美しき罠の原作「残花繚乱」感想・結末・夫は最後までダメだった

1月8日(木曜日)からTBS系で放送されるドラマ「美しき罠~残花繚乱~」

読み方は「ざんかりょうらん」です。

不倫の話なので「昼顔」と比較して見てしまうので、

ちょっとだけハードルは高くなっているでしょうね。

原作を読んでみましたが、まあ見事に不倫不倫のお祭り騒ぎですw

それでは簡単ではありますが、残花繚乱の感想を綴ってみたいと思います。

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仕事の関係から男女の関係に

会社の営業部企画課に従事していた西田リカ。

会社では、あまりガッツかないタイプで、

将来は結婚して家庭に入るという平凡でも幸せな人生を想像していた彼女ですが、

ひょんなことから取締役の柏木荘太とプロジェクトを二人で進めることになり、それがきっかけで不倫へと発展。

相手に妻がいることを知りながらも夢中になり、気づけば5年の歳月が流れていましたが

その間、既に柏木の妻は、二人の不倫関係を見抜いていたようです。

 

興信所に依頼し、不倫現場を抑えた資料をケリーバッグの中に

大事にしまっておいた妻の美津子は家庭を壊したくなかったのか、

現実を直視できなかったのか、夫にはいつも通り接していた妻ですが、ある日、行動を起こすことになるのです。

 

 

予定外の展開に妻も驚き!

不倫が発覚した時点で慰謝料だの裁判だの、修羅場になりそうですが、

柏木の妻は、波風立てずに不倫事件を沈静化しようと、リカに男性を紹介。

この男性というのは柏木の亡くなった親友の弟で落合圭一。

柏木も実の弟のように可愛がり、圭一も柏木の娘・美羽を幼いころから可愛がっており、家族ぐるみの付き合いでした。

 

そんな身近な男性をリカに紹介した妻・美津子の心理とは?

ちなみに圭一は美津子に憧れを抱いており、思いも寄せていた女性でした。

そんな圭一とリカが交際をスタートさせ、あろうことかゴールインまでしてしまったのでさぁ大変!

予定外の展開に驚きながらもこの二人の仲人を柏木夫妻が引き受けるのだから、ちょっと滑稽です。

 

夫の不倫の証拠を大事に寝室に隠していた妻ですが、

絶対に知られてはいけない娘の美羽が、この証拠資料を発見してしまうのです。

 

高校生の娘・美羽は

  1. 父親が不倫をしていること、
  2. 不倫を黙認している母親
  3. 大好きだった兄さん(圭一)の結婚相手が父親の不倫相手のリカ

という事を知ってしまったので、大人への不信感、父親だけでなく、母親への不満、

彼女なりの心の葛藤が描かれています。

 

 

行動を起こさずとも妻も浮気心が・・・

圭一の「知的で女らしい」という褒め言葉に異性として反応した美津子。

夫の柏木荘太とは夫婦の営みもなく、夫を支える妻として日々過ごしてきた美津子にとって

女性という本能を呼び覚まし、圭一との絡みを妄想してしまう。

 

妄想するだけで二人は一線を超えることはありませんが、

夫を奪ったリカに圭一までも奪われた美津子の心情ははかりしれない。

自分がリカに差し出した男性ではありますが、それはリカと夫を離すための手段でした。

 

ドラマでは

「あの女絶対に許さない・・。」と

妻役・若村麻由美のリカに対する恨みが特に強調されるかもしれません。

原作では、そこまで表面的にはドロドロした感じではありませんが・・。

 

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変わろうと前向きな人、いつまでも変わらない人

主人公のリカは、結婚後も夫の圭一と元不倫相手だった柏木を比較して考えてしまい、

柏木の情熱的で激しい愛情表現とは対照的な夫に物足りなさを感じていました。

 

