランチャイズの権利を大量に販売。売上が未達成のときはフランチャイズの権利を売却して経営をごまかしていたのです。
しかも金融取引としてフランチャイズ権利を売却し、買い戻し特約もつけていたので、オーナーが一斉に買い戻し要求をしてきたらDFSは債務超過となり倒産。その危機が今そこまで迫ってきているのです。
現状を知った社長の大友は「そんなことは聞いていない!」と憤慨して早々に辞任。悠々自適な社長生活を夢見ていた彼にとって寝耳に水。着任して間もないのでDFSに対して愛着もなく再建しようという気もないので辞めるのは早かった。
ということでナンバー2だった樫村が社長に就任することになったのです。DFSの現状を知った上での社長就任。覚悟がなければ誰もやろうとはしませんが、会社のため、従業員のために彼は改めて再建を決意したのです。
樫村の再建計画
再建計画の柱は以下の3つ
1、直営店を中心とした店舗の立て直し
2、フランチャイズオーナーに直接会い、説得する
3、支援企業を探す
という内容ですが、どれも一筋縄ではいきません。問題はオーナーの説得です。
彼らが一斉に権利の買い戻しを迫ってきたら会社は終わり。強面の男が会社に乗り込んできたり、メイン銀行の口座を差し押さえられたりと、まさに崖っぷちの状態で、果たして支援をしてくれる企業なんてあるのでしょうか?
樫村を誘惑する女社長
樫村は知人の紹介でチェーン店の「十和子フード」を経営する岡田十和子に支援を願い出た。和服姿がよく似合う美人です。彼女は協力したいと言ったが、8億円でDFSの株を55%買いたいという。足元を見て安く買い叩かれているのはわかるけど、崖っぷちのDFSを、樫村を誘惑してまで、彼女はなぜ欲しがるのか?
その答えは後ほど・・・・
子会社化と融資の回収を急ぐ銀行員たち
登場人物で紹介した宮内亮という人を覚えていますか?
樫村は彼を良きライバルだと思っていましたが、彼はそうじゃありませんでした。東大卒で出世コースを走る樫村を妬み嫉み、自分の利益しか考えていないタイプ。
宮内は電子部品メーカーの役員になり、金融取引の子会社を設立。その役員に社長業を逃げ出した大友が就任。この大友と宮内コンビが樫村の周りでウロチョロするんですよ。
このデコボココンビは、DFSを分割して売却することを銀行に提案。DFS担当の行員とともに樫村に迫ったのです。
もちろん子会社化の案は間違いではないけど、彼らは自分たちの利益しか考えていません。また、大友は支援企業を紹介すると言ったけど、どうも信用できない。大手総合商社、伊坂商事の小沢幸太郎と大友は元菱光銀行の同期らしいけどね。
小沢はDFSに興味があると大友は言うが、小沢に直接交渉するなと言う。これはもう絶対怪しい・・・。
ということで樫村は小沢に直接会いにいき、大友の事を話したが、支援したいと言った覚えはないという。ただ、興味が無いわけじゃないから、話を聞きましょう!と樫村と小沢は今後の支援方法について話し合ったのです。
十和子の本心
樫村を誘惑してまでDFSの経営権を握ろうとしていた十和子。実は彼女は、DFSの前オーナー結城伸治に戻ってきてほしかったのです。彼は確かに経営に失敗した。居酒屋チェーンが成功しリンゲージに相談したのが運の尽きだったのでしょう。事業を急激に拡大させた結果、資金繰りが悪化。50%の手数料を常に貰っていたリンゲージだけが儲けていたのです。
ただ、彼は会社を、社員を愛していました。その気持ちは十和子だけじゃなくて社員たちも分かっていたのです。
樫村は社長を辞任してJRFの山本に株を売却した結城をよく思っていませんでしたが、彼を慕う社員や十和子と接触するうちに結城の会社への想いを知ったのです。
結城という人物は知らないと言っていた十和子は樫村に泣きながら謝罪。彼女は樫村に嘘をついていたのです。樫村の誠意ある対応、そして結城と同じような考え方の樫村にDFSの株を購入する理由を打ち明けたのです。
十和子と作戦会議
樫村「ワルになろうと思います」
十和子「ワルに?」
宮内と大友は自分たちの実績を上げること、WBJ菱光銀行は融資回収のこと、またJRFの山本もDFSを投資対象としか考えていません。
そんな彼らをギャフンと言わせてやりましょう!と樫村は言ったのです。
十和子は色仕掛けで山本からDFSの株を買い取ることに成功。十和子フードと伊坂商事の支援が決まり、結城を説得することも出来たのです。DFSの再建の目処が立った今、樫村は行動に出たのです。
果たして樫村はどんなワルになったのか?結末は次のページで