2018年10月にTBSでシリーズ2作目が放送された今作。また佃航平率いる佃製作所のメンバーがライバル企業に立ち向かい、新たな挑戦を描く夢とロマンが詰まった壮大なストーリー。そして今回のテーマは「農業」。著書の池井戸潤氏は徹底した取材を元に書き上げたそうで高齢化・離農が進む今の日本の農業をリアリに再現した社会派ドラマになっています。
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『下町ロケット ヤタガラス』の原作小説あらすじ・ネタバレ
ここでは、この作品がどんな物語なのか、分かりやすく楽しくご紹介していきますが、始めに前作のおさらいをサラッとしていきましょう!
前作「ゴースト」のおさらい
・佃製作所はギアゴーストへのバルブシステム供給をコンペ対決で勝ち取ったが、ギアゴーストはトランスミッションメーカーの大手・ケーマシナリーに特許侵害で訴えらてしまった。
・しかしケーマシナリーとギアゴーストの顧問弁護士は旧知の仲でギアゴーストの開発情報を漏洩させていたことが分かり、双方の弁護士は不正競争防止法違反の疑いで逮捕される顛末に。
・帝国重工で大型ロケット打ち上げを仕切っていた財前道夫が現場を去り、新部署に異動。帝国重工の現社長・藤間秀樹が経営悪化の責任を取り辞任することが既定路線となり、次期社長には会長の後ろ盾がある的場俊一が有力候補に。
・帝国重工のロケット事業撤退により、バルブシステムを供給する佃製作所は危機感を募らせていた。
・経理部長の殿村直弘は、300年続く稲作農家の家業を継ぐため、佃製作所を退職。
・佃製作所は特許侵害で訴えられたギアゴーストを全面的にサポートし、今後は15億円出資するなど業務提携する予定だったが社長の伊丹大が突然ダイダロスと手を組むと言い出し反故に。そういった経緯から伊丹とは経営方針の対立で副社長兼エンジニアの島津浩がギアゴーストを去っていった。
・帝国重工の社長が的場になればロケット事業は縮小又は撤退し、佃製作所社員の「精神的支柱」だった「ロケット品質」を掲げることが出来なくなる。帝国重工との取引は終わってしまうのか?
・業務提携をする予定だったギアゴーストが佃製作所にとってライバル企業に。また、ダイダロスの重田とギアゴーストの伊丹の共通点である的場への復讐心がどのように影響するのか。
・佃製作所を退職したトノさん、そしてギアゴーストを去った天才エンジニア・島津裕の二人。今後はどのように活躍するのか?
・最後に財前はロケット事業を離れ、宇宙航空企画推進グループに籍を置き、第1弾としてぶち上げたのは「農業」。「スターダスト計画」で打ち上げた7基によって位置測定システムは格段に向上したらしいが、どのようにして農業に活かすのか?
「下町ロケット ヤタガラス」のあらすじ・ネタバレあり
順番にストーリーを追ってご紹介していきます。
伊丹の変心と企み
島津裕は「ギアゴースト」が小型エンジンメーカー「ダイダロス」と資本提携を組んだことを佃製作所に伝えに来た。また社長の伊丹大とは経営方針で対立し、自身は退職したという。
佃航平はなんとか彼女を迎え入れようとしたが、やはり首を縦に振る事はなく、少し時間がほしいとのこと。
佃製作所はギアゴーストに新バルブを納入する予定だったが、農機具メーカー「ヤマタニ」の経営計画変更に伴いトランスミッションそのものが棚上げになってしまったという。
また、ギアゴーストは違う形で農機具に参入すると言うので佃航平はバルブの納入を願い出たが、既に大森バルブに決まったという。
大森バルブとはコンペ対決で佃製作所が勝ったのに、コレってヒドくない?(怒)
酷いってもんじゃないよ。話が頓挫したのに伊丹は佃製作所に連絡しなかった訳だからね。しかも佃製作所と組んでも未来はないと言いやがってホント腹が立つわ!
