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『少女』を最後まで読んで、あれこれ考えた後の感想
要素はあるんだけど成長物語というのはイマイチしっくりこない。それよりも、友情修復物語がしっくりくるかな。
少女達にとって一番大切なこと。異性よりも、復讐よりも。
何だかんだ言って、由紀と敦子にとって現在進行形でなによりも苦痛だったのは、由紀と敦子の仲が不安定になってしまっていた事態そのもの。そうなった色々な要因が憎くて憂さ晴らししたかったのだろうけど、由紀と敦子の関係が修復した途端に『少女』の世界に安定と安心感が生まれたと感じました。
この安心感が強く印象的だったので、たとえ最後がダークな結末でも読後感が良く感じたのだろうな。
小説の表紙絵
本を開く前、小説に巻かれたオビや裏面に書かれたあらすじを読んだだけでも、本文を知らないなりに色々思うところが合ったけど、表紙の絵(写真かもしれない)が繊細かつ的確なイメージを放っていて、良い!
そんな暗いベッドをほんのり照らす大きな窓は眩しい外界の木漏れ日を取り込み、死や闇との闘いから解放された「ベッドの使用者」を祝福しているように思えました。光を反射する、明暗の差が激しいベッドの白いシーツが美しい。
あらすじを読んだだけでも、このベッドの使用者は、あの世に旅立った後なのかなと思わせますが、読み終えた後で見なおしてみると誰のベッドなのか想像が広がります。
難病の少年か、由紀の祖母か。それとも、由紀や敦子など少女達の心の中にある、死を迎える辛気臭い場所なのかも、なんて。
こういう意味ありげなタイプの表紙絵、好きです。
タイトル「少女」(死が遠そうな年齢)と「死を迎えた後に見える病室ベッド(私の想像)」のギャップがいいな。映画の公式サイトのおしゃれなトップ画像も素敵だけど。
映画は、2016秋に公開
小説のお話しの舞台の中心は夏休みだけど、秋(2016年10月8日)に映画公開予定なんですね。小説の内容は大人向けだと感じたので、映画鑑賞熱が盛りあがる秋公開になったのかしら。楽しみです。