ドラマ「探偵の探偵」原作小説あらすじ・ネタバレ感想。玲奈は、なぜ笑わない?過去と孤独

2015年7月から始まる夏ドラマ、
北川景子さん主演『探偵の探偵』の原作小説を読んでみました。

全部で3冊出ていて、1冊づつ読み切りになっているものの三部作といった内容です。

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導入部の1冊目から始まる物語は、2冊目ラストで「ええ!」「そんなぁ…」となって、
3冊目後半でまさかの展開に突入しちゃいます。

生傷アクションが激ハードなので実写ドラマではどうなるのか予想出来ませんが、
ドラマキャストも私の好きな顔が並んでいるので、楽しみにしてるドラマのひとつ。

魅力的な登場人物紹介&相関図を自作してみました

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※文中の画像はイメージも含まれます。

どんなジャンル?

バイオレンス・アクション×探偵×サスペンス×悲劇

推理小説の探偵なら「謎解き」が仕事ですが、『探偵の探偵』はちょっと違います。

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どちらかというと、警察が捜査する仕事内容に近い気がします。
ターゲット(悪意のある探偵)の悪質な計画を分析・先読み・攻防して、計画阻止するまでやってのけるので。
調査会社とも言えない働き方ですよね~。

美人で華奢な女性探偵なのに、
ちょっと引くぐらいのアンダーグラウンドで過激な暴行シーンの数々!
違法地帯に積極的に立ち入って、凶悪な敵と命懸けで戦う物語なんですよ。

↓クールビューティな主人公・玲奈

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最終章では、サイコサスペンスと呼びたくなる宿敵『死神』が登場する狂気なシーンも!

普通には生きられない主人公・玲奈(れな)、読者代表のような素人探偵助手・琴葉(ことは)。
この2人を中心に物語は進みます。

気の強い主人公が、無敵では無い所が見ていてツライの…
戦いの中で意外と涙を見せるのも、ホントは無理をしている証拠だと思うなぁ。

探偵の探偵とは?

探偵の探偵?なんじゃそりゃ?
これが原作本との初対面時の、素直な感想。

この小説での探偵の探偵とは、
簡単に言うと「悪徳探偵を調査し、正すための探偵業」のことでした。

悪徳探偵とは、依頼人から不正にぼったくったり、
前科のあるストーカーや危険なDV常習者の依頼を受けるなど、反社会的な探偵。

そんな悪徳探偵の一人に個人的な恨みを持つのが、主人公・紗崎 玲奈(ささき れな)なんです。

悲痛な事件を体験した反動で探偵となり、
悪徳探偵を調査し是正する「対探偵課」で心身共にボロボロになりながら戦う陰鬱な日々。

しかも敵(敵悪徳探偵)は、巧妙・非道・凶暴なやつらばかりで腹立つ~!

とても「痛快」とは言い難い探偵物語なのですが、
玲奈や周辺人物の人間味溢れる、迷い・小さな喜び・苦悩の数々が物語として魅惑的。

特に、小説2冊目~3冊目ラストまで、悲劇ながらもグイグイと惹き付けられました。

『鑑定士Q』の暖かな雰囲気とは正反対

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探偵ノウハウのすべてを学んだ玲奈が、手強くて悪質なプロ探偵相手に戦う様子は、
2014年に映画化された同著者の小説『鑑定士Q』の女性主人公を思い出します。

が、まったく異なる物語でした。

決定的に違うのは、体を張って闘っているところ。
1巻表紙に描かれている殴られた様な傷と血痕が痛々しい人物が、玲奈だったんですね。

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「悪徳業者に身バレしたらヤバイんじゃない?ヘタすると命を狙われたりするのでは…」
と、読んでいて気になった通り、玲奈に対する報復行為がキョーレツ!!

失神しそうなほど痛めつけられたり、命を奪われそうになる本気の報復行為がヤバ怖い…。

21歳の華奢な女性がそこまでの危険を冒してまで戦う理由は、実に悲惨です。

続いて後半は、戦う理由=玲奈の過去について。

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玲奈は、なぜ笑わないのか?

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この過去を知ると、玲奈を守りたくなってきます。
誰かフォローしてあげて!誰か優しくしてあげて!という気持ちになっちゃいました。

笑わない理由は、過酷で悲痛な過去。
不信感と共に玲奈の心は、壊れてしまったのでしょう。

時は2年程前、玲奈が高2の頃に当時中学生だった妹・咲良(さくら)が事件に巻き込まれ死去。

犯人は、見ず知らずのストーカー。
回想話が進むにつれ、妹を狙うストーカー犯がヤバイやつだって事が分かってきます。
(ll゚Д゚ll)

ストーカー犯は事件時に死亡したのですが、
犯人に咲良の情報提供をしていた「謎の探偵」が許せない玲奈。(わかるよ、その気持ち!)