これも帝国重工の的場に復讐するため・・か。ダイダロスの重田と何を企んでいるやら。
財前の新たな提案
帝国重工の財前道生は宇宙航空企画推進グループ部長になっていた。
そんな財前が佃航平に持ちかけた相談が「無人農業ロボット」の開発。財前曰く、今の日本の農業は高齢化・離農という大きな問題を抱えており、そんな危機的状況を救いたいという思いで立ち上げた計画らしい。
財前が考える無人農業ロボットは打ち上げた位置測定システムを使えば誤差数センチまでの自動運転を可能にするという。
しかし帝国重工は農機具の開発経験が無く、これから開発となるとコストと時間がかかりすぎるので、佃製作所にエンジンとトランスミッションを供給してほしいとのこと。
しかし、無人トラクターを動かす技術は無いので北海道農業大学で「ビーグル・ロボティクス」の研究を進めている野木博文教授に協力を要請しているが難航しているという。
実は野木と佃航平は大学時代の友人。ぜひ佃社長からも説得してほしいと財前はいうが・・・。
以前、野木は農業機械の自動操舵技術をウリにする「キーシン」と共同研究をしたときに「技術を盗まれ」裁判沙汰にまで発展した辛い過去がある。
しかし、佃の訴えに根負けした野木は承諾。「日本の農業を何とかしたい!」という想いは皆同じなのである。
凄いプロジェクトが始動しましたね!
帝国重工が打ち上げた衛星が、こんな形で農業に活かされるなんて・・。凄い。
「ビーグル・ロボティクス研究」は北海道大学で実際に研究が進められています。北海道出身の大泉洋さんがTV番組で紹介したことがあり、安倍首相は平成29年に開催されたフォーラムでロボットトラクターを紹介されたそうですよ。
手柄の横取り
財前が立案した「無人農業ロボット事業」は次期社長と目される的場俊一が陣頭指揮を取ることになり、財前が自由に勾配を振るえなくなってしまった。それだけでなく、佃製作所に発注したエンジンとトランスミッションは内製化することで白紙になったという。
しかし、野木博文教授は佃が参加しないのであれば自身も降りるといい、財前は改めて佃に説得を依頼しに来たのである。
え~?!いくら財前さんでもそれは虫が良すぎるよ~!
ちなみに的場が佃に頼めと言ったらしいよ。
あ~あ、そんな悪役キャラの的場俊一をドラマで神田正輝さんが演じてるんだもんなぁ~。
納得は行かないが佃航平は引き受け、野木も佃の説得に応じたという。
そう言えば、佃製作所は野木さんと無人農業ロボットの開発をするらしく、帝国重工に断られたけど、トラクターのエンジンとトランスミッションの開発はするみたいだね。
え?ホントに?!それなら絶対、帝国重工に負けない素晴らしい農業ロボットを作って欲しいわね。
帝国重工は農機具の開発経験が無いから全てのパーツを内製化することは難しんじゃないかな?
殿村家と農業法人
殿村直弘の高校時代の同級生・稲本彰から農業法人の誘いを受けたが、その事業計画は現実離れしており、参加するメリットは全く無かった。むしろ殿村家のオリジナルブランド米を一緒くたにされるデメリットのほうが大きい。
また最近は農協担当者から直販ではなく農協を通せと言われているので殿村家の父と農協担当者とで対立していた。
この担当者ってのがクセモノでね。大地主の三男坊かしらないけど、出来の悪いドラ息子らしいよ
稲本の農業法人の件といい農協といいトラブルが発生しそうだね。
暗転の兆しとライバルの出現
無人農業ロボットの陣頭指揮が的場に替わり、全パーツの内製化を図っているが、小型エンジンの開発経験の無い帝国重工では厳しいのではないかと野木教授は言う。
大型のエンジンをそのまま小型化すればいいというわけじゃなく、トラクターに適した設計と繊細さが求められる。
更に、帝国重工は自動走行制御システムの開発ソースを寄越せと言ってきたらしい。開発ソースを盗まれた過去がある野木にとって帝国重工との開発に早くも暗雲が立ち込めていた。
そんな状況の中、テレビのニュースで取り上げられていた内容に佃は驚きを隠せなかった。
