原作小説「土佐堀川」の感想・ネタバレになるかもしれないので注意です

9月28日(月曜日)から「あさが来た」が放送スタートされますね。
朝ドラはこれまで戦前戦後の時代は数多く放送されましたが
江戸時代は初めてで全員ちょんまげや丸まげ姿はまるで大河ドラマのよう。
スタジオのセットなどもかなり気合が入っているそうなので楽しみです。

さて今回は「土佐堀川」を読んでみましたので
あらすじ、感想などをまとめてみました。

※大人の土ドラ「朝が来る」の徹底紹介記事はこちらです

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原作のあらすじ

主人公の広岡浅子さんの波乱万丈の人生をありのままに描いた作品。
ちなみに彼女は三井財閥の子孫。

(嫁ぎ先も有名な豪商ですが、実は実家も相当なお家柄。)

彼女のエピソード集もまとめてみました

1894年嘉永2年に誕生した彼女は幼いころ、
男の子達を従えて野を駆けまわるなど、男勝りな性格で、
叱られても気にしないおてんばな子だったようです。

そんな男勝りな女の子のだった彼女も成人し
大阪一の豪商・加島屋に嫁ぎ、
夫を支える献身的な妻・・、に収まるかと思いきや、
経営に積極的に参加する実業家の顔になっていました。

「こいつは大物になる、男の子の分まで偉くなって家を盛り立てよう」

幼いころ、父は浅子の資質を見抜いていたかもしれない。
そんな彼女は生涯、危機的状況に何度も陥りながらも
加島屋を助け、次々と事業を起こし多角経営に成功、
全国でも名の知れた女性実業家となり、
更に女性の社会進出に大きく貢献した人でもあります。
(村岡花子さんと同じですね)

彼女の座右の銘は

九転び十起き

七転び八起きよりも2度多いということは
人よりも努力し、何度でも起き上がり、成功するまで諦めない
力強い生き方を表した言葉だと思います。

 

「あさが来た」原作も面白い!(ネタバレも含まれますのでご注意を)

多分、「朝が来た」の大筋は土佐堀川のエピソードを参考に作られていると思いますので
細かいところは違っても大きな流れはほぼ同じなのかなと考えています。

ドラマの参考資料としてお読みください♪

 

ここまで「商い」が大好きという女性も珍しいかもしれない。
嫁ぎ先の加島屋は、いわゆる両替屋で、
全国各地の藩主に相当な額を貸付けていたので
嫁の立場だけどかなり危機感を抱いていた浅子。

それもそのはず、経営は意外とマイペースで、
無駄が多いと彼女が苦言を呈するくらいですから。

しかも夫は、これまた頼りない人で
イザという時は浅子が先頭に立って難を乗り切ったこともあったのです。

もともと商売人気質で黙ってみてられない性格だと思いますが
夫に任せていては加島屋が潰れてしまう、
そんなことはさせられない!という気持ちが強かったのでしょう。

 

新政府誕生で「銀目廃止(ぎんめはいし)」に

明治政府は江戸末期にほとんど流通していなかった
「丁銀」「豆板銀」を廃止し、新しい貨幣の鋳造に着手。

金(両・分・朱)建てと銭(貫匁)建てとに統一した

しかし大阪では銀目手形がまだ流通していたことから混乱が起こり
大きな影響を受けたのが両替屋だったのです。

開店前の加島屋の店先には不安に思った客達が銀目手形を持って一斉に押し掛け

「主人を出せーーー!!」

と怒号が飛びかっていましたが、頼りの夫・信五郎は

「わては苦手や・・。」

と外に出ようとせず、仕方がないので浅子が店先に立ち、
感情的になっているお客の対応をしたそうです。

病気で床にふせている義父の指示の下、
客が持ってきた手形を全て現金と交換させたことで
蔵にあった現金はスッカラカン、加島屋はなんとか持ったけど
この騒動で大阪の両替屋はほとんど倒産したそうです。

銀目手形とは?
両替商が預金者に対して発行した預り証としての預かり手形と預金者が両替商に対して預金の引当てに振り出した振り手形に分類される

店先に押し寄せてきたのは預かり手形を持った客でしょうね。

 

浅子の危機感「幕藩体制が終わったらウチはどうなるんや・・・

先程も少し触れましたが、お得意さんは藩です。
徳川幕府が終われば諸大名に貸した金は全て戻らなくなる。

各地で倒幕の動きが出始める頃、
実家の三井ではそうした情勢を敏感に察して、
幕府ではなく新政府に期待を寄せていました。

それもそのはず、
三井家の商売は何も問題はなく、
むしろ繁盛していたにもかかわらず、
幕府の御用金(法外な税金)のせいで破産寸前だったのです。

当時、経済の発展に一役買っていた三井の首をシメていたのは
実は政府だったという本末転倒な状況の中、
幕府を倒さんとする新たな勢力に
三井は協力し、全面支援していたのも無理はありません。

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大阪の両替商が軒並みバタバタと倒産する中、
加島屋も例外ではありませんでした。
逼迫した状態で更に新政府へ献金もしなければならず
豪商と言われた加賀屋がまさかの借金、
そして返済の延期を願い出るために浅子は東京へ向かったのです。

夫の信五郎はあてにならない。
「自分が動かないと加島屋が潰れてしまう、それだけは何としても食い止めなければ!」

少々熱が出ようが、病み上がりだろうが、そんなことはお構い無し。
人並み外れた精神力と気の強さは凄まじいのひとことです。

そして根っからの商売人気質だと思う最初の行動がこちらです↓

これからは石炭の時代や!

西洋文化が日本に入るようになってから、
日本人の生活様式はガラリと変わり、東京では洋服を着る人が増え
浅子も歩きやすいということから好んで着ていたそうです。

また、西洋の機械文明も入ってきており、
燃料の元となる石炭の需要が急激に上がってきた。

初めは気乗りしなかった浅子も、
次第にビジネスチャンスと考えると誰よりも早く炭鉱経営に乗り出し、
加島屋再興に大きく貢献するのですが、
鉱山で恐れていたことが発生。

なんと15人の犠牲者を出す爆発事故が起きてしまったのです。

危機管理が徹底していなかったといえば終わりですが、
「どうにもきな臭い感じで疑念が残る」という浅子。

実は、古臭いしきたりがある炭鉱の改革を推し進めた時に対立が起きて、
最後まで浅子の意見に反対していたグループに属する鉱夫たちが
今回の犠牲者でした。

作為的に爆発をさせ、経営に影響を与えようとしたけど
まさか逃げ遅れてしまうとは彼らも想定外だったのでしょう。

更に犠牲者名簿の中に同じ三井家の人間が入っており、
その男は「加島屋は必ず倒産する」と言っていた。

遊び人で妻以外の複数の女性と関係を持ち、
最終的に炭鉱夫として落ち着いた男の悪あがきだったのか・・・。

今となってはどんな気持ちで浅子の下で働いていたかは
一緒に暮らしていた妻しかわからないでしょう。

↓長くなってしまったので2ページに分けました。