「トリック劇場版 ラストステージ」あらすじ感想ネタバレあり/映画完結編

映画「トリック劇場版 ラストステージ」結末などネタバレあり感想

奈緒子の霊能力

長年のシリーズの中で育った、偽物の霊能力トリックを暴かずにはいられない奈緒子自身が霊能者ではないかという疑念。今回の映画では、ヤー村の呪術師と奈緒子が同じ予知夢を見るというエピソードがありました。

上田の考察では、無意識のうちに危険を感じ取る能力が奈緒子にあるのだろう、という決着に落ち着きましたが、霊能力と関係なく奈緒子は自己犠牲に走ります。

自分が霊能力者だという展開になると変にシリアスモード&ネガティブ思考になっちゃう奈緒子は、ヤー村でも責任感を背負いこんでしまったようですが、責任感よりも上田を守りたい気持ちが大きかったはず!と私は思いたいですね。

奈緒子と上田の関係

相手を意識してドキドキしたり、勘違いで照れたり、プロポーズみたいな言葉を掛けたり。気の合う奈緒子と上田には、ラブストーリーが生まれそうで生まれない。これも『トリック』のお楽しみポイント。

これに関して、映画を作った監督インタビューで気になるコメントを見付けました。奈緒子は上田のことをどう思ってるのか分かるそうですが・・・

「奈緒子のバッグが床に落ちて、中からある物が出てくる。彼女はなぜ、それをずっと大切に持っていたのか? そこがポイントなんです」(シネマトゥディ2014年1月8日の監督インタビューより)

そんなシーンあったっけ?あったかも。映像を確認してみると、壁画が水面に逆さに映ったあたり。洞窟が揺れ出して置いてあったバッグが倒れて中身がこぼれます。

奈緒子が愛用しているカゴバッグからは、トランプの箱や『上田次郎のどんと来い、超常現象 』がポロリ。海外旅行、しかもジャングルの奥地まで持ってきちゃったのか~、これが奈緒子の思いかぁ。ニヤ♪

はてさて、奈緒子と上田がいい雰囲気で終わった『ラストステージ』。結末の先にラブストーリーがあるのか、ワクワクしちゃいます。

ところで、シーズン1の1話を見直してみると、奈緒子は「生まれた時から笑ったり冗談を言ったりするのが苦手だった。練習しても上手くいかない。」と自分の心の声をナレーションしていました。

そんなキャラ設定はすっかり忘れていましたが、この設定が生きているなら・・・上田と長年一緒に過ごす内に自然に「笑ったり冗談を言ったり」できるようになったから、凄く恩を感じているのではないかと思っちゃいました。生きる楽しさを与えてくれた上田のためなら命は惜しくない、なんて思ってたりして。

そういえば、奈緒子がやたらと冗談を言いたがるのは、昔の反動なのかもしれませんね。

洞窟にも仕掛けがあるのかな?

物語の始めの方。なんで突然、奈緒子が美人マジシャンと認識されているのかと思ったら、ドッキリ企画。軽くウケました。

それはともかく、脱出マジックでのパニックは奈緒子の父・剛三の水中脱出事故を思い出すエピソードでした。番組が用意した仕掛けで意図せず脱出できた奈緒子、これがラストで生還できた伏線なんでしょうかね。

そうだとしたら、ラスト近くで奈緒子が爆発させた洞窟の地下空間にも同じような救命の仕掛けがあったのかもしれません。村の大切な呪術師の命を守る仕掛けが。大爆発の瞬間、奈緒子がスポッと下に落ちたように感じましたもの。

フーディーニ&母之泉で始まった物語は、フーディーニ&母之泉で完結。

『トリック』シリーズの始まり、ドラマシーズン1の初回で登場した、フーディーニと母之泉(ははのいずみ)が完結編にも登場。大きな存在感を発揮しました。

母之泉

またまたキャストに菅井きんさんが!今回の舞台『赤道スンガイ共和国』の建国の母としての写真出演だけではありませんでした。

母之泉(ははのいずみ)の教祖である澄子は影武者で、本物は国外逃亡して赤道直下の地に「赤道スンガイ共和国」をつくり、「スンガイ=キン」という名前で生き延びている。(Wikipediaより)

