あなたの人生の物語(映画『メッセージ』原作)を読んで※ネタバレ含みます

(続き)ネタバレ注意!【私の解説&考察メモ】『あなたの人生の物語』

背表紙

小説や映画をもっと楽しむために♪疑問に思ったことや気になったことをまとめました。(小説に書いてあることの整理に加え、私が考察した内容も含みます。)

ヘプタポッド(エイリアン)は、なぜやって来た?

主人公と交流するエイリアン達の様子は、学者が好奇心を持って積極的に調査している風にも見えず、小学校の社会見学のように誰かに言われて何かを学習しに来ている風にも見えませんが、

小説内にさらりと簡潔に書かれた彼らの回答は、「見るため、観察するため」。

ハッキリと書かれているのは、それだけ。地球に来た理由、去った理由、ヘプタポッドの行動すべてが不明、という状態で終わってしまいました~。

まぁでも、不明のほうがヘプタポッドらしいのかも。

結果に到達できるように行動しているだけ?

ここでは、ヘプタポッドの思考回路が説明された、いくつかの文章を文庫本『あなたの人生の物語』から抜粋引用して紹介します。

まずは、主人公が「フェルマーの最小時間の原理」から発想したことを語っているところ。ヘプタポッド達が、最小化もしくは最大化という目的を満たすためには、

最初と最終の状態を知っていなくてはならない。原因が発生する前に結果に関する知識が必要となるのだ。

なるほどと言える理解力は私にありませんが、 ヘプタポッド達が自分たちの未来(結果)を知っていることが読み取れます。

また、ヘプタポッド達が意志に従って行動するわけではないと記述されているページには、こう書かれていました。

未来を創出するため、年代記を実演するために、行動する。

ヘプタポッド達は決まっている未来(結果)を知っていて、そこに到達できるように行動しているだけみたいなので、人類が知りたがる「地球に来た理由」や「去った理由」の答えは、「未来を創出するために必要だから」ということになるのでは?

人類に教えられる知識は既に知ってることだけど、教えられることを実行しなければ「結果」に到達できない。まるで台本通りに演技するみたいに行動してるのかぁ。

だから、ヘプタポッド達はテンションの低い無感動な雰囲気で、無関心なイメージに思えちゃうのかしら。

中盤に続きます!

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地球に到来する → 人類とのやりとり → 目的達成(知っている結果、未来)

結果そのまんまになるように、運命の流れに逆らわずに、余計なことはせずに・・・。

「結果が決まっちゃっている」と言うと夢もロマンもないけれど、だからこそ、そこに感情は生まれず、それが当り前だと思っているヘプタポッド。

人類と交流したヘプタポッド達の結果(未来)って何だろ?知りたいなぁ、気になるわぁ。

気になると言えば、

映画の予告動画では、エイリアンの「武器を与える」という意味ありげなメッセージを主人公が翻訳しているセリフがあったので驚きましたが、小説にはない展開(だったはず)なので気になるなぁ~。まさか、映画は到来目的が描かれるのかしら!?

現在・過去・未来を整理

ヘプタポッド言語を習得した影響で、未来(事の結末)が事前に頭に浮かんじゃうようになった、主人公ルイーズ。彼女の思考内では、過去の思い出(原因)とセットで未来(結果)が思い浮かぶらしい。

わたしはひらめきを得て、過去と未来を一挙に経験する。(文庫本『あなたの人生の物語』より抜粋引用)

ではここで、

小説『あなたの人生の物語』の時系列をサクッと整理!

小説の最初と最後で「いま」と過去について語っていて、詳しい割に不確定な未来エピソードは「~するでしょう」という語尾で書かれています。

過去 エイリアンの言語を解読する作業

現在 冒頭と文末の娘が生まれる前

未来 娘が生まれた後のエピソード

冒頭から断片的にルイーズが語る、娘が25歳になるまでのエピソード。しかし、語っている過去でも現在でも、まだ産まれていない状況なのです。

まだ生まれてない娘に、これから起こる「娘(あなた)の人生の物語」を語っている、ということですかな?サイエンスは難解だけど、あべこべ感が興味深い不思議なお話しですね。

最後に少し、用語集をまとめました!

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小説に登場する用語まとめ

ヘプタポッド

この物語に登場するエイリアンの総称。人類が、7本脚(あし)という意味で名付けた。7本の脚と、まぶたのない7個の眼を持つ。

さらに、主人公が対応する特定のエイリアンには、個体を区別できるように「フラッパー」「ラズベリー」とニックネームを付ける。

ルッキンググラス(姿見)

牧草地に出現した、エイリアンの双方向通信装置に付けられたニックネーム。半円形の鏡に似ている。おそらく、離れた場所、(地球の?)軌道上にある宇宙船との間で用いられる。

主人公が見たルッキンググラスのサイズは、高さ10フィート(約3m)、幅約20フィート(約6m)。アメリカ合衆国内に9個、全世界で120個も出没!

物理学の変分原理

作品内に登場する、「フェルマーの原理」など基礎原理のひとつ。

ある物理量が微小変化に関して極小値または極大値をとるという変分法の形式で物理学の基本法則を表わしたもの。(出典:コトバンク ブリタニカ国際大百科事典)

参考画像↓小説に登場する解説図

説明図

近所の映画館で観てきました。
映画化『メッセージ』の感想はこちら