ただ、家庭的で柏木とは違う優しさを夫から感じ取る事ができた時、

この人とこれから共に人生を歩んでいくんだという決心とともに、

ふと思い出す不倫相手との情熱的な愛情表現も

冷静に過去の出来事として思い出のアルバムにそっとしまえる心の余裕さも出てきた。

そして新たな生命の誕生を二人で分かち合い幸せを噛みしめる事が出来そうなリカ。

 

それとは対照的に、リカが書道教室で知り合って結婚の準備まで手伝ってくれた

桐谷麻紀は独身貴族を謳歌しているというべきか、

男性とは肉体関係のみで、本当の恋愛に巡り会えない寂しい人生を送っていた。

 

彼女は、あろうことかリカの婚約者・圭一、更には柏木荘太とも関係を持ってしまう最低な女性。

歳を重ね、美容整形で見せかけの体で男を誘惑する彼女は本当の愛を手に入れることは出来るのだろうか。

 

複雑な家庭環境のサイドストーリー

主人公のリカが通っていた書道教室仲間に瀧本泉という女性がいます。

彼女は仕事で成功を収めましたが、結婚した夫の人生が急変。

リストラにあい、再就職は出来たものの泉と心の溝が深まり、修復不可能になり、離婚することに。

 

更に泉の実家では父親が認知症と診断され、

しかし母は介護放棄、父親の自殺未遂など耐え難い苦難が押し寄せますが、

それでも前向きに生きようとする彼女の姿勢にとても好感が持てました。

 

本編の不倫というテーマにどうしてこのサイドストーリーを持ってきたのか。

この本には「絆」という言葉が出てきますが、家族の絆とか、そんなキレイ事ではなく、

本来の意味である「呪縛」や「束縛」などが含まれているのかもしれません。

 

絆(きずな、きづな)は、本来は、犬・馬・鷹などの家畜を、通りがかりの立木につないでおくための綱。しがらみ、呪縛、束縛の意味に使われていた。(引用元:ウィキペディア)

家族はどんなことがあっても離れられないという呪縛、束縛。

不倫相手だった家族と離れられないリカの呪縛。

 

結末は残花繚乱の名のごとく

このタイトルの名に相応しいのはある意味、桐谷麻紀でしょうか。

自分自身を憐れむことなく、

常に肉体関係のみを異性に求める彼女はある意味清清しい。

サブキャラクターなのに全部持って行かれた感じです。

 

最後は柏木荘太と割り切りで付き合わないかと言われ、

二人はそんな関係になるんだろうなぁという展開で終わっています。

柏木という男も、どうしようもありませんね(笑)

妻の美津子に同情すら感じます。

 

残花繚乱というタイトルの意味は・・・、散り残っている花が咲き入り乱れる。

そう言えば龍子と麻紀はお互い独身同士で、最後まで悔いの残らない、生き方を!

みたいなことを語り合っていましたので、

「最後まで咲き乱れてやるか。」

という彼女たちの気持ちを指しているのかもしれませんね。

 

しかし、ひっそりと女性の心の中で残り続けている”何か”にも当てはまりそうな気がします。

修介を裏切った龍子は、心の何処かで今もまだ荘太への思いが残り続ける。

リカは突然終わった荘太との恋に尾を引くも、夫との結婚生活に前向きになりますが、

彼女は夫・圭一と荘太が兄弟のような付き合いなのでずっと友人関係を持ち続けなければいけない。

 

ということは、柏木の妻・美津子もまた好意を抱いている圭一と顔を合わせないといけないし、

笑顔で接する彼女の振る舞いをみていると切ないさも感じます。

夫・荘太とは、ほぼ夫婦生活は終わっていますからね。まさに仮面夫婦です。

そして娘の美羽もまた、憧れの圭一が自宅に来るたびに何を思うのか。

彼女は若いですから新しい恋を見つけることが出来ると思いますが、

両親への思いは複雑で信頼回復は難しいでしょうね。

 

う~ん、

読み終わってもモヤモヤが続くこの物語は読者の心にどう残るのでしょうか。

 

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