まさに狂気!「セッション」の感想・ラスト9分19秒で感じ取れるもの

最近、同じ監督作品の「ラ・ラ・ランド」を観て衝撃を受けた私。前作も非常に評価が高いということで早速観てみました。

最初に抱いていたイメージと大きく違いましたが、これはこれでアリかなと思ってます。血だらけでドラムを一心不乱に叩く青年とスパルタ教育をする鬼軍曹のような教師。お互いにぶつかり合い、時には乱闘騒ぎもあったりと、音楽に対する情熱に終始圧倒されました。

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メインキャスト

偉大な音楽家になりたい!という夢を抱いて全米一の音楽学校に入学した主人公のアンドリュー・ニーマンを演じたのはマイルズ・テラー。まだまだ俳優としての経験は浅いですが、手に血をにじませ、汗がシンバルに飛び散るくらい狂ったようにドラムを叩く姿は圧巻。ダイバージェントに出演したようですが、記憶に無くてごめんなさい。

そして映画ファンなら誰もが知っているJ・Kシモンズが演じたのは鬼軍曹のようなスパルタ教師。生徒が演奏を間違えようもんなら暴言罵倒の嵐で椅子まで飛んでくる始末。ジャケット・Tシャツ・スラックス全てブラックでスキンヘッドという見た目だけでも相当怖いのに中身はもっと恐ろしい教師を怪演してくれました。体全体でぶつかり合う二人の演技に注目。

 

「セッション」のあらすじと感想

前述したように、想像していたのと随分違った内容に驚きましたが、それでも観終わった後の達成感というか爽快感は最高。

私が想像していたのは、スパルタの中でも愛があったり、最後には教師と生徒が抱き合って成功を喜び合ったり、プライベートでは恋人と上手くいくのかと思っていましたが・・・蓋を開けてみると、そんな生易しいものではありませんでした(笑)

一流の音楽家になるために全米一の音楽学校に入学し、その中でもトップクラスのバンドに運良く入れたのは良いけど、鬼軍曹の教師にしごかれる毎日。ライバルの登場に危機感を抱いたニーマンは折角勇気を振り絞って映画館でバイトをする彼女に告白して交際をスタートさせたのに、自分から会う時間が無いから別れてほしいと告げる。

しかも「偉大な音楽家になりたいから君と会う時間はない」というような乱暴なことまで言って彼女と別れることに。バンド仲間は彼にとって全員敵。挙句の果てには家族にまでイヤミを言ってしまうほど気持ちに余裕が無くなり、精神的にも追い詰められてしまう姿は同情と批判の半々の感情で観ていました。

いくら教師とは言え、堪忍袋の緒が切れたニーマンは教師のテレンス・フレッチャーに暴力を振るい退学処分に。何もかも捨てて夢を諦め、挫折を味わったニーマン。別の大学に進むことで新たな道を歩もうとしていた時、フレッチャーからバンドの誘いが舞い込む。

しかしニーマン同様、フレッチャーも大学をクビになっていた。彼の教え子が自殺し、自分の子供も精神的に追い込まれていたと感じたニーマンの父親は弁護士に相談。度を越えた体罰があったと匿名で証言したことでフレッチャーは大学を辞めることになったわけだが、なぜ今回、彼は誘ってきたのか。ニーマンに対して何か良からぬことを企んでいるフレッチャーであった。

 

圧巻のラスト9分19秒で感じ取って欲しい二人の感情

演奏するのはキャラバンとか、スタンダートなjazzナンバーだから君にも出来るだろ?、そう言われてジャズフェスティバルに参加することになったニーマンだが、1曲目は全く練習していない曲からスタートすることになり、1人観客の前で大恥をかくことに。

「お前には才能がない」

したり顔のフレッチャーに対して、その場に居ることが苦痛になったニーマンは舞台から袖へ引っ込んでしまった。袖口に居た父親と抱擁を交わした後、そのまま帰ると思いきや、何か吹っ切れたのだろう、迷いのない表情でまた舞台へと戻っていくニーマン。

「さて、次の曲はゆっくりとした・・・・」とフレッチャーが言いかけた時に、勢い良くドラムを叩き出すニーマン。強引に「キャラバン」を演奏し始めて、他のバンド奏者も後に続いたのである。※この時、ニーマンはクチパクでフレッチャーに「ファックユー」と言っている。

ラスト9分19秒、火花散るフレッチャーとニーマンの睨み合いが続く中、一心不乱に叩き続けるニーマンの姿は圧巻。

勝手なことをしやがってと感じていたフレッチャーの表情が徐々に変化していき、クライマックスにはニーマンに対して(なかなかやるじゃないか小僧・・)というような表情が印象的。

そしてこの時のカメラワークにも注目。ニーマンとフレッチャーを素早く交互に映し出す技法は、たしか「ララランド」でもあったはず。敵対していた二人が徐々にシンクロしていくかのよう。

そして彼の演奏が終わると同時に映画も気持ちよくポン!と終わってしまう爽快感。手に汗握るとはまさにこのことですね。

 

クライマックスの前に伏線はあった

ジャズ喫茶で久しぶりに会ったフレッチャーとニーマンの会話に実在するジャズミュージシャン、チャーリー・パーカーに関する逸話があった。

チャーリー・パーカーは即興演奏に飛び入り参加した時にヘマをしてジョー・ジョーンズにシンバルを投げつけられ大恥をかき、その晩大泣きした後、ひたすら練習して、一年後の舞台で史上最高のサックスを披露。即興演奏でジョーンズに「よく頑張ったよ」とねぎらいの言葉を掛けられていたら、素晴らしいサックス奏者にはならなかっただろう、と。

そんな二人の会話の後に、あの素晴らしいラストを迎えるのです。

お前に大恥をかかせてやろうってね。一度舞台の袖に引っ込んでしまった時はどうなるのかと思いましたが、観客ではなくフレッチャーを圧倒させたニーマンのラストの演奏は見応え充分。スパン!とそこで映画も終わらせるのも気持ちがいい。

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今なら「セッション」が無料で観れる

動画配信サービスの「hulu」にあったので、「ララランド」を観た後に直ぐ視聴。いや~便利な世の中になりましたね。

近くにレンタル屋さんがあるので、どうしても見たい時は借りてみていましたが、ネットで観れる時代が来るとは驚きです。

で、「hulu」は最初の2週間は無料で視聴出来るので、この映画以外も期間内なら観放題というわけです。映画は洋画・邦画問わず様々なジャンルがあるので、とてもじゃないですが2週間では観きれません(笑)

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2017年2月24日に公開された「ラ・ラ・ランド」の感想はこちら