ドラマ原作小説「掟上今日子の備忘録」感想、迫るタイムリミットが魅力

いつか読みたいと思っていた人気作家・西尾維新さんの小説がドラマ化されると知り、読書を決行!

2015年秋にドラマ化されるのは、ちょっと癖のあるワケアリなヒロイン・掟上 今日子(おきてがみきょうこ)が活躍する「忘却探偵シリーズ」。
文庫じゃないのでお財布が痛んだけど、一気に2冊入手!

小説の裏、お値段表示

ファンタジー抜きのありえそうな現代探偵ミステリー。ほんわかしながらもスピード感のある推理劇と、風変りなヒューマンドラマが面白くてサクサク読み進めました。

なにより、難解事件を最速(基本一日以内)で解決する、美人な忘却探偵がスパイシーで魅力的♪
そんな『掟上今日子の備忘録』『掟上今日子の推薦文』の感想あれこれです。

関連:ロケ地情報はこちらにまとめました~♪

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感想「掟上今日子の備忘録」原作のスパイシーな魅力

「忘却探偵シリーズ」は、2015年夏現在までで3冊発売されています。
今回、私は1冊目・2冊目を読んでみました。

↓表紙を取っても可愛い本体。
備忘録の名前通りに、ノートみたいなデザイン。

ノートみたいで可愛い

1冊目は、シリーズの序章。主人公・今日子さんのキャラクター紹介となる『掟上今日子の備忘録』。
読んだ内容(登場人物)とドラマ情報を比較すると、この1冊目を中心にドラマ化されるみたいですね。

2冊目・3冊目は、シリーズといっても探偵・今日子さんのワトソン役、兼ナレーター役が違うので、今回のドラマ化とは関係ないのかも?…と言っても、余分に読んで損したという事は無く、「また次(三冊目)が読みたい」「今日子さんの正体が分かるまで読みたい」とハマってしまいました。

一風変わった事件や推理も楽しめますが、なにより癖のある今日子さんが魅力的。

kawaii

  • 誰にでも好かれそうな、上品で可愛い美人
  • 頼りになる頭脳と行動力
  • とにかく前向き

と、容姿や性格が愛され系なのはもちろん、

  • 毒を吐くがエレガントで嫌味がない
  • なに気に守銭奴だが憎めない

なんていう負の面も持ち合わせ、

  • 優秀だが、無茶をして危なっかしい
  • ミステリアスな身の上(過去が謎)

という、ハラハラ・ワクワクしちゃう要素もたっぷり。

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さらに何よりも興味を引くのは、「一日で解決しなきゃいけない探偵」だというところ。
これは、商売上のキャッチフレーズではありません。

ワケあってタイムリミットがある探偵さんなので、自然とスピード感が生まれます。
そして、このタイムリミット…絶対の制限がこの小説の一番の特徴&魅力なんですよね~♪

どんな制限かと言うと、「睡眠や気絶で意識が途切れると記憶がリセットされてしまう」身体的特徴。
記憶が強制リセットされて忘れてしまうんです。

(小説内では、前向性健忘症の一種と説明あり)
「掟上今日子の備忘録」過去まとめ整理ネタバレあり、前向性健忘症って何?

通常の生活サイクルで、起きて寝るとリセット。
怪我などで気絶してもリセット。

あった事・会った人・考えた事、自分の事さえ全て忘れてしまいます。
これが忘却探偵と呼ばれるワケ。

覚えてないから自分しか信用出来ない。ほんわかしてるけど、深読みすれば孤独で悲しい探偵さんです。
そんなストレスを解消するために、ちょいちょい毒を吐くのかもしれませんねぇw

後半は、「忘却探偵が生き残るワケ」「好きになっても常に初対面(涙)」など。

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忘却探偵が生き残るワケ

animals_02

調査途中で眠ったり意識が途切れると、調査過程やそれまでの推理が一瞬で喪失。
長期調査が出来ません。

だから絶対、記憶がある時間内(基本一日以内)に解決出来そうな仕事を引き受けています。
優秀だけど万能とは言えないのはココ。

それじゃ、何故そんな「やっかい」に思える特徴のある探偵が盛況なのか?

秘密を洩らしたくない依頼人にとって、個人情報・企業情報をすっかり忘れてしまうのは好都合だから。
なるほど、上手いこと出来てるもんです。

また、今日子さんは当日の記憶力が良く、デジタル機器並みの記憶容量とデータ解析能力。
そうなると調査用のメモやカメラ撮影が不要なので、これまた秘密厳守の依頼にピッタリですね。

何歳から発症したのかは企業秘密ですが、デメリットを長所に変えて活躍する姿が前向きで好感!

今日を全力で生きる、今日子さんに惚れる

明日になると忘れてしまう。
後悔の念も覚えられないので、嫌な事を忘れるには好都合。後悔知らずの怖いもの無し!

主人公のイラスト紹介

後悔って何気にヘビーなので「後悔知らず」なのは羨ましい気もするけど、良い事も忘れちゃうのは寂しいな。たとえ好きな人が出来ても(その気持ちさえ)忘れちゃうなんて寂しい。やっぱり孤独だわ。

でもでも、好きな人とか孤独とか、そんな次元じゃないのかも。
大げさかもしれないけど「忘却探偵の一日は一生」と言えるなと考えると、起きてる時間は貴重!

そうか、今日の今日子さんが生き生きと探偵している姿が魅力的なのは、儚いからか…。
ライト調小説だけど、凄くヘビーじゃん。

「忘却する自分と戦っている」今日子さんは、今を生きる!みたいに常に全力。
だから、応援したくなっちゃうのね。

関連:2015年秋ドラマの原作漫画・小説の感想はこちらにまとめました♪

好きになっても常に初対面(涙)

好きになる、のは今日子さんでは無く依頼者の男性ですが、これが軽く悲劇。

原作1冊目とドラマの依頼者は、今日子さんに好意を持っている常連の依頼者・隠館 厄介(かくしだて やくすけ)。そんな隠館 厄介くんが悲惨な所が、読者としては面白い所。

↓表紙裏イラスト。厄介くんなのかな?

厄介くん?

どんな常連さんでも、寝て覚めると忘れるので毎度必ず初対面ですからねw
好印象も信頼関係も翌日にはゼロ。やりきれません。

そこん所を考えてみると、一冊ごとに語り部である依頼者や背景がごっそり変わるのは、忘却探偵だから(わざと)なのかな?という気がしてきます。読者として語り部に愛着が湧いたと思ったら、次の巻では名前さえ登場しない有様に、まるで今日子さんの忘却みたいな?喪失感を味わえました。
寂しいけど、フレッシュな気持ちで2冊目の新しい世界を読んじゃいましたよ。

そんな作りなので、どの巻から呼んでもイケますが「今日子さんの秘密」の一部は1冊目に書かれているので、一冊目から読むのがおすすめです。

ちなみに、2冊目のタイトルは『掟上今日子の推薦文』。
4つの単発事件が発生する『備忘録』と違って、一冊まるまる長編といった内容・美術館など舞台が壮大なので、映画向きかしら。

関連ページ:
原作とドラマの違いと相関図「掟上今日子の備忘録」キャラ紹介×キャストまとめ。