これ怖すぎw「クリーピー」原作小説のあらすじ&感想ネタバレあり

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事件の真相

10年後、高倉の姿は福岡にありました。
あの事件により、東洛大学を辞任、現在は福岡の女子大で特任教授。
福岡のホテルと東京の自宅を往復する日々。事件は未だ未解決のまま、高倉は事件から遠ざかっていました。

そんな彼に再び事件に関わらせたのはとあるピアニストの存在。
その名は「河合優」。そして彼女は河合園子の子だとわかると、
なぜかふと事件のことが頭をよぎるのです。

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自宅に戻った高倉は、自分の書斎で事件を調べ始めます。
そして、本当は園子は野上の手紙を受け取ってないのでは、という疑問が浮かぶのです。
そうとなれば、あの手紙は誰が書き、野上はどこにいたのか。
それを確かめるため、訪れたのが河合園子の自宅でした。

園子の自宅を訪れる機会は意外にも早く、それは先に高倉が優と接触したためでした。
その際に、優から園子の養女であることを聞き、
また、事件に関して「西野澪」の存在を問うと、「彼女は生きている」というのです。

そして、そっとしておいてくれ、とも。
おそらくこの逢瀬が優から園子の方に伝わったのか、園子の方から接触を求めてきたのです。

園子から語られた真実は、野上からの手紙は園子が書いたものだということ。
さらに、野上を殺したのは自分であるということ。

結局は野上も少なからず女たらしの血を受け継いでおり、
離婚した後も連絡を取り続けているうちに、園子自身その関係に耐えられなかったというのです。

また、同時に自分に愛を与えてくれた野上が
愛してくれなかったことに対する悲しみや憎しみが園子を後押しし、園子宅に訪れていた野上を射殺。

我に返った園子が助けを求めたのが善雄だったというのです。
野上の死体処理を善雄が済ませると、
共犯に陥った園子は逃走した善雄と澪を匿わざるおえなくなったのです。

もちろん、園子から高倉に会ったのも、善雄の意向。
しかし、善雄の予定を狂わせたのは、園子が偽情報を伝えろという指示に従わなかったこと。
そしてその善雄園子宅の2階ですでに園子の手によって10年前から死んでいたのです。

澪は園子の自宅で暮らしている間、普通の生活を送っていたと園子は言います。
最初こそ監禁状態だったものの、園子がその枷を外し、ピアノの稽古をつけたと。
それが澪に対する罪滅ぼしだと園子は語り、現在養女となった澪は優という名でピアニストになったのです。

昔のことをぶり返し、
今の幸せを手にいれた優の生活を脅かすことはしないと園子と約束する高倉。
その8年後、園子は胃ガンが転移しこの世を去ります。

園子について考える高倉。
善雄に野上を重ねて見ていた園子は、次第に善雄と野上の区別ができなくなってきたのではないかと想像します。

そうでなければ、あの異常状態の中で、園子が生きることはできなかったはずだと。
園子が死んでから善雄の遺体が見つかったという報道はありません。今もまだ矢島善雄は逃走を続けているのです。

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展開が二転三転する「クリーピー」の感想

読みおわった後の感想はまさに「気味が悪い」。
だいたいもう野上刑事が持ち出した話の時点でだいぶ気持ち悪い(笑)

一家揃って行方不明ならまだわかるけど、一人残ってるし、
わけのわからないこと言い出すし…。

最も気味が悪かったのは、やっぱり高倉家の合鍵を西野(善雄)がもっていたところでしょうか(ー ー;)
どうやって入手したんだ…。

文章のすべてが伏線になっていて、非常に読み応えのある作品です。
特に私が「わー!!!」となったのは、70年代ものの整髪剤「バイタリス」!!
実は最初の数ページで西野の描写があり、この整髪剤が出てくるのですが、
絶対何かある!と思い読んでいたので、思わず出てきた時は震えあがりました。

また、飽きずにこの本を読み進められたのは、本の構成の賜物であると私は思います。
前半は本当に気持ち悪いのです!私の心の中なんぞ置いてけぼりで、
かなり奇妙な事件多発する上に、どれも不可解な要素を含んでいるので次は何が…とぞっとしていました。

しかし、後半はもっと人の心情に寄り添うように話が進められているので、
その緩急の差が多くの読者を魅了する要素だったのではと思うのです。

そして、最後のしめくくり。恋とは、愛とは、なんとも狂気的なものなのだろうと感じさせるものでした。