原作漫画「神々のいただき」感想ネタバレあり「そこに俺がいるから登る!」

ストーリーは深町が羽生丈二を追いかけ、彼の生い立ちから少しずつ解き明かされ、彼との距離が近づいていく。
そして羽生はなぜ孤独だったのか、誰もが煙たがり、彼のパートナーになりたがらなかった最大の理由は
相手を思いやる気持ちが欠けていたこと、自分しか信用していなかった事があげられます。

確かに彼は強靭な肉体と凄まじい精神力で幾度と無く危機を乗り越えてきた。
彼の頭の中は山しか無く、人を遠ざける冷たさがありましたが
パートナーの死によって更に心を閉ざすようになる。

しかしこの物語はそんな悲しい山男のエピソードだけに終わらず、
ほんの少しだけラブロマンスも物語の盛り上げ役になっています。

亡くなったパートナーの妹との恋愛。
フランスとイタリアの国境にあるグランドジョラスをアタックした時、
50m下に落下し絶望的な状況で彼は見事に生還し、その時の日記を涼子に渡している。

その筆跡と毎月匿名で送られてくる1万円札の宛名の筆跡が同じだと気づき
更に彼が今でも1人で苦しんでいるのだと感じた涼子は羽生に会いに行ったのです。

自然と付き合うようになった二人ですが、彼は本当に涼子の事を愛していたかは疑問。
兄を奪ってしまったことから彼女の支えになればという思いはあったはず。
残念ながら二人はゴールインすること無く、羽生はネパールへと単身で向かい
現地の女性と婚姻関係はないものの二人の子供をもうけています。

ネパールまで会いに行き、その事実を知った彼女はどんな気もちだったのか、
私のところに帰ってくるかもしれないという淡い期待はもろくも崩れ去り、
意外にも羽生探しに同行した深町と最終的に恋仲になっている。

さて、消息を絶った羽生はネパールに居たわけですが
彼は一体何をしていたのか。

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実はエヴェレストの無酸素単独登山を計画していたのです。
そんな無謀とも言える登山に同行したのがカメラマンの深町。

深町は途中、羽生に助けられ1人で下山、ベースキャンプで羽生の帰りを待っていましたが
彼は二度と帰ってくることはなく、深町は日本に帰国。

平穏な生活を取り戻しても彼の心はやはり羽生のいるエヴェレストでした。
彼の意思を継ぎ、登頂し、無事戻ってくる事ができるのか?

決して踏み入れてはいけない神の域とも言えるエヴェレストは
人を拒み続け、多くの犠牲者が出ているにもかかわらず果敢に挑む男たち。

1924年にマロリーが挑み、そして時を超えて羽生が、深町が更に過酷な条件下で挑む。

マロリーは言った「そこにエヴェレストがあるから・・・」

羽生が言った「そこに俺がいるから・・・」

そして深町は何を思い最高峰の山を登ったのだろうか・・・。

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