農場を無人のトラクターが走行する映像が映し出され、インタビューを受けているのはダイダロスの社長・重田登志行だった。
無人農業ロボットを「ダーウィン」と命名し、下町の中小企業がタッグを組んで「ダーウィン・プロジェクト」を進めているという。
ダーウィン・プロジェクトの代表は株式会社ダイダロスの重田。中心メンバーに入るのはギアゴーストの伊丹、キーシンの戸川、そして宣伝広報担当として番組制作会社の北堀企画が関わっているという。
キーシンって野木さんから開発ソース盗んだ会社でしょ?。プロジェクトメンバーってろくでもない人ばっかりじゃん。
技術力はともかく、メディアを使った広報戦略は敵ながらあっぱれ。一切費用はかからずに効果は絶大だからね。
帝国にとって、一歩先を越された感じね。佃製作所は野木さんと共同研究を進めてるけど、なんだか蚊帳の外になっちゃったわね。
さらにダーウィンのデザインや外装は「ヤマタニ」が供給するとのこと。
トランスミッションを担当するギアゴーストには大森バルブが部品を供給するって言ってたので佃製作所にとっても嫌な相手だね。
また、帝国重工に追い打ちをかけるかのように、週刊誌にはこんな記事が掲載されていた。
下町トラクター「ダーウィン」の真実 帝国重工に潰された男たちの挑戦。社長候補エリートが潰し、路頭に迷わせた数千人の社員。
10年前、ダイダロスの重田は父親から継いだ重田工業を経営していたが、帝国重工に打ち切りを通告され倒産。数千人の社員を抱える中小企業の倒産に当時は衝撃が走ったが、その時に指示を出したのが的場俊一だった。
どん底から這い上がった重田はダイダロスを買収して社長に就任。徹底したコスト削減と低価格化を実現した小型エンジン事業は成功。そして今回、中小企業がタッグを組んで、帝国に逆襲しようとしているのである。
マスコミを使ってダーウィン(善)VS帝国重工(悪)というイメージ戦略は見事ね。
ちなみに過去のスキャンダルが世間に露呈したことで的場の社長就任は延期になってしまったらしいよ。
一大農業イベントでの失態
国内外から数多くの農機具メーカーが出展する「アグリジャパン」に帝国重工の無人農業ロボット「アルファ1」と「ダーウィン」が無人走行を披露することになった。
大観衆の前で行われるデモンストレーションが成功すれば、今後の展開に大きく影響される。マスコミを使った広報戦略で一歩リードしたダーウィンだが、不具合が起きており製品自体はまだ完璧ではなかった。
一方、帝国重工はダーウィンと競合したくないという理由でトラクターは大型化。広大な土地を持つ農家にターゲットを絞った開発にシフトチェンジしていたが・・・。
ダーウィンと競合したくないというのは表向きで、小型エンジンを作る技術が無いんだろうね。
大観衆の前で行われたデモンストレーション。ダーウィンは無事に終えることが出来たが、帝国重工の「アルファ1」は障害物であるカカシを踏みつけ、農道を脱輪し、用水路へ転落してしまったのである。
あちゃ~・・。アルファ1をアピールする最高の場だったのに、これじゃあ逆効果だよ。
修正と参戦
「アグリジャパン」の大失態を受け、帝国重工の藤間秀樹社長は、無人農業ロボット事業が当初の計画から外れていることを的場に指摘。
社内で小型エンジンを作ることが出来なければダーウィンと渡り合える企業に頼めば良い。という社長の一言で、財前は改めて佃製作所にエンジンとトランスミッションの発注を依頼したのである。
ただ、佃製作所はトランスミッションの開発経験が無く数年の時間が必要だった。また、ギアゴーストが手掛けるトランスミッションは島津裕が開発した置き土産。それを超える物を作るとなれば、彼女しかいない。
そこで佃航平は島津裕を迎え入れるために彼女の自宅を訪れたが、もう少し時間がほしいとのこと。実は、彼女は大学の面接を受けている最中だった。
しかし大学の講義室で教鞭を執るよりも、現場で製品と向き合いたい・自分の技術力を活かしたいと思った彼女は佃製作所の社員の一員として活躍することを決意したのです。
シマさん、ヤッター!!
