意外な結末「探偵物語」原作小説のあらすじと感想・ネタバレあり

ハッピーすぎる「探偵物語」の結末

和也を殺した犯人は?

和也が殺された当日、同じホテルの部屋にいたのは幸子だったが、彼女は殺していない。

そして幸子達の隣の部屋にいたのがなんと、男遊びに夢中になっていた前田三千代だった。しかし彼女は犯人じゃなくて、彼女と一緒にいた男が真犯人だった。その男の名は岡野。国崎が信頼を置いていた部下だ。

三千代が寝ていたスキに、バスルームの通気口を通って和也を殺し、また同じように通気口を通って隣の部屋に戻る。和也が殺害された時、幸子は熟睡していたので全く気づかなかったらしい。

岡野の動機は、資質のない息子・和也を跡取りにするくらいなら俺が国崎のあとを継いだ方がいいということ。更には国崎の嫁を犯人に仕立て上げれば、こんな愉快なことはないだろう、と。

部下の裏切りに怒り狂った国崎と岡野は刺し違えで共倒れ。幸子は車に乗せられて海にドボンと落とされたが間一髪で脱出し、奇跡的に助かった。「なんとかなる」というのが彼女の口癖だが、今回もまたなんとかなってしまったので、辻山は元嫁の運の強さに苦笑い。

幸子に関しては最後にホロッとなるエピソードがある。

新井家に押し寄せた組員が家政婦の長谷沼君江を人質に連れて行ってしまったため、一時はどうなるかと思われたが、自分が行けば、長谷沼は助かると思い、幸子は単身国崎の元へ帰ったのである。前夜に、最後の別れになると思ったのか、幸子は辻山を激しく求めて一夜明けたのです。そんな二人の絡みを眺めていた直美は複雑な心境だったのだが、後日、殺される覚悟で国崎の元へ行った幸子の心境を考えれば、夜の出来事は許せるのかもしれない。

 

お嬢様の直美の恋の行方は?

今回の事件の功労者とも言える直美は、父親がいるアメリカへ出発しなければいけない。

辻山への淡い恋心を残して、1人飛行機に乗って行ってしまったが・・・、なんと、その飛行機に爆弾が仕掛けてあると誰かが通報し、成田に緊急着陸。空港で出迎えてくれた辻山と直美はカップルのように抱き合いながら帰っていったとさ。

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「探偵物語」の感想

実は赤川次郎氏の作品を読むのは初めてだったのです(笑)

読みやすいとは聞いていましたが、本当にサラッと読めて、かと言って薄っぺらくなくて登場人物が生き生きとしているのでイメージがし易い。文章の大半が会話で構成されているのが、わかりやすいポイントの1つだと思います。

1980年代、次々と作品を発表して、世はまさに赤川ブームが巻き起こっていましたが、今で言うなら東野圭吾さんが赤川次郎に何となく似ているような気がします。どこからアイデアが湧くのだろうと思うくらい彼も次々と作品を発表していますが、とにかくどれも面白い。

そして赤川氏と同じくエンターテインメント性が高いのでメディア化の作品も多い。疾風ロンドは小説でゲラゲラと笑ってしまいましたが、映画も阿部寛主演でとても面白かったですからね。

さて、話が脱線してしましたが最後に一言。結末はハッピーエンドで良かったと思いますが、流石にハッピー過ぎかなとも思ったり。年上の男性に憧れる女子大生が、そっと胸に締まってアメリカへ発つのも良いでしょう。飛行機を引き帰らせた辻山は犯罪者ですからね(笑)

どちらにしても老若男女問わず、読みやすい作風なので、他の作品も読んでみたいと思いました。

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