「待ってられない未来がある」
そんなキャッチコピーで2006年の夏に公開され、日本だけでなく国際的にも高い評価を受けた今作。
何度も観たくなる計算された濃厚なストーリーに大ファンになった方も多いことでしょう。
そして一つ一つのシーンをよ~く見ると、「そうだったのか~」「なるほどね~」と
感心させる場面が多く、今回はそうした普通なら見逃してしまうシーンの紹介と
皆さんの考察をまとめてみたいと思います。
もくじ (文字クリックでジャンプ出来ます)
重要人物・魔女おばさんこと芳山和子さんのお話
一応おさらいということで彼女を紹介すると、
1983年の1作目の主人公・芳山和子という人物で、真琴と同じく理科準備室に入ったことでタイムトラベルが出来るようになる。
未来から来たケン・ソゴルに恋をしたけど記憶を消されてしまったのでタイムトラベルや彼との記憶は一切ない。
詳しくはこちらの「原作小説の紹介記事」をご覧ください。
今作では、高校の時の恋物語を真琴に話していましたが、
彼との関係はタイミングが悪かったからダメになったと語っています。
(タイミングとは生きる時代ということかな)
アニメでは彼女を中心とした3人の学生の写真が写っていましたが
背が高い男性が深町(ケン・ソゴル)、ちょっと太めの男性が吾朗なのだろうと思われます。
(出典「2006年のアニメのシーンより」)
ただ、前述したように彼女は記憶を消されているので、
深町との恋愛話を語ることは出来ないはずですが、
そこはあまり突っ込むところではないでしょう。
彼女が独身を貫いているのは劇中でも語っている通り
「いつか必ず戻ってくる」という彼の言葉を信じて待っているから。
彼女が登場するだけで続編ということになりますが、
未来人のケン・ソゴルをずっと思い続けていた事がわかるだけでも原作ファンは嬉しいのです。
おばさんと真琴の共通点
これはアニメの感想でもご紹介させていただきましたが、
・妹がいる(二人姉妹)
・朝が弱い
・理科室で能力を身につける
・男子2人と仲が良い
ストーリーは全く違いますが、上記のように部分的に前作を踏襲することで
監督の作品に対する敬意と愛情を垣間見ることが出来ます。
今作では芳山和子はキーパーソンですからね、真琴の良き相談役として大活躍です。
アニメ「時をかける少女」シーン毎の考察をまとめてみました
自分が「お!」と思ったところ、他の方がネットで紹介しているシーンなどご紹介したいと思います。
1、音楽室から流れるピアノの音色
原作では冒頭で「ショパンのポロネーズを誰かが引いていた」という
ピアノの下りがありますが、今作でも真琴が理科室に向かう時にピアノの音色が聞こえてきます。
始まり方が原作と同じじゃん・・と思ってしまいました。
2、一瞬写った理科室の人影をよく見てみると・・・
(出典「2006年のアニメのシーンより」)
舞い上がるノートの隙間からシルエットが見えますが
よく見ると髪型はチアキそっくり。Tシャツもカラーっぽいし、やっぱり彼ですよね。
3、「time waits for no one」
これはネットで話題になったもの。
理科室の黒板に書かれた英文が間違っており、本当は
「Time and tide wait for no man.」が正解。
「歳月人を待たず。」ということわざで、
時は待ってくれないから大切にしなさいという時に使う言葉。
じゃあ黒板に書いたのは誰かというと、知恵袋でこんな回答がありました。
千昭でなければ最後の場面で二人が交わした台詞(約束)が生きてこないから
(引用:ヤフー知恵袋より)
カラオケのシーンでもチアキが呪文のようにこのセリフを熱唱していましたし、
理科準備室に忍び込んでいたのは彼ですからね。
一人になった時に、ふと黒板に書いたのでしょうか。
4、タイムリープを繰り返すと未来が変わることがある
3人がカラオケを楽しんでいるシーンで、
真琴が何度もタイムリープを繰り返した結果、功介が頼む注文が
メロンソーダとコーラ2つが
メロンソーダとコーラとジンジャーエールになった。
これはタイムリープをすると、未来が微妙に変わるということを示唆している。
5、チアキが生きる時代はそんなに荒廃した世界なのか
真琴に未来人であることを知られた時、この時代の素晴らしさを語っていました。
・川が地面を流れているのを初めてみた
・自転車に初めて乗った
・空がこんなに広いことを初めて知った
・こんなに人が沢山いるところを初めてみた
我々にとって当たり前の事がチアキにとってとても新鮮に見えたようですが
上記の事から、彼が生きる時代は人口が激減し地上で暮らすのは困難で地下生活を送っている可能性がある。
そうなってしまったのは大規模な戦争が起き、地上で生活できないということは核戦争の可能性が非常に高い事が伺えます。
6、功介が真琴の自転車に乗ろうとするシーンでわかること
(出典「2006年のアニメのシーンより」)
何気なく見ていると見逃してしまうシーン。
後輩が捻挫をして病院へ連れていくために真琴の自転車を借りるところで
ブレーキを触るシーンがありますが、実はしっかりとブレーキに手応えを感じる仕草をしています。
この時点でチアキがすり替えたことがわかりますね。
7、ラストシーン、二人の約束を考えてみる
「未来で待ってる」
「うん、すぐ行く、走っていく」
彼らがどれくらい離れた時代に生きているのか分かりませんが
チアキが未来へ帰ってしまえば会うことが出来ないと思ってよいでしょう。
でも上記のセリフは彼女のこれからの人生、目標に向かって歩んでいく(貴方がいる未来へ向かって)、という例えなのかなと思います。
と言うのも彼は絵を見るためにこの時代へ来ましたが
その目的を果たす事無く未来へ行ってしまうけど真琴は約束していました。
「あの絵、未来へ帰ってみても、もう無くなったり、燃えたりしない。
千昭の時代にも残っているようになんとかしてみる。」
彼女は進路をずっと迷っていましたが、ここではっきりと将来の目標が決まったのです。
たぶん、魔女おばさんと同じ様に学芸員になり、あの絵を守り続けるのかなと思いました。
会えるかもしれない近い未来の可能性もある
チアキが帰った時代はいつなのか分からないので遠い未来かもしれないし、
真琴がおばあちゃんになった頃にチアキが生まれてくるかもしれません。
もしくは見たかった絵に思いを託しているとも考えられます。
「未来で待ってる」という言葉は色んな捉え方が出来ますからね。
そして最後、別れ際にチアキがそっと真琴を抱き寄せましたが、
今、彼が出来る精一杯の愛情表現だと感じました。
あえてキスはしなかった・・・のではなく
彼の性格からして「そんなことできっかよ!」なんて思ってそうですもんね。
原作のケン・ソゴルの「必ず戻ってくる」というセリフと
チアキの「未来で待ってる」は、出来そうにない約束だけど彼女たちに希望を持たせるという意味では何となく似てますね。
ちなみに原田知世さんの映画では彼女が大学生になった時にちゃんと戻ってきています(笑)
色々と受け止め方があると思いますが、私はこんな感じに考察してみました。
このアニメは観れば観るほど考えさせられますね。