これでダーウィンと戦えるトランスミッションを開発する事ができるね。
殿村家を襲った天災と活路
低気圧の影響で西日本から順に大雨が降り続いており、それはやがて殿村家のある栃木まで北上。河川の氾濫が多いこの地域は殿村の父も子供の頃に大きな水害を経験しており、危機感を募らせていた。
しかし不安は的中し鬼怒川は氾濫。建物の被害は少なかったが、殿村家の田んぼは流木などが流れつき、稲穂は完全に水没してしまった。
佃航平は物資や見舞金を渡し、殿村に佃製作所への復帰を提案したが、一度退職し農家を継ぐことを決意したのでそう簡単には戻ることは出来ないと断った。
殿村は農林協の担当である吉井(ドラ息子)に500万円の融資を相談したが、吉井に農業法人の加入を促され、諦めて帰った殿村。
佃航平は財前と野木教授を連れて殿村家を訪問。無人農業ロボットのテスト走行場として田んぼを貸して欲しいと願い出た。
殿村の父は反対するかと思いきや、意外にも日本の農業の未来を考える佃航平達の情熱に賛同し快諾。殿村家の圃場が「アルファ1」のテスト走行場になったのである。
首相肝いりの「ICT(情報技術)農業推進プログラム」の一環としてダーウィンとアルファ1が、2回目となるデモンストレーションが行われた。
今回は首相も視察することで話題となり、各社マスコミも注目するイベントになった。マーケティング戦略を積極的に行ったダーウィンは世間の関心も高く、首相も気に入っていた。
2台が首相の前でテスト走行する予定だったが、首相はスケジュールの都合でダーウィンのみということになり、アルファ1がテスト走行する頃にはほとんど観衆は居なかった。
アルファ1は首相の前で恥をかくような事は免れたがチャンスさえも貰えなかったのである。一方、ダーウィンはテスト走行を無事に終えたが、見ていた島津が伊丹に「あのトラクター本当に売るの?」と問いかけた。伊丹にはまた言葉の意味が分からなかった。
佃製作所のトランスミッションは島津が来てから格段に性能が向上。更に性能を高めるために開発が進められていた。一方、ダーウィンはメディア戦略は成功したものの、原因の分からない「不具合」に頭を悩ませていた。
どんどん悩むがいいわ~!オホホホ~。
ドラマっ子ちゃん、変なキャラになってるよ!ダーウィンは一足早くモニターを募集して農家の人が使ってるけどクレームが多いらしい。島津さんの代わりに入ってきた技術者は性格的に問題アリだしね。
納車合戦と的場の墜落
アルファ1とダーウィンは販売を開始させ、それぞれ同じ時期に納車されう予定だったが、ダーウィンの納車が3ヶ月短縮されることがわかり、またも帝国重工は出し抜かれる形になった。
ちなみにアルファ1は「ランドクロウ」という製品名で売り出した。
目的のためなら手段を選ばない帝国重工の的場。10年前に1000人規模の社員を抱えた下請け企業(重田工業)をスパンと切り捨てた非道な過去がある。
そして今回、ダーウィン・プロジェクトに関わる中小企業の中に帝国重工と取引がある会社に警告を発したのだ。
「プロジェクトから降りなければ今後は取引はしない」と。
的場らしい汚いやり方だが、これは直ぐに効果が現れ、プロジェクトから次々と抜けていく企業が現れ、「ダーウィン・プロジェクト」は一時ストップを余儀なくされた。
こんな卑怯な手を使わなくても勝てると思うけどね。
「ダーウィン」VS「ランドクロウ」って、なんかしっくりこなかったけど、その原因ってコチラ側に的場さんがいることなんだよな~。
ダイダロスの重田は最近出所してきたばかりの中川京一を顧問弁護士に迎え入れ対抗策を講じた。「帝国重工の下請け会社20社が公取委に下請法違反の申立て」を行ったのだ。
この事はニュースでも取り上げられ、またたく間にネットでも話題となり、世間の帝国重工に対する信頼はガタ落ち。帝国重工の会長は、あれだけプッシュしていた的場を切り捨てたのである。
まあ、当然だよね。これで財前さんと佃製作所、そして野木教授のチームを純粋に応援できる。
ここからランドクロウの快進撃が始まるわけね!いけー!佃製作所チーム!
いよいよ決着の時が来ました。結末は「勝利」ではなく「日本の農業を救う」熱き男たちの活躍です!感動しますよ♪
「ヤタガラス」の結末は次のページで!