ドラマシリーズでは『精霊の守り人シーズン2 悲しき破壊神』の原作として名を連ねる、小説『蒼路(そうろ)の旅人』を読んでみました。
小説シリーズの7冊目となり、『神の守り人』エピソードの後に起こる物語です。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
どんな内容?あらすじと感想
この巻の主人公はバルサではなく、15歳になったチャグム。バルサは名前しか登場しません。
最初はバルサがいないと寂しいな~っと思いましたが、バルサの物語とはまた違う、濃厚な物語を楽しめました。ドラマとは違うかもしれない、原作の「小説」あらすじに感想を交えながら紹介します!
【ドラマのシーズン2原作その2】『蒼路の旅人』
とにかく、最後の最後まで内容が濃い!
この物語は読み切り出来る形で終わっていますが、「はじまりの物語」という印象。続巻の『天と地の守人』が楽しみになる内容とラストでした。
新ヨゴの滅亡を防ぐためにチャグムが挑む、孤独で過酷な旅はこの1冊では終わりません。
※濃いだけに、内容(複数の国や人の関係)の把握が難しいので、別ページで整理していきますね~。
『蒼路の旅人』の舞台は、広範囲!
複数国が関わる壮大な歴史物語と、長い月日を掛けて広大な海を旅するチャグムの成長物語が描かれます。
主人公チャグムの出身国である新ヨゴ皇国(ドラマでは新ヨゴ国)に加えて、
その南にある「サンガル王国」、
そしてさらに・・・遠い遠い海の向こう、南の大陸にある国々も登場。
今回、チャグムが戦う相手は、凄く大きくて恐ろしいタルシュ帝国。
新ヨゴと周辺国の政治や内乱・・・いくつもの国家が絡んだ濃い歴史物語がギッシリ詰まって、読みごたえあり。読む前に想像していたよりも、はるかにヘビーなお話しでした。
ストレスたっぷりの胸が痛くなるエピソードですが、またもや父親である帝に命を狙われながら、圧倒的な軍事力を持つタルシュ帝国にひとり立ち向かいます!
『蒼路の旅人』あらすじ
新ヨゴに、静かに忍び寄る侵略計画・・・。
サンガル王国から救援要請を受けた新ヨゴでは、援軍に向かう祖父トーサと共に、若き皇太子チャグムが慣れない大海原へと旅立つことに。
その旅先で、チャグムは敵に囚われ交渉を迫られる。帝の息子として生まれ、国の運命を背負う皇太子の重責。もし降伏を選んだらどうなるのだろう?はるか遠い南の大陸に上陸したチャグムが見たものは・・・。
国のために、民のために、愚かでも高慢でもない皇太子チャグムはどんな決断を下すのか!?恐ろしく強大なタルシュ帝国の侵攻が、新ヨゴに迫る!
国の未来を背負う少年が、子供から大人の男に変わる様子をハラハラしながら見守りました。
成人ノ儀を済ませたといっても、まだ15歳という若さの皇太子チャグム。しかも、今回の長旅はひとりぼっち(涙)。
頼もしい大人達・・・戦いの達人バルサや、政治などの指導役シュガの助け・・・がない、なんとも心細い状況。読んでいる私も、すっかり心細い気分になっちゃいます。
そんな中、幻想的な異界ナユグの風景描写や、爽快で心温まる船上エピソードで小休止できました♪祖父トーサとの心の通うやりとりや、皇太子という身分を忘れてサンガルの若者や歳の近い少女セナとはしゃぐシーンには頬が緩みます。
後半では、タイトルに入っている言葉
「蒼路」の意味について調べてまとめます!
蒼路(そうろ)とは? ※ネタバレ注意
蒼路
最後まで読むと、「蒼い路」という単語が文章の中に登場します。本文よりキーワードを切り取って要約してみますね。
恐ろしい「暗黒の大海原」に、「澄んだ月の光」が「暗い海に路をつけて」「彼方まで」「のびている、蒼い路」。
想像してみると、美しい光景ですね。ドラマでの映像化が楽しみなシーンのひとつです。
【以下ネタバレ注意】きっとこんな解釈。
↓私の言葉を付け加えて説明すると・・・
底が見えない夜の黒い海(大きくて強いタルシュ帝国に対して、勝ち目がない新ヨゴ。それは絶望的に希望がない不安な状況)に、明るい月(チャグムが見い出した、希望を持てる策)が照らし、まるで青い道のような明るいライン(成功へ向かうかもしれない道しるべ)が海に出来る。
続いては、蒼という漢字が持つ意味を掘り下げてみました!
蒼の意味
蒼
物語を読み始める前は、単純に蒼は青色のことだから「蒼路とは、青色の海を旅することなのかな」なんて連想しましたが、「青」ではなく「蒼」の漢字を使っているのが気になったので、
調べてみました!
【参考資料】蒼の意味
- あお。あおい。「蒼海・蒼蒼・蒼天」
- あおざめて生気がない。色つやがない。「蒼古・蒼白/古色蒼然」
- 草木が茂るさま。「蒼蒼/鬱蒼 (うっそう) 」
- おおぜい。「蒼生・蒼氓 (そうぼう) 」
- あわてふためくさま。「蒼惶 (そうこう) 」
お!2番目の意味が、大いなる不安と責任を背負った主人公チャグムの心境にぴったり。そういえば、血の気の引いた様子を表現する「顔面蒼白」に蒼の字が入っていますよね。
うん、顔面蒼白になるほどの登場人物の不安や敵意が読者の私をブルーにさせる物語だから、蒼の字がタイトルにぴったりだと思います。
ちなみに、1番目の「蒼海」は「あおあおとした広い海」という意味。
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