探偵がストーカー犯に加担しなければ、妹は助かったかもしれない…。
今も玲奈の心の中には、モヤモヤとした黒い感情が渦巻いているのです。

※後に、玲奈自身で謎の探偵のことを『死神』と命名。
↓死神イメージ(作品とは無関係です)

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なぜ、命懸けで戦うのかな?

そして、玲奈のモヤモヤとした復讐心に似た感情は、悪徳探偵達に向けられます。

同じ様な被害者を助けたくて、玲奈は鬼神となるのでしょう。

家庭の事情で、父母と疎遠。
仲の良い姉妹だったからこそ咲良を失った悲しみは大きく、虚無と孤独に襲われる玲奈。

これ以上失うものが無いから、命懸けで戦うのかもしれません。

自暴自棄な気持ちもあるのかな。
体の痛みが生きている実感になってるのかなぁ、とか考えちゃいました。

なぜ、探偵になりたくないと言ったの?

妹の事件以来、探偵業全体に嫌悪感を抱いたのでしょう。
しかし、玲奈は自ら進んで探偵学校に入学します。

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なぜなら、警察の捜査が一向に進まない『死神』を自分で探したい気持ちがあったから。

探偵のテクニックを知り尽くした玲奈は、探偵学校の長でもある調査会社(探偵)の
須磨社長が玲奈用に用意した「対探偵課」という提案を受け入れ、探偵業に足を踏み入れます。

心のオアシス琴葉、しかし無情にも…

敵を出し抜くために違法で凶暴な手法を使うので、玲奈は警察に監視される立場。
単体の事件が解決しても、気が晴れたり休まる事はありません。

そんな中で、玲奈が妹を思い出す回想シーンや、
つい妹の姿を重ねてしまう琴葉(ことは)との甘みのあるやりとりには心癒されます。

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なんだか、ユリっぽいシーンに思えちゃうくらい甘いやりとり。

でも、『死神』の作戦で空中分解。
最終章の山場、『死神』に心の奥底までズタボロに痛めつけられる玲奈が不憫じゃ。

2冊目ラストで「ええ!」「そんなぁ…」となるのは、この人

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この物語で私が一番良い役(ヒーローまたは、王子様)だなと感じたのは、窪塚刑事。
ドラマでは三浦 貴大(みうら たかひろ)さんが演じます。

玲奈ほどではないけど孤独と喪失感を背負い、一番の理解者だと思うんですよね。

初めは目立たないけど中盤では大活躍!
最高潮の末に○○となってしまいますが、玲奈の心にしっかりと刻まれます。

これも『死神』の「玲奈を追い込む作戦」だったのかな。
追い詰められた孤独さが弱点にもなっちゃうし。

ことごとく味方が排除され、孤独をこじらせていくのが玲奈の見どころ?

全巻、報われない切なさ

まるで玲奈は、疫病神にでも気に入られてしまった様に、
(文章の雰囲気はライトなのに)物語の背景(事件内容)が何気に暗く切ない…。

2014年秋冬ドラマの『Nのために』の様に、常に重い雰囲気のドラマになるかもしれませんね。

探偵に都合の良い物語ではなく、常に悲痛な状況に身を沈める玲奈。
リアルな人生の様に、上手くいかない事の方が多いっていう展開が味を出しています。

しかし、玲奈の悪意の無い強い信念と、
玲奈や琴葉のさっぱりとして透明感のある、どこか柔らかな空気感が私を安堵させます。

でもやっぱり、各巻のラストは哀愁に満ちていて…。
次巻こそは幸せな展開になって欲しいと、毎回思っちゃいました。

そして結局、そんな私の願いは叶わないエンディングに…
彡(-_-;)彡

探偵の授業がためになる?

ネットを活用した合法的な調査手段。
住所や氏名、企業情報や新聞雑誌からの検索方法。

実際にアクセスしてみると、本当にあるサイトやサービスでした。
(閲覧は自由ですが、探偵が知りたいサービスは有料)

その他、失踪人の探し方・尾行の方法などなど。

尾行される側になった時は、逆にこれらに気を付ければいい。
と、いう意味で役に立ちますね。(役立つ日は来ない方が良いですが。)