映画「わたしを離さないで」あらすじと感想「キャストの演技力で引き込まれる」

2011年に公開された作品で、
クローンというタブーなテーマを題材に
限られた人生を精一杯生きる若者たちを描くヒューマンドラマ。

2016年1月にドラマ化されるということで
映画のレンタルを借りてみましたが、かなり重たい内容ですね。
限られた人生、平凡な生活を夢見ることさえも出来なかった
彼らは与えられた使命を素直に受け入れ全うする姿はとても切ない。

唯一の希望さえも絶望に変わり、
それでも抵抗すること無く短い生涯を終える。
人が人のために・・・か、中々考えさせられる映画です。

原作小説についてあらすじ&感想記事はこちらです

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あらすじ

主人公のキャシーとルース、そしてトミーの3人は
ヘールシャムという施設で規則正しい生活を送っていた。

18歳になると片田舎にあるコテージに住居を移し
新たな共同生活が始まった。

キャシーとトミーはヘールシャムの頃から
お互いに好意を抱いていたが、
ルースの積極的なアプローチでトミーとルースは付き合うことに。

仲の良い3人組だったはずが
ルースの態度に嫌気が差し、彼女と距離を置くようになったキャシー。

お互いにすれ違いながらも、刻々と運命の日は近づいてくる。
そう、施設で暮らす子供たちはやがてドナーとして
短い生涯を終える事になる。

その間にドナーの介護をする介護人を志願することも出来るので
キャシーは黙々と仕事をこなしたのだ。
その日が来るまで・・・・。

 

映画「わたしを離さないで」の魅力的なキャストたち

今作は若手俳優を中心としたストーリーで、
特にメインキャスト3人の演技が素晴らしい。
やり場のない感情のぶつけ方、自然と涙を流すシーン、
セリフがなくても間を持たせるベテランのような感覚。
特に主人公を演じるキャリー・マリガンの演技は最高です。

キャシー・H

(映画:「わたしを離さないで」より)

女の子同士でつるむのが苦手で、いじめられっ子のトミーをいつも気にかける優しい女の子。
キャシーを演じるのはウォールストリートや華麗なるギャツビーに出演したキャリー・マリガン。プライドと偏見でキーラ・ナイトレイと共演している。

ルース

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幼い頃から得意気に話すルースは流行りに敏感なイマドキの女の子。
キャシーと本当に友達?と思わせる態度がチラホラあり、
トミーを横取りするなど自己中心的な性格が気になるところ。キャストは絶世の美女と言われたキーラ・ナイトレイ。

トミー

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典型的ないじめられっ子。
キレると大声を張り上げるという癇癪持ちだったけど、
ルーシー先生のアドバイスで感情をおさえられるようになった。キャシーに想いを寄せている。

 

心に残るシーン

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トミーがくれたカセットテープを再生すると、
女性が情熱的に「kiss me~、never~、hold me」と歌うメロディーが流れ出し、
目をとじながらクッションを抱え聞き入るキャシーの姿が何とも微笑ましかった。

このカセットテープはキャシーにとって大切な宝物になる。
トミーをルースに取られ、ヘールシャムを卒業して
コテージへ移ると一層寂しさが増していったのです。
隣の部屋から聞こえてくる二人の愛し合う声を遮断するために、
カセットテープが別の世界に連れてってくれるのでした。

目を閉じれば目の前にトミーがいる。
歌詞のように私を抱きしめて、そしてキスして。
辛い十代を乗り越えれたのはこのテープのおかげかもしれない。

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映画「わたしを離さないで」感想

クローンを題材とした映画といえばアイランドを見たことがありますが
あの作品は自身がクローンだと気づいた時、
徹底抗戦する内容なんですが、この作品はそうした反発するようなことはなく
むしろ恐いくらいに素直な若者たちが描かれているのです。

多分それは幼い頃から”洗脳”されて生活してきた結果であり
例えば施設からぬけ出すと生きて戻ることは出来ないなど、
外の世界は怖い場所と誰もが思っていたのです。

物凄く狭い世界で彼らは暮らしていたけど、
でも決して死を待つだけの悲しい生活ではなく
友だちと遊び、恋をして、時には喧嘩したり、
本当に普通の子供たちと何ら変わりない生活を送っていたのです。

私たちの生活に例えるなら、
小学校の次は中学、その次は高校というように
彼らにとって臓器提供者以外の選択網はなく
(提供者の世話をする介護人にはなることは可能)
2度、3度提供を行って死を迎える人生が当たり前になっているのです。

でも彼らにとってほんの少しの希望があり、
カップルになると3年間の猶予が与えられ、
短い期間だけど二人で生活する事ができるという。

しかし残念ながらうわさ話にすぎず、
素直なトミーは、その話を信じて疑わず、
真実を知った時は酷く取り乱してしまうのです。

ようやくキャシーと二人、短い期間だけど一緒に生活が出来る、
臓器提供前に思い出を作ることが出来る、
そう思っていたトミーですから、彼じゃなくても取り乱すでしょう。

 

ルース、そしてトミーが死に、
1人残されたキャシーは思い出の場所に立っていました。

「トミーと一緒に過ごせただけで幸せ」
改めて彼女はそう感じている。
しかし「私たちと私たちが救う人達の違い」はなんだろうか、
そんな答えが見つからない疑問を自分に投げかけて映画の幕は閉じるのですが
彼女もまた最初の提供日が決まったことから終了の日が刻々と近づいている。

彼女はトミーをルースに取られ、青春時代は
読書とカセットテープで自分の世界に入り込んでいましたが
いつか二人は別れてトミーは私の元へ戻ってくれると信じていたので
最後に願いがかなったと言うべきか。

悲しい終わり方でいつまでも心に残る映画でした。

そう言えばストーリーや俳優の演技も良かったですが
映像美もまたコダワリを感じました。

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年代を感じる西洋風な建物が数多く登場し、
それはまさに風景画そのもの。

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また、ポットのお湯が沸くまでの間、読書を楽しむこのシーンなど
そのまま絵画になるような美しい映像が印象的。
BGMも静かでキャシーが涙を流すシーンも多く、
改めて女優キャリー・マリガンの役に入り込んだ演技の凄さを感じる作品でした。

小説を読んだので追記します

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主人公のキャシーが歌を聞きながら
体を左右に揺らすシーンは先ほどご紹介しましたが、
実は小説と映画では全く異なる演出がなされていたのです。

映画では親友のルースがキャシーのことを廊下からじっと見つめていますが
小説ではマダムが泣きながら見つめているのです。

小説の感想で詳しくご紹介していますが、
マダムが戸口の隙間からそっと覗いていくるからこそ
このシーンは意味があり、同級生のルース、
つまり同じ立場の人間が見つめていても何も意味を成さないのではと感じました。

臓器提供をするための人間を育てる
無慈悲で残酷な世界にキャシーのような小さな女の子がいる。
女の子はクッションを大事そうに抱えて体を揺らしながら
しんみりと歌を聞いている姿にマダムは涙した。
キャシーの姿に胸が張り裂けそうな思いだったと語っているように
外の世界の人間が見つめているこのシーンは映画でも
そういった演出にすべきだったのではと感じました。

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