尾行から始まる物語・映画「二重生活」原作小説の感想ネタバレあり

「二重生活」感想

読み進めていく中で、石坂の言った
「しのぶと出会って、それが消えたけど、そういうのって、やっぱりいつまでもついてまわるもんなんだよ」
という言葉がとても印象に残っています。

彼は厭世的な人間であったと言っていました。
普通の人生を送って、普通に人生を閉じる。
しかし、それがしのぶと出会って変わったと。

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きっとそれは珠にとっての尾行と同じなんだなぁと思いました。
結局しのぶと会い、非日常を体験した石坂ですが、
どこかで厭世的な考えは石坂の周りにあってそれに抗うことができなかったから、
結局そのまま美保子との関係を続けたのだなぁ、と。

決して澤村と駆け落ちのようなことはしない人なのだと感じました。
そしたらなんだか人間くさくて、石坂が少し好きになれました(笑)

サスペンスではないのに、とつとつと経過観察的に語られるので、
とてつもなくどきどきさせられました。
特に澤村とのお手洗いでのシーンや、駅で石坂に声をかけられたシーン。

自分だったら絶対「ひっ!」とか声あげちゃうだろうなーと思うのに珠の精神力すごい…;
それに最後の終わり方も個人的にはとても好きで、
でも、きっと今度は自分の感情に振り回されることなく、
「文学的・哲学的尾行」として、うまくやり遂げるんだろうな〜、と思ってしまいました^^