え~?ホントなの?調べてみると上記の内容は、映画のパンフレットに書いてあったようです。しかも、ヤー村の呪術師・ボノイズンミの名前にも影響があるって。

確かに、ボノイズンミという名前に何か意味が隠されてるんじゃないかとは思って探ってはいたけど、まさか「母(ボ)之(ノ)泉(イズンミ)」だったとは。衝撃でした。

本物の霊能力者かどうなのかは謎のままだけど、実業家の才能があるのは間違いなし!?

フーディーニ

この映画の冒頭で語られるフーディーニの昔話と同じ展開、1年後に必ず上田と連絡を取ると約束した奈緒子。そして約束の1年後、フーディーニと同じように本物の霊能力者を探す上田。

最初はマンネリかと思っちゃったけど、その後の展開が素晴らしかった!

何度見ても飽きないラストシーン

上田が奈緒子との思い出に浸るエンドロールと、しっとりと流れる懐かしの主題歌『月光』。その時間も画面に引き込まれ、飽きることなく楽しめました。

そしてエンドロール後の結末。まるで、上田が奈緒子と初めて出会った日(シーズン1の第1話)の再現のようなシーン。淡々とマジックを披露する奈緒子をじっくりと見つめる上田さんの、無言だけど胸中ではグルグルと想いが巡っちゃってそうなシーン。あの上田さんの表情が絶品!最高です♪

すぐに1話と見比べちゃいました

そんなラストシーンを見せられたら、無性に第1話が見たくなっちゃうじゃないですか。すぐにチェックしました、どれぐらいの再現度なのか。

集まった挑戦者達、上田が食べるわらび餅、奈緒子の服装まで、第1話と映画の結末シーン同じ!

しかも、1話の会話内容「あなたホントに超能力者なんですか?」「私は本物です」、にデジャヴを感じる「YOUは本物か?」「私は本物です」という会話が映画で交わされるという細かな仕掛けが面白い~。

完結編のこの映画では奈緒子を指す『YOU』を使っているので、貞子のように髪をたらして現れた奈緒子に、生きているのか?幽霊じゃないのか?本人か?と聞いたんだと思いますが、奈緒子はどうだったのかな。

第1話は本物の霊能力者だと騙そうとしていたけど、映画では「私は本人です」っていう風にもとれますものね。こうやって考えるのが楽しい時間です。

もし何も覚えてなくて「本物の霊能力者です」っていう意味で言ったとしたら、上田の賞金は奈緒子をおびき寄せるエサになりましたね。どんな意味だったとしても再会できたんだから、めでたしめでたし。

記憶喪失のままなのか?記憶が戻っているのか?

南の島で記憶を失った女性という警察情報。きっとこれは奈緒子のはず!そして、約束の日に上田の前に現れました。よかった、また会えたね♪

ところで、記憶喪失のままなのか?記憶が戻っているのか?

何回か見直してみたけど奈緒子の表情からは読み取れず、どちらなのか判断が付かないまま終わっちゃいました。でも、ミステリアスで良い終わり方だったなと凄く満足しています!

そう、私は結末後の『トリック』が永遠に終わらない物語であることを望んでいるのです。いつまでも、いつものままで・・・。

設定メモ

ハリー・フーディーニ

冒頭のイラストを使った昔話で登場する、有名なアメリカのマジシャン。脱出王の異名を持ち、超能力や心霊術のインチキを次々と暴いた。シリーズ1の1話冒頭や、映画3作目など数回登場している。

赤道スンガイ共和国

南シナ海にある島国。

イエクカ

赤道スンガイ共和国、随一の経済都市として発展している。観光スポットは、バナナワニ園とクマ牧場。(劇中で奈緒子が読んでた『地球のしばき方 赤道スンガイ共和国』より)

