予想外の結末w「暗黒少女」の原作小説あらすじ※ネタバレあり

予測出来なかった結末、白石いつみ(代理朗読・澄川小百合)

物語の主人公になるなら、一番人生で輝いている高校3年間はどうだろうか。

自分が主人公なら脇役が必要。それも名脇役でなければいけないが、主役の座を虎視眈々と狙っているので、主役を維持するには脇役よりも優位に立つ必要がある。

そのためには弱みを握ることが一番だと考えたいつみは、見事5人をサークルに迎え入れ、その5人を自分の引き立て役として服従させることに成功したのです。

それぞれ握られた秘密の内容

高岡志夜・・・デビュー作は盗作だった

小南あかね・・・実家の老舗料亭を放火

古賀園子・・・学校のパソコンに不正アクセスして自分の成績を修正

ディアナ・・・姉の滑落事故は自分が突き落としたから

二谷美礼・・・援助交際

いつみはサークル顧問の北条先生と交際していた

国語の担当教師を務める北条先生と密かに愛を育んでいたいつみ。ブルガリアに短期留学した時も二人は恋人としてバカンスを楽しんだ。サークルのサロン以外に秘密の隠れ家と言う名のドライブを二人で楽しむことがいつみにとって最高の時間。

しかし、いつみが妊娠してしまったことで事態は急展開。北条先生は父親に許しを請うと言ったが、絶対に反対するので中絶が出来ない時期まで待つことに。

それからいつみの体調はいわゆる妊娠による不調が現れ、それでも学校に行き普段通りの生活を続けていたが、ある日、父親に見つかり、二人の関係に危機が訪れる。

父親が持っていたのはブルガリアで楽しそうにしている北条先生といつみの写真。そしてお腹のエコー写真のコピーだった。

一体誰が裏切ったのか・・・

実は5人のメンバー全員が結託していつみの父親に密告したのです。

いつみの復讐

いつみの弱みを握られていたメンバー5人が手を取り合って、教師との恋愛を密告したと判断したいつみは復讐を考えた。

それは5人をテラスに呼び出し、目の前で飛び降り自殺を図ること。もちろん、本当に死なないように細工をして。手には意味ありげな「すずらん」を持って。

なぜすずらんを持っていたのか、それが生まれてくる赤ちゃんの名前が「すずらん」だったことがわかれば、少なからずメンバーが関与していたことは明らかになり(※説明省略)、更に副産物として、それぞれの弱み(秘密)も明らかになる可能性がる。

いつみは他殺に見せかけ、すずらんにそれぞれ意味をもたせれば、メンバー同士で「犯人はお前だ」と罵り合うだろう。

北条先生はクビになり、二人は引き離されてしまった。しかし小百合は北条先生の居場所を突き止めて、いつみは彼のもとに去っていった。

小百合がいつみの机の上に花を飾れば、いつみが死んだと噂が流れるだろう。今は北条先生と幸せな生活を送っているといういつみ。実は今宵の定例朗読会にこっそり参加しているのだという。

しかも闇鍋の具材としてすずらんを入れたとか。すずらんは強い毒性があり、死に至る危険がある。

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誰も予想できなかった「暗黒少女」の意外な結末

いつみから相談を受けて、今回の特別な朗読会を計画したのは親友の小百合だった。いつみは沢山のすずらんを抱えて、数時間前に確かにサロンに現れて、楽しそうに朗読していたが、大好きな彼と幸せの絶頂に居るいつみから魔性の光が消え、どこか平凡で欲のない表情をしていたので愕然とした小百合は、鍋に入れる予定だったすずらんをいつみが飲むアールグレイティーに入れた。

いつみをずっと支え続けてきた親友の突然の裏切り。そして主役の座を意図も簡単に手中に収めてしまった小百合は、もちろんメンバーの弱みを握っているので、彼女らは小百合に従わざる得ない。

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感想

文学サークルのメンバー5人から朗読がスタートすることで、とりあえず「いつみは誰かに殺された」と感じてしまう。しかし読み進めてみると、どうも様子がおかしい。メンバー同士がお互いを犯人だと決めつけ、5人の朗読が終わると、誰が犯人なのか、誰が嘘をついているのかわからなくなる。

しかし蓋を開けてみれてビックリ、全員保身のために大嘘をついているので驚きです。そしていつみの小説では、メンバーの悪女っぷりが明らかになったことと、実はいつみはこの時点では死んでいなかった事実。

そしてラスト。いつみの復讐としてメンバー5人は殺されてしまうのかと思いきや、小百合の突然の裏切りにより事態は急変。復讐劇が主役交代劇へと変わる絶妙なストーリー。見事にやられた~と思いました。

この作品のキーワードである「すずらん」に様々な意味をもたせた構成もグッド。そして女子校の水面下で行われる主役と脇役の舞台劇はまだまだ終わらないという展開もイヤミス候補に上がる結末ですね。

女子校でしかもちょっと特殊な学校だと部外者ではわからない、特別な空気感や緊張感があるけど、生徒たちは皆、平然と装い他愛のない話で盛り上がっている。注目されたいと思う生徒同士が常に主導権を奪い合う人間関係は、どこの学校も実際にあるかもしれないと思うとゾゾッとした。