ドラマ化されるということで「民王」を読んでみましたが
当時の政権を風刺しており、読者は誰のことか容易に想像がつく個性的な登場人物たち。
今回はそんなモデルとなった方々を、書籍の内容とともにご紹介したいと思います。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
民王が発売された時期は?
ポプラ社より単行本が発売されたのは2010年5月。
長年続いていた自民党政権が大敗し民主党の鳩山内閣が誕生したわけですが
ポプラ社のウェブマガジン「ポプラビーチ」の連載は2009年の8月28日からでした。
2009年の8月末といえば麻生政権が終焉を迎えようとする時期です。
麻生氏と言えば失言エピソードが豊富な方ですが
その遠慮がいらない物言いに共感を持つ人も少なくありませんが
漢字の読み間違えなど首相としてちょっぴり恥ずかしい経験をされています。
民王では、そんな麻生政権を題材とした大胆なストーリーで
かといって風刺で終わらずに読者も満足する内容となっています。
ちなみに著者の池井戸氏は
「なぜ漢字を読めないような人が総理になるのか」
そんな疑問からこの本が生まれたようです。
それでは書籍で登場したモデルを一つ一つご紹介していきたいと思います。
プロローグはまさに当時の自民党そのもの
物語の主人公である武藤泰山の前任が突然の辞意表明。
更にその前の首相も任期半ばで辞任していることから、
立て続けに2人が1年足らずで辞任するというところから物語がスタートしますが、
これはまさに麻生内閣が誕生した時期と似ています。
そういえば2001年に発足した小泉内閣、懐かしいですね、
空前の小泉人気で支持率も歴代1位を更新するなど、
さすがの野党も打つ手無しといった感じでした。
ですが5年という長い任期を終え、後任に安倍晋三氏を迎えてから
少しずつ自民党に陰りが見え始めたのです。
この頃からいわゆるねじれ国会と呼ばれる現象が起き始め
衆議院の与党(自民党)は参議院で過半数を割り込む形となったのです。
このねじれ国会という言葉もプロローグで登場し、
まさに現政権のことじゃないか、なかなか面白そうな話だなぁ・・、
そんな感じで当時の読者は読んでいたのではないでしょうか。
モデルとなった麻生総理大臣の失言エピソード
漢字の読み間違えは話題になりましたね、
未曾有→みぞゆう
踏襲→ふうしゅう
と間違えたことで元民主党の石井副代表が国会で
麻生総理に対して漢字クイズを行っていましたが
ほんとくだらない話です。
書籍「民王」に登場するバカ息子なら
「国会でそんなことやってんじゃねーよ!」
というセリフがポンと出てきそうです。
カップラーメンが400円とか、ホッケに煮付けがあるとか
庶民感覚が無くても別にいいじゃないのと思えてしまう。
そして2013年1月には
「(終末期医療に関して)さっさと死ねるようにしてもらわないと」
麻生さん・・・、安楽死とか、もう少し言葉選びましょうよ^^;
これね、実は書籍「民王」の中で終末期ケアの施設に総理が訪問するなど
ストーリーの中で重要な役割を果たすテーマでもあるのです。
なので今回は麻生氏の発言の例として取り上げさせてもらいましたが
書籍が刊行された後の発言なので偶然といえば偶然なんですよね。
このように昔から失言が多い方でもありますが
だからといって、いちいち野党がそのことで突っついたり、
マスコミが総理をバカにするような記事を書くのはいかがなものか、
というところも息子・翔がストレートに疑問を投げかけている部分でもあるのです。
石原都知事の新東京銀行も登場?
「民王」では石川真二郎都知事が東京首都銀行を設立という言葉が出てきます。
これはまさに石原都知事のことですよね。
2005年に中小企業への貸し渋りを解消し経済を活性化しよう!
ということで新東京銀行が設立されました。
しかし赤字経営で事実上の破綻に至ったわけですが、公的資金の注入により存続。
今では黒字化しており2015年には東京TYフィナンシャルグループと経営統合を検討している模様。
泥酔記者会見も登場
麻生政権時代に財務大臣を担当した中川昭一氏の
泥酔記者会見はまだ記憶に残ってる方も多いと思います。
実はこの酔っぱらい会見も民王で取り上げられ、
上手い具合にストーリーに溶け込んでいます。
書籍では武藤内閣の経済産業大臣を務めている鶴田洋輔が
アメリカとの経済閣僚会議後に記者会見をした時の発言がこちらです
「協力していくような、感じで・・」
「経済協力の枠組み?みたいなものがー・・。」
あちゃ~・・・。
実は総理だけじゃなく鶴田財務大臣も体が入れ替わってしまったんです。
武藤内閣、万事休す!といった感じですが
実際に泥酔記者会見をみた麻生さんは何を思ったのでしょうかね。
今は亡き自民党の中川氏の死は色々と噂もありますが、本当に悔やまれます・・。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
当時の政権を題材にした池井戸氏としては珍しい作品ですが
大胆といえば大胆ですよね。
政治に疑問を持ち、その疑問から「民王」が生まれ、
風刺で終わらずに読者を満足させるストーリーに昇華させています。
いつも通りの池井戸節を炸裂しながらコメディ要素を加えた面白い内容。
池井戸ファンならずともおすすめの書籍です。