ムッシュム・ラー村

村上商事の支社がある村。

ヤー村

ムッシュム・ラー村の奥地にある、呪術師・ボノイズンミがいる村。

ムッシュムラムラ

劇中で奈緒子が使う掛け声。ダチョウ倶楽部(ダチョウくらぶ)のギャグ。元は、コメディアンの関敬六(せきけいろく)が声優として海外アニメの吹き替えで掛け声として多用したもの。

SPECホルダー(スペックホルダー)

劇中では、矢部刑事が村で檻から脱出するエピソードで村人が発言。特殊能力SPECを持つ人間の総称、ドラマ「SPEC」に登場する設定。

人差し指で人を指差してはいけない

ロケ地となったマレーシアの文化。劇中でも、素直にマナーを守る奈緒子は親指を使って決め台詞を言っている。

「人差し指を相手に向ける行為は“悪霊が宿る”として忌み嫌われますので、右手を握って親指を添えるようにして突き出します。」マレーシア政府観光局『M-style』より。

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【妄想注意】私の考えた、ラストステージ後の物語

もしも、奈緒子が記憶喪失のままだったなら・・・。どうしても、この映画の完結後がどうなるのか気になって妄想してみたくなっちゃいました。

以下、『トリック』を元ネタにした私の妄想創作ストーリーです。

上田のことも、上田と一緒に行動したトリック暴きも、まったく覚えていない奈緒子。

それでも上田は、奈緒子との1年前の約束を果たすために(でも素直じゃない誘い方で「賞金が余り過ぎて困る」とか何とか言って)餃子と寿司を奈緒子に奢ろうとすると、上田の元に矢部刑事から奇怪な事件の依頼が入る。

奈緒子は何も覚えてなくても、変わらず賑やかに絡んでくる周囲の人々。(矢部刑事なら奈緒子に同情することなく、まったく変わらない態度を取りそう。)母・里見は、上田先生と一緒なら安心とばかりに、意味ありげな微笑みを浮かべながら金儲けにいそしむ。

何だかんだと過去に解決してきた事件と似ている依頼が上田の元に次々と入り、何だかんだと奈緒子を連れ出して怪事件を解決していく日々。

マンネリと言われそうな似た事件の数々を上田と一緒にこなす内、奈緒子の頭の中には過去に体験した記憶のかけらが断片的なイメージとして現れるようになっていく。「こんなこと前にもあった」「私なら、こう言うな」まるで予言者になったようなデジャヴを感じながら、上田への信頼と好意を新たに積み上げていく奈緒子。

そんな奈緒子は「上田なら、絶対にこうする(苦笑)」と上田の言動を先読みして得意気になっていたが、奈緒子の過去を知る上田も「こんな時は奈緒子なら」という予測を前提に奈緒子の言動を先読みして(まるで、細やかな心配りができるナイスガイのように)なめらかにフォロー、しようとするが、でも、やっぱり、調子に乗って得意気。

でも、以前とは違う。上田はつい奈緒子に対して「自分を大切にしろ!」と過保護になっていたし、彼女に向ける笑顔には特別な感情が漏れ出ている。「(ドキッ)なんなんだ?上田のあの笑顔は」記憶があった頃よりも照れながら、冷たくあしらう奈緒子のドキドキは増すばかり。

奈緒子が覚えてなくても、長年掛けて心の奥にたまっていた見えない絆と信頼関係が、照れ隠しで冗談を言い合うふたりに微妙な変化を与えていたのだった。

そんな奈緒子と上田は、海外で起こった事件の危険な状況をきっかけに「もう二度と離れたくない」という強い想いを抱き、それをお互いに言葉にする。そして、ふたりは言い訳を言い合いながらもゴールイン。ハネムーンは、ラスベガス?黒門島?赤道スンガイ共和国?温泉巡り?

名字が変わった上田奈緒子は、(趣味のインチキマジックを各地で披露しながら)夫と共に新たな気持ちで奇怪な現象に挑み、各地で困っている子供達を「どんとこい」とベストを尽くして救っていくのだった。めでたしめでたし。

趣味の長文、失礼しました!「マンネリ」を利用してラブストーリー妄想が広がりましたが、やっぱ想像でも終わりのない形になっちゃいました~。END