「ON猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」原作小説の感想・ネタバレあり「全てはここから始まる」

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第4章

たまたま仁美の殺害現場に赴き悼んでいた保にあった主人公。
流れでラーメンを食べに来た二人。

クリニックに訪れる約束をした主人公は、保がつけている指輪を尋ねます。
精神安定剤のようなものだと言う保。

今度はなぜ刑事に?と尋ねられると、亡き母のことを話します。

唐辛子も母からもらったものだと言うと、
保はそれをまじまじと見、いい母親だと言うのでした。

ラーメンを食べ終わった二人は主人公宅の方へと歩き出します。
お礼にとストロベリーキャンディーを渡すと、
保は突然青ざめ嘔吐を繰り返し、人が変わったように咆哮しました。

戸惑う主人公はなんとか落ち着かせると自宅へと連れ帰り、
空室に泊まることを促しました。

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そして、保の狂乱姿をもう一度、深夜に見ることになるのです。
取り乱した保の姿を見た主人公が目に涙を浮かべ、駆け寄ります。

自分たちは思ったよりも日常を忘れ、異常事態の中にいる。
その中で心を枯らし、荒んでいっているのだと主人公が自覚した夜。

その自覚が保を求め、保もまた主人公を求め、
布団の中に二人沈んでいくのです。

夢にうなされた保は主人公に自分が行っている早坂との実験について吐露します。

その影響で、犯罪者と同化し、いつしか彼らが見る夢を見るようになる。
実験で犯罪者の意識下に深く潜ることで、
矯正を図るその実験に早坂院長が必要性を感じている一方で、保自身は恐怖心を抱いているのでした。

翌日、東海林の調べで、現在大友が早坂の保護観察下に置かれていることがわかります。

しかし同時に保への疑いも浮上し、そのことを知った主人公は
鑑識に七味唐辛子の缶についた保の指紋検証を依頼。
了承した三木は主人公に自分の推測をぶつけます。

大友翔の母親殺人事件に関連して起こったと思われる3つの事件。

その中の幼女殺害事件の時、被害者の口いっぱいに含まれた苺のキャンディー。
そしてその苺のキャンディーは中島を狂わせたものと同様のものだったのです。

ということは、何か関連している?と疑う主人公。

さらに、保は幼女殺害事件の第一発見者だったのです。
そしてそのショックで学校を休学していたこと。

東大の工学部から武蔵野大学へ転入という異色の学歴をもち、
なおかつ早坂の例の論文を手伝っていた証拠もあがります。

研究中に犯罪を未然に防ぐ脳のスイッチを見つけたと
友達に話していた保はまもなくその事件に遭遇してしまい心を病んだのだと。

心を通わせた中島が一気に犯人候補にあがってしまったことに頭が追いつかず、
東海林がそれを心配するも、ハヤサカクリニックには、主人公一人で行くことになりました。

診療室に入り、保に会うと昨日のことを徐に写真を出します。
小林翔太と大友翔の一致、
保が幼女殺害事件の第一発見者であったことを確認する中で、
カゴの中に入ったUSBに気づきます。

それは、壬生が鮫島の映像を渡してくれたUSBと同じ。
なぜそのUSBを保が持っているのか。

主人公の頭には「スイッチを押す者」という名前が浮かびます。
その時、主人公の携帯に三木から連絡が。

宮原が死んだ際、土手で見つかったコーラの瓶の指紋は保のものだということ。
咄嗟に保を見ると、彼は主人公がUSBをみていたことに気づいたようでした。

急に取り乱し始める保に恐怖心を抱き、診療室から逃げる主人公。
しかし、あっさりと保に捕まってしまい、
そこで自分が「スイッチを押す者」であることを自白をうけます。

脳の中にある狂気にも似た快楽を得るために記憶を呼び起こす人のみがもつ凶器のスイッチ。
それを保は埋め込むことができること。

スイッチを仕込めばあとは、強烈な事件の記憶をよびさますだけ。
それが宮原の場合コーラの瓶だったのです。

しかしまさか殺人まで犯しているとは…。

おぞましい事態になったと理解しながらも、
既にスイッチをいれてしまった犯罪者は起爆剤により自死し、
告発されればいいと考えていた行為も結局相手を死に追いやってしまったのです。

すべてを話し終えたと同時に耐えられなくなった主人公は保の腕の中から抜け出し、
院長室へ入ると目に映ったのは早坂院長の無惨な死体と裸電球。
大友翔と対峙した主人公と保。

保が主人公を逃がす行動は大友の母の真似でした。
それが起爆剤となり大友は自傷行為を開始。
殺害を犯している大友を待つ結果は死でした。

そのことを理解していた保は大友の自傷行為を止めるも、
おさまらない自傷行為はそのまま大友を殺し、
保はその亡骸を警察が到着するまでずっと抱きかかえていたのでした。

どうやってスイッチを埋め込んだのか。
その答えは保のしていた指輪でした。

特殊な電磁波で脳内ポリープを作るのだと説明する保。
そして自分が「スイッチを押す者」であると再度自首するのです。
被害者はすべて犯罪者。何が善で何が悪なのか。

一夜を共にし、好意を寄せた相手の腕に手錠をかけること。
ためらっていた主人公に、中島はこういうのです。

「進め、比奈ちゃん。あなたは刑事だ。」

その言葉に涙する主人公は中島保の手に手錠をかけるのでした。

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第1巻「ON 藤堂比奈子」の感想

物語の初めは本当にオカルトちっくで、
これどうやって解決していくの??という疑問が頭から離れませんでした^^;

のちに死神女医が言うのですが、
中島は殺人罪に問われる可能性は極めて低いのです。

自殺幇助にしても、電波だのスイッチなので、
どれも可視できるような明確な情報ではないから。

早坂の研究に恐怖心があった中島がそういう結末になってくれてちょっと安堵です。

すごくいいなぁと思ったのは、
主人公・比奈子が良くも悪くも普通の女性刑事であること。

特別頭がキレるわけでも、感情が欠如しているといったこともない。
ただ人より少し暗記が得意なだけ(少しってレベルじゃないけど…)。

主人公が超人化されると、
なんだか現実離れをし始めるのでそういった点ではすごく物語に入り込めました!

また、伏線の張り方も、記憶力の高い比奈子なら気付く!
といった意外性のあるものも多く、読んでいてかなり楽しめました!

目には目を、歯には歯を、というやつでしょうか。

中島が意図したことではないにしろ、
3つの殺害に対し死刑一つはおかしいといった壬生のことが忘れられません。

でも、だからといって、個人でも国家権力でも、
人の生命を処理することはできないのだと無念した一作でした!

第1話ドラマの感想

第1話が7月12日に放送されましたが皆さんいかがでしたか?

主人公は変わり者と分かっていたけど、ドラマは更に拍車がかかっていましたね。
七味を携帯し、貰ったガムにまでかけて食べるのはやり過ぎのような気もしますが
それよりも犯罪データを見ながらニヤついちゃうのは東海林じゃなくても指摘したいところ。

ドラマだから主人公が普通過ぎるとつまらないですが、
朝ドラや世界一難しい恋の波瑠さんのイメージとはちょっと違う、
ミステリアスで怖いけど可愛いという新たなキャラが楽しめそうです。