満たされない女「不機嫌な果実」のネタバレ・結末はやっぱり終わらない不倫・・・

不倫相手を選ぶのも計算高い

不倫をする相手は誰でもいいわけじゃなく、
身元がはっきりしていてお互いに割りきってお付き合いが出来る相手が望ましい。
で、ふと頭に浮かんだのが昔付き合ったことがある年上の野村という男。

恋人と言っても当時彼は妻子持ちだったので不倫。
ということは既に彼女は独身時代に不倫経験がある強者ですが、
まさか野村とまたそういった関係になるとは思わなかったのでしょう。

彼は大手の広告代理店に務めていて、バブル時代だったこともあり羽振りもよく、
不倫とはいえ彼女もそれなりに充実した恋愛をしていたようです。

彼は現在42歳、脂の乗った男盛りの年齢。
会ってしまえば早いもので後は階段を駆け下りるように情事が始まるわけです。

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2位じゃダメですが?はいダメです

彼と濃厚なキスをして帰宅した後、気分が高揚しているのか
ベッドで眠る夫にキスをせがむ彼女。

最低ですね

更に夫が抱いてくれたら野村とは不倫しないという賭けを頭のなかで1人で行い
結局相手にされずに、

あなたが悪いんだからね!

と夫のせいにするのである。

さて、久しぶりに会って激しく求め合う二人も、慣れてしまえばルーチンワーク。
月に2回の密会も、なんとなく物足りなさを感じていた時、
野村に若い愛人がいることがわかった。

妻がいて、愛人がいて、私がいる・・・

この物語の登場人物の中で1、2を争うゲス野郎ですが、
愛人の存在に不快感を表すも麻也子は別れること無く交際を続けるのです。

でもやっぱり物足りない。
他の女の存在があるとすれば、本当に体だけという事になるし、
最初はそれで良しと思っていたけど今は何かを求めようとしているのは確か。
もちろん独占欲が強いということもあり、自分だけを見てくれないのは嫌だということもある。

野村とはもう終わりなのか?

年下の情熱的な男性現る

会長が用事で行けなくなってしまったクラシックコンサートに
代わりに行って欲しいと頼まれてそこで出会ったのが年下の工藤道彦という男でした。

慶応義塾大学の経済学部を卒業し、今は音楽評論家。
もちろんそれだけでは食べていけないので両親からの援助があるのでしょう。

クラシックという麻也子にとって縁のない所から出会った運命の彼。
野村と違ってデートを何回も重ねた後、彼がパスタをごちそうしてくれると言って
自宅に招いてくれたことで一気に急接近した二人。

これまでとは何かが違う。
道彦は情熱的で感情をストレートにぶつけてくる男。

ずっと好きだった。結婚したい。

これはまさに麻也子が求めていた純情な不倫ですが
彼には致命的過ぎる欠点があったのです。

道彦
「今の日本はギスギスしていて高等遊民志望の僕には本当に生きづらいよ。美しく優しい心の持ち主は海外に行くしかないのさ」
(引用元:「不機嫌な果実」)

お薬出しときますね~

と言いたくなるようなお花畑の男の子。
こんな結婚したら苦労しそうな可愛い坊っちゃんとホンキになってしまったら一体どうなるのか?

不倫相手と結婚、これで終われるのか

結婚2年目から誕生日プレゼントを買ってこなくなった夫に対して
さり気なく自然にサプライズプレゼントをしてくれる道彦がかっこよく見える。

そして年上の野村と違い、体だけの関係じゃない恋人のような関係に
深くハマり込んでしまった麻也子。

「私、すごく幸せ・・・」

道彦に結婚を迫られ、とうとう踏み入れてはいけない世界へ入り込もうとする彼女ですが
そう簡単に夫が離婚に同意してくれるはずがありません。

男の存在をひた隠し、とりあえず離婚して欲しいというのだから
余計わけがわからないと思う夫の航一。

しかし彼女に男がいるという事実をいつまでも隠し通せるわけもなく
結局両家の親にバレて離婚することになる。

夫が相手をしてくれなくなったから、
とりあえず浮気してやろうと南田に声をかけたことから始まった彼女の不倫遍歴。
道彦とは泥沼の離婚の末、結婚をして幸せを掴んだように思えたけど
案の定、損をしてるという考えに至ってしまう救いようのない彼女。

元夫が離婚後1年で20代の女性と再婚したことを知り
実は以前から付き合っていたんじゃないの?と都合の良い解釈で憤る。
こっちは新しい夫となった道彦の収入があてにならず、
自身のバイト代でなんとか生活が出来る現状を考えると、
以前の航一との生活のほうが断然良い方に思えてくる。

こんなはずじゃなかった・・
やっぱり私だけ・・・

音楽評論家の道彦は基本的に在宅なのであまり自由な時間もなく
以前のように頻繁に他の男と会うことは出来ないけど
そんな数少ない貴重な時間に出かけて行き、不倫を再開する麻也子。
あの年上の野村だ。

しかし彼女は不倫で心を満たすことができなくなってしまい
何か別のもので生きがいを見出したいと考え、ふと頭をよぎったのが赤ちゃんでした。

欲しいと思ったらすぐに手に入れたいと考える彼女は
相手は誰でもいいらしく、道彦と血液型が同じ野村とも避妊なしで行為に及ぶ。

なんてゲスい女なんだ・・・
彼女は多分、子供が生まれてもまた浮気をするようになるだろうし
今の道彦との結婚生活も長く続かないでしょう。

そんな時はやはり私だけが損をしていると思うのでしょうか?

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読後感

正直なところ私は男なので嫌悪感しかいだきませんでした。
自分のことしか考えず、都合よく男を扱う彼女が幸せになれるはずもなく
選んでいく道はドンドン厳しいものになっていくのは当然ですよね。

男女の心理描写はとても上手に生々しく描けていますが
主人公のような女性がもしいたらゾッとします・・